「ルドン ― 秘密の花園」展
「ルドン ― 秘密の花園」展は、
三菱一号館美術館で開催されています。
会期 2018年2月8日(木)~5月20日(日)
この企画展の注目作品は、
ドムシー男爵が、ルドンに注文した城館の食堂装飾画ですね。
オルセー美術館所蔵の15点と三菱一号館美術館の《グラン・ブーケ(大きな花束)》が揃って展示されるのはこの展覧会が初めてだそうです。
ちょっと残念だったのは、食堂の雰囲気丸ごとを感じられるような展示にはなっていなかったことです。
その点を配慮してでしょうか、何時もの?撮影コーナー(室)四方にコピーを展示していました。
ルドンというと「異形のフォルム、モノトーン、思索的」な作品を多く見てきたように思いますが、この企画展でルドンの画家人生と作品を網羅的に観ることができたと思います。
展覧会の構成は次の通りです。
(会場内のキャプションを参考にしています)
1、コローの教え、ブレスダンの指導
《スペインにて》
1865年 エッチング/紙 22.2×15.9 cm シカゴ美術館
パリからボルドーに帰郷した当時、ボルドーには、ロドルフ・ブレースタンが滞在しており、ルドンはこの版画家からエッチングの手ほどきを受ける。
本作はこの頃制作された初期のエッチング作品の1つ。
2、人間と樹木
《夢の中で》『ゴヤ頌 』 III. 陰気な風景の中の狂人
1885年 リトグラフ/紙(シーヌ・アプリケ)22.7×19.3 cm 三菱一号館美術館
ルドンは1874年頃からレイサック夫人のサロンに通っていた。
新たな技法を獲得したルドンは、次々と石版画を製作するようになり、1879年に最初の石版画集「夢の中で」が完成する。
わずか25部のみの印刷部数で、そのほとんどがメイサック夫人やサロンの仲間たちによって引き取られた。
《アレゴリー(太陽によって赤く染 められたのではない赤い木)》
1905年 油彩/カンヴァス 46.0×35.5 cm 三重県立美術館
「赤い木」をルドンは幾度も描いており、画家にとって特別な象徴性を持っていると考えられる。
中央に描かれた人物は「キリストの洗礼」や「ノリ・ナ・タンゲレ(我に触れるな)」と言ったキリスト教美術の伝統的な主題と関連付けられている。
一方で、明るい色彩や貝殻のようなモチーフは神話主題も想起させる。
《キャリバンの眠り》
1895-1900 年 油彩/カンヴァス 48.3×38.5 cm オルセー美術館
シェイクスピアの戯曲「テンペスト」に登場するキャリバンは、主人公プロスペローに仕えた野蛮な奇形の奴隷である。
異形の生物を好んで描いたルドンにとって「テンペスト」に出てくる小怪物は創作意欲を刺激されるキャラクターだった。
樹木は、空想上の存在の寄り代として描かれる・・・・
3、植物学者アルマン・クラヴォー
『夢想(わが友アルマン・クラヴォーの思い出に)』 VI. 日の光
1891年 リトグラフ/紙(シーヌ・アプリケ) 21.0×15.8 cm 三菱一号館美術館
1891年に80部限定で出版された石版画集「夢窓」の題名は、その前年にボルドーの自宅で自殺したルドンの年上の友、アルマン・クラヴォーに捧げられた。
窓枠の向こうに樹木が描かれ、室内には胞子か細胞のようなものが舞っており、植物学者へのオマージュとなっている。
4、ドムシー男爵の食堂装飾
《グラン・ブーケ(大きな花束)》
1901年 パステル/カンヴァス 248.3×162.9 cm 三菱一号館美術館
ロベール・ド・ドムシー男爵(1862-1946)の城館を飾った16点の壁画のうちの1点です。
16点のなかで最大、華やかさがひときわ目立つ三菱一号館美術館自慢の所蔵品ですね。
左《人物》右 《人物(黄色い花)》
1900-1901年 木炭、油彩、デトランプ/カンヴァス オルセー美術館
「オルセー所蔵15点のドムシー男爵の城館の食堂壁画」のうちの2点。
暖炉のマントルピ-ス上の壁に配された作品。
5、、「黒」に棲まう動植物
6、、蝶の夢、草花の無意識、水の眠り
《 蝶 》
1910 年頃 油彩/カンヴァス73.9×54.9 cm ニューヨーク近代美術館( MoMA)
描かれているのは蝶なのか花なのか?ルドンの絵にはこうした曖昧な部分がみられ、鑑賞者には多様な解釈が許されています。
7、再現と想起という二つの岸の合流点にやってきた花ばな
ルドンは初期から花瓶の花を描いてきたが、晩年には特別に制作数が増えている。合計81種類の花瓶が使われたことが判明しているが、そのうち1つは陶芸家のマリー・ボトキンの手によるもので角度を変えながら計7点が描かれている。また日本の役者を描いた上も数点描かれ描かれている。
《野の花のいけられた花瓶》
1910年頃 油彩/カンヴァス 55.9×39.4 cm NGAナショナル・ギャラリー、ワシントン
8、装飾プロジェクト
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HPの「本展の見どころ」から
三菱一号館美術館では2018年2月8日(木)~5月20日(日)まで「ルドン―秘密の花園」展を開催します。
オディロン・ルドン(1840-1916年)は、印象派の画家たちと同世代でありながら、幻想的な内面世界に目を向け、その特異な画業は、今も世界中の人の心を魅了して止みません。なかでも本展は植物に焦点をあてた、前例のない展覧会となります。
本展の大きな見どころは、フランス・ブルゴーニュ地方に居を構えた美術愛好家のドムシー男爵が、ルドンに注文した城館の食堂の装飾画です。完成後、装飾画はドムシー城に秘蔵され、当館所蔵の《グラン・ブーケ(大きな花束)》を除く15点は食堂の壁から取り外され1980年には日本でも公開されましたが、1988年にフランスの“相続税の美術品による物納”制度により国家所有に帰し、現在はオルセー美術館の所蔵となっています。残された《グラン・ブーケ》は制作後110年目の2011年3月、パリで開催されたルドン展にて初公開され、今日まで当館の所蔵品として幾度か公開してきましたが、本展では、オルセー美術館所蔵の15点と合わせてドムシー城の食堂を飾ったルドンの装飾画が一堂に会す日本初の機会となります。
このほか、世界有数のルドンコレクションとして名高い岐阜県美術館をはじめ、国内の美術館、そして、オルセー美術館、ボルドー美術館、プティ・パレ美術館(パリ)、ニューヨーク近代美術館[MoMA]、ワシントン・ナショナル・ギャラリー、シカゴ美術館、フィリップス・コレクションなど海外の主要美術館から、植物のモティーフのルドン作品が来日し、およそ90点により構成する大規模なルドン展となります。
三菱一号館美術館 ルドン ─ 秘密の花園
第1章「コローの教え、ブレスダンの指導」
第2章「人間と樹木」
第3章「植物学者アルマン・クラヴォー」
InternetMuseum
三菱一号館美術館 ルドン ─ 秘密の花園
第4章「ドムシー男爵の食堂装飾」
InternetMuseum
三菱一号館美術館 ルドン ─ 秘密の花園
第5章「『黒』に棲まう動植物」
第6章「蝶の夢、草花の無意識、水の眠り」
第7章「再現と想起という二つの岸の合流点にやってきた花ばな」
第8章「装飾プロジェクト」
InternetMuseum
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