「ターナー 風景の詩」
「ターナー 風景の詩」展は、
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開催されています。
会期 2018年4月24日(火)~7月1日(日)
イギリスを代表する風景画の巨匠、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775~1851)の展覧会です。
一点を除いてターナー作品のみの、水彩、油彩、版画作品約120点の展示です。
展覧会の構成は次の通りです。
第1章 地誌的風景画
第2章 海景ー海洋国家に生きて
第3章 イタリアー古代への憧れ
第4章 山岳ーあらたな景観美をさがして
初期のターナーは、有力なパトロンに恵まれ、そのパトロンの邸宅を描き込んだ写実的な作品を多く残しています。
また風景の中に働く人たちも見つけることができます。
ターナー作品は地誌的な意味合いも持ち合わせています。
展覧会場には、関連地図が展示されています。(作品リストにもあります)
コールトン・ヒルから見たエディンバラ 1819年頃 水彩、鉛筆、グワッシュ、スクレイピングアウ ト・網目紙
エディンバラ、スコットランド国立美術館群
ストーンヘンジ、ウィルトシャー 1827-28年 水彩・紙
ソールズベリー博物館
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ターナ作品と言うと、黄色系の絵の具を多用した写実的な風景画を思い浮かべます。
朝又は夕景が好まれたからでしょうか?
穏やかな田園風景、聳え立つ山岳、そして、嵐の海ですね。
ソマーヒル、トンブリッジ 1811年展示 油彩・カンヴァス
エディンバラ、スコットランド国立美術館群
風下側の海辺にいる漁師たち、時化模様 1802年展示 油彩・カンヴァス
サウサンプトン・シティ・アート・ギャラリー
セント・オールバンズ・ヘッド沖 1822年頃 水彩・紙
ハロゲイト、メーサー・アート・ギャラリー
スノードン山、残照 1798-99年 水彩、スクレイピングアウト・紙
エディンバラ、スコットランド国立美術館群
ローレライ、ドイツ 1817年 水彩、グワッシュ、グラファイト、スクラッチングアウ ト・紙
マンチェスター大学、ウィットワース
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ターナーにとって大きな転機は、憧れの地イタリアへの旅行でした。
その後の作品には、大気と光の効果を追求することに主眼が置かれ、 そのためにしばしば描かれる対象のフォルムは曖昧になりほとんど抽象に近づいている作品もあります。
余談ですが・・・・ターナがイタリアに旅行した時のスケッチが横浜美術館で開催されているヌード展に展示されています。
ターナーは風景を描くため旅行に携えたスケッチブックに観察と想像に基づいたエロチックなスケッチを残しています。ちょっと意外?
モンテ・マリオから見たローマ 水彩、スクレイピングアウト・紙
エディンバラ、スコットランド国立美術館群
キリスト教の黎明(エジプトへの逃避) 1841年展示 油彩・カンヴァス
ベルファスト、北アイルランド国立美術館群
ネッカー川対岸から見たハイデルベルク 1846年 エッチング、ライン・エングレーヴィング
郡山市立美術館
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この展覧会で、私が素晴らしい!と注目したのは、美しい細密画が沢山展示されていることです。
目一杯近づいて鑑賞、その卓越した技法と美しさは流石です。
20ヴィニェットのうちの1点―ヘルゴラントの死の舟 1835年頃 水彩、鉛筆・紙
エディンバラ、スコットランド国立美術館群
ターナーは、後の印象派の画家に多大な影響を与えました。
ターナーが現代でも利用されている水彩画の技法をほぼすべて完成させたとされていて、日本水彩画の原点でもあります。
「ターナーと日本」の解説では、夏目漱石は定番ですね。
(過去の展覧会で何度か見かけました)
夏目漱石の小説坊ちゃんには、ターナーの絵に例えるなどした部分が登場します。
日本の表現者にも多大な影響を与えた、その一面ですね。
以下の展示風景は「美術館より特別に写真撮影の許可をいただいて」スマホで撮りました。
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