生誕150年 横山大観展
生誕150年 横山大観展は、
東京国立近代美術館で開催されています。
会期 2018年4月13日(金)~ 5月27日(日)
大観の作品を時系列で展示した文字どおりの回顧展です。
展示構成は次の通り(シンプルですね)
1章 「明治」の大観
2章 「大正」の大観
3章 「昭和」の大観
水戸藩士の家に生まれた大観は、東京美術学校に一期生で入学。
校長は岡倉天心。
後に、意見の違いから、東京美術学校の校長を辞し、日本美術院を設立した岡倉天心に従って一時期五浦に移住し、
岡倉天心指導の下、西洋画に対抗する、世界に通用する絵画を目指します。
空気感を描くことも意識して、日本画伝統の線描を行わず面で描きました。
当時は朦朧体と揶揄されて悪評でした。
五浦に移った仲間、菱田春草、下山寒山、木村武山などの作品が認められ買い手がついていくなか、大観はくすぶっていました。
そして、ようやく《流燈》で文展で受賞を果たします。
《流燈》と同時期の作品で、行方が分からなくなっていた《 白衣観音 》が「100年ぶりの発見」として展示されています。(会場では《流燈》の横に展示されていました)
輪郭は線描されていませんが、着衣や、アクセサリーの精緻な描写と色彩のバランスが画面を引き立てています。
《白衣観音》 1908(明治41年) 絹本彩色 個人蔵
大観は画法、描く対象、あらゆる試行錯誤を繰り返し、西洋画に対抗できる日本画を推し進めていきます。
彗星の尾は墨を置かず描き抜き、星の輝きは胡粉で描いています。
1910(明治43)年に地球に近づいたハレー彗星を水墨画で描いた作品。
時の話題を取入れています。
《彗星》 1912(明治45)年頃 絹本墨画 個人蔵 東京展4/13-5/6展示
この作品は何度観たことでしょうか・・・
昭和5(1930年)にローマで開催された日本美術展覧会は男爵大蔵喜七郎の尽力により実現し、和のしつらえで当代の日本画を紹介したものだった。本作は大観がローマ展のために描きおろした新作。海外の観客にも理解されやすい主題と装飾画風を選び、満開の桜が情緒を訴えた。もちろん桜に寄せる日本人の心を表現するのが狙いだった。(展示キャプションから)
《夜桜》」1929(昭和4年) 紙本彩色 大倉集古館蔵
その隣には、
円熟期の大観の絢爛豪華な装飾画風を示す作品、《紅葉》が展示されていました。
《紅葉》 1931(昭和6年) 紙本彩色 足立美術館蔵
画法、描く対象、あらゆる試行錯誤を繰り返した画家大観の一つの集大成が55歳の時に描いた40メートルに及ぶ大作《生々流転》です。
朦朧体、かたぼかしなどで季節の空気感を演出しています。
以下は過去の展覧会で使われた解説から引用です。
《生々流転》は大気中の水蒸気からできた1粒の水滴が川をなし海へ注ぎ、やがて龍となり天へ昇るという水の一生を、40メートルにもおよぶ大変長い画面に水墨で描いた作品です。
「生々流転」とは「万物は永遠に生死を繰り返し、絶えず移り変わってゆくこと」という意味の言葉です。大観の《生々流転》にも、繰り返し姿を変えながら終わることのない水の生涯が描かれています。彼の壮大な自然観や人生観をも読み取れるダイナミックな作品ですが、一方で画面のところどころに鹿や猿などの生きもの、川に舟を浮かべる人などの小さなモチーフが描きこまれ、ささやかな生命に対する温かい眼差しもうかがうことができます。
重要文化財《生々流転》 1923(大正12年) 東京国立近代美術館蔵
そして大観と富士山、時に先の戦争との関わりで語られることも多いですね。
《群青富士》 1917(大正6)年頃 静岡県立美術館蔵
《霊峰十趣・山》 1920(大正9年) 個人蔵
HPの解説です。
横山大観(1868-1958)の生誕150年、没後60年を記念し、展覧会を開催します。
東京美術学校に学んだ大観は、師の岡倉天心とともに同校を去り、日本美術院を設立。新たな時代における新たな絵画の創出を目指しました。西洋からさまざまなものや情報が押し寄せる時代の中、日本の絵画の伝統的な技法を継承しつつ、時に改変を試み、また主題についても従来の定型をかるがると脱してみせました。やがてこうした手法はさらに広がりを見せ、自在な画風と深い精神性をそなえた数々の大作を生み出しました。
本展では、40メートル超で日本一長い画巻《生々流転》(重要文化財)や《夜桜》《紅葉》をはじめとする代表作に、数々の新出作品や習作などの資料をあわせて展示し、制作の過程から彼の芸術の本質を改めて探ります。
総出品数約90点を展観する大回顧展です。
東京国立近代美術館 生誕150年 横山大観展
InternetMuseum
東京国立近代美術館 生誕150年 横山大観展
InternetMuseum
東京国立近代美術館 生誕150年 横山大観展
InternetMuseum
| 固定リンク
コメント