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2018.03.30

ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち

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「ボストン美術館 パリジェンヌ展
時代を映す女性たち」は、
世田谷美術館で開催されています。

会期 2018年1月13日(土)~4月1日(日)

この展覧会の時代背景は、
1715年ルイ15世が5歳で即位、1774年ルイ16世即位、その18世紀からシャルル・ドゴールが第5共和政(1958年)の初代大統領に選出される20世紀中ごろまでです。

パリという魅力あふれる都市に生きる(生きてきたた)女性を・・・
あるべき姿とされた時代から(社会的な位置づけ)社会進出に至る過程での変遷をファッションアイテム、肖像画、調度などを通して概観しています。


一番の注目はこの作品でしょうか・・修復後初公開です。
酒場を渡り歩く歌い手を描いた作品。
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エドゥアール・マネ 《街の歌い手》
1862年頃 油彩・カンヴァス 

この作品のモデルは10年以上にわたりマネのモデルを務めたヴィクトリーヌ・ムーランである。彼女はアルコール中毒と貧しさの中で亡くなったとされていたが、近年の研究で後年はサロンでも出品する画家として活躍していたことが明らかになった。(キャプションから)


展覧会の構成は以下の通りです。
第一章 パリという舞台・・邸宅と劇場に見る18世紀のエレガンス
ルイ15世の寵愛を受けた女性(チラシより)
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フランソワ・ユベール・ドルーエ 《トルコ風の衣装を着たマルグリット・カトリーヌ・エノー嬢、後のモンムラ侯爵夫人》
1762年 油彩・カンヴァス 

舞台衣装がトレンドに(チラシより)
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原画、版刻:ジャン=バティスト・マルタン 出版:エスノー、ラピイ 《ヴィーナス…『ギャルリー・デ・モード・エ・コスチューム・フランセ』フランスの衣服25、1779年の流行の衣服19より》
1779年 エッチング、手彩色 

第二章 日々の生活・・家庭と仕事、女性の役割
若い召使、誘惑するまなざし(チラシより)
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ルイ=レオポルド・ボワイ― 《アイロンをかける若い女性》
1800年頃 油彩・カンヴァス 

自立する女性を揶揄する風刺画(チラシより)
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オノレ・ドーミエ 《〈青鞜派〉第28図(『シャリヴァリ』1844年5月23日)》
1844年 リトグラフ、第3ステート 

第三章 パリジェンヌ確立・・憧れのスタイル
パリジェンヌになりきる、ボストン社交界の美女(チラシより)
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ジョン・シンガー・サージェント 《チャールズ・E. インチズ夫人(ルイーズ・ポメロイ)》
1887年 油彩・カンヴァス 

ウジェニー王妃お気に入りの肖像画家の傑作(チラシより)
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フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター 《ヴィンチェスラヴァ・バーチェスカ、ユニヤヴィッチ夫人》
1860年 油彩・カンヴァス

第四章 芸術をとりまく環境・・製作者、モデル、ミューズ
ルーブルで絵画鑑賞するカサット姉妹(チラシより)
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エドガー・ドガ 《美術館にて》
1879–90年頃 油彩・カンヴァス

第五章 モダン・シーン・・舞台、街角、スタジオ
ベル・エポックのキュートなイラスト(チラシより)
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ゲアダ・ヴィーイナ 《スコットランドシルクのベスト、ねずみ色の綿の厚手クレープのスカート『ジュルナル・デ・ダム・エ・デ・モード』より、プレート170》
1914年 エッチング、手彩色(ポショワール) 

戦後パリのみずみずしいファッション写真(チラシより)
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レギーナ・レラング 《バルテ、パリ》
1955年 ゼラチン・シルバー・プリント 


HPの解説です。
パリという魅力あふれる都市に生きる女性、パリジェンヌ。サロンを仕切る知的な女主人、子を慈しむ美しい母、流行を生み出すファッショニスタ、画家のミューズ、そして自ら道を切り開き才能を開花させた画家や女優――その多様な生き方は、今なお私たちを惹きつけてやみません。

本展覧会では、マネの《街の歌い手》をはじめ、ドガやルノワールなど印象派の巨匠が描いた女性の肖像、カサットやモリゾなど女性芸術家による傑作、カルダンやバレンシアガの斬新なドレスからブリジット・バルドーほか映画や舞台で活躍した女優のポートレートまで、ボストン美術館所蔵の多彩な作品約120点を通して、18世紀から20世紀のパリを体現する女性たちの姿に迫ります。

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2018.03.27

美術館と桜(乃木坂・六本木・東京ミッドタウン・砧公園)

今年の開花は早いですね~
美術館に行ったついでに、その周辺の桜を鑑賞してきました。
いっせいに咲き乱れた今年の桜・・・美術館周辺の景色も見事でした。
今週末までもつかな~


乃木坂(国立新美術館
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六本木ヒルズ周辺
森美術館森アーツセンターギャラリー
さくら坂
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毛利庭園
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東京ミッドタウン
サントリー美術館21_21 DESIGN SIGHTフジフィルムスクエア
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砧公園世田谷美術館
よく行く美術館ですが、公園内を散策するのは何年かぶりでした。
広大な敷地には古木の桜もあって、桜の下で大勢の人々が楽しんでいました。

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2018.03.24

第158回芥川賞受賞作「おらおらがひとりいぐも」(若竹千佐子著)を読んでみました

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第158回芥川賞受賞作「おらおらがひとりいぐも」(若竹千佐子著)を読んでみました。
ここ数年の受賞作に中で一番の秀作と思いました。

 

読んでから可成りの日にちが過ぎたので、上手くまとめられたか心もとないのですが、以下に気になったフレーズと共に紹介してみます。

 

 

ーーこの小説の冒頭部分です。

 

あいやぁ、おらの頭(あだま)このごろ、なんぼがおがしくなってきたんでねでか
どうすっぺぇ、この先ひとりで、何処(なんじょ)にすべがぁ
何処(なんじょ)にもかんじょにもしかたながっぺぇ
てしたごどねでば、なにそれぐれ
だいじょぶだ、おめには、おらがついでっから
あいやぁ、そういうおめは誰なのよ
きまってっぺだら。おらだば、おめだ。おめだら、おらだ

 

ーーーーーー

 

郊外の住宅地に住む74歳の桃子さん、既に夫は亡く二人の子供とも疎遠になりがちです。
そんな桃子の日常を語り部と内なる声で綴ります。桃子さんの内なる声は東北弁で語られています。
「おらだば、おめだ。おめだら、おらだ」
桃子さんの人物像が一層際立ちます。ーー

 

桃子さんは、一日中家に居て、古里のこと、子供の頃おばあちゃんに教わったこと、周造のことなどなどを考えています。雑然とした部屋の中でーーーーーーー
そして「おらだば、おめだ。おめだら、おらだ」-----

 

 

おらの心の内側で誰かがおらに話しかけてくる。東北弁で。それも一人や二人ではね。大勢の人がいる。今やその大勢の人がたの会話で成り立っている。それをおらの考えと言っていいもんだがどうだか。確かにおらの心の内側で起こっていることで、話し手もおらだし、聞き手もおらなんだが、なんだがおらは皮(がわ)だ、皮にすぎねど思ってしまう。おらという皮で囲ったあの人がたはいったい誰なんだが。 ついおめだば誰だ、と聞いてしまう。おらの心の内側にどうやって住んでんだが。あ、そだ。小腸の絨毛突起のよでねべが。んだ、おらの心のうちは密生した無数の絨毛突起で覆われてんだ。ふだんはふわりふわりとあっちゃにこっちゃに揺らいでいて、おらに何か言うときだけそこだけ肥大してもの言うイメージ。おらは困っているども 、案外やんたぐね。それでもいい、おらの心が おらに乗っ取られても。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

露寒の日が続くーーーー
疎遠になっている直美から電話が来ることになっていて、戸惑いを感じながらも、喜びが湧いてくる。
(直美は、車で20分位のところに住んでいる)

 

桃子さんがずっと考え続けてきたことを、今こそ娘に伝えたいと思ったのだった。
直美がなぜ離れていったのか・・・・ あの時の後悔を。

 

 

「・・・急で悪いんだけど、あの・・・お金貸してくれない」

 

ーーー桃子さんは咄嗟のことで躊躇したーーしばらくの沈黙が続いてーーーーー

 

「なによ。お兄ちゃんだったら、すぐに貸してあげるくせに」

 

ーーーー
桃子さんは娘とのことを思うと、
古里を離れたときの母との経緯(いきさつ)を思い出す。
(結婚を促されるなどのことあって ・・・)

 

兄さんが継ぐ兄さんのためということか?
ずっとあそこにいるのはもう嫌だ。母ちゃんの目の届かないところで何もかも新しく始めたい。
東京オリンピックの年だった。

 

ーーーーーーーーーー

 

だいたい、いつからいつまで親なんだか、子なんだか、親子といえば手を繋ぐ親子を想像するけれど、ほんとうは子が成人してからの方がずっと長い。かつての親は末っ子が成人する頃には亡くなってしまったそうだけど、今の親は自分の老いどころか子の老いまで見届ける。そんなに長いんだったら、 いつまでも親だの子だのにこだわらない。ある一時期を共に過ごして、やがて右と左に別れていく。それでいいんだと思う。それでもちゃんと覚えているのだ、大事だということを。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

八月の終わり、桃子さんは町唯一の総合病院に出向いた。
診察を終え、会計を済ませたのは昼過ぎだった。
何時もの喫茶店の窓際に座って、古里を出た後の都会での生活、周造との出会い、職場での友人との思い出・・・故郷への思い、周造との生活そして死別、様々な出来事が脳裏に浮かんでくる。
桃子さんはとことん突き詰めて思考するタイプの人間であることを自認している。

 

ーーーー

 

二人の間に流れた歳月。
周造とおらは似ている。周造を愛することはおらお愛することと同じ、何も変わらない、そう思っていた。
周造は父で、兄で弟で、ときには息子であったかもしれない。
どんなに近しくてもやはり自分ではない、他者である。そう気づくには十分な月日が流れたのだ。周造が変わったのではない、桃子さんが変わった。桃子さんは自分のために生きたいと願うようになった。桃子さんをどんなに責めさいなむ声が聞こえても、もう引き返せないし、周造、おらはやっぱり引き返さない。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

朝の涼しさが増してきた。夜通し声の限りに鳴く虫の音もさすがに今はおぼつかない。
桃子さんはあふれる笑顔で階段を下りて、身支度を整えた。
亭主が眠る市営霊園に行くことにしている。
バスで楽して行くこともできるが、桃子さんは手弁当で、手前の脚で行くことにこだわってている。
道すがら、歩き疲れて、落ち葉の上にべったり座って、記憶をたどりーーーー
躓いてしまい、激痛の中で墓地に辿り着くだろうかと思いながらーーー
思いつくままに思考を続けます。

 

 

もういままでの自分では信用できない。おらの思ってもみながった世界がある、そこざ、いってみて。おら、いぐも。おらおらで、ひとりいぐも。

 

亭主が亡くなってからというもの、現実は以前ほどの意味を持たなくなった。こうあるべき、こうせねば、生きる上で桃子さんを支えていた規範は案外どうでもいいものに思えてきた。現実の常識だの約束事は亭主がいて守るべき世界があってはじめて通用する。
子供も育て上げたし、亭主も見送ったし。もう桃子さんが世間から必要とされる役割は全て終えた。きれいさっぱり用済みの人間であるのだ。亭主の死と同時に桃子さんはこの世界との関わりも立たれた気がして、もう自分は何の生産性もない、いてもいなくてもいい存在、であるならこちらからだって生きている上での規範がすっぽ抜けたっていい、桃子さんの考える桃子さんのしきたりでいい。おらはおらに従う。どう考えてももう今までの自分ではいられない。誰にも言わない、だから誰も気づいていないけれど、世間だの世間の常識だのに啖呵を切って、尻ぱっしょりをして遠ざかっていたいとあの時から思うようになった。

 

 

桃子さんという人は人一倍愛を乞う人間だった。およそ家庭的な愛に恵まれていたのになおもっともっと。人を喜ばせたいという気持ちも強かった。そのために人が自分に何を要求しているかに敏感だった。その要求に合わせていかようにも自分を作っていけるような気がした。やさしさ、従順、協調性。いつでもどうぞ。いつか桃子さんは人の期待を生きるようになっていた。結果としてこうあるべき、という外枠に寸分も違わずに生きてしまったような気がする。それに抗うほど尖ってもいなかったし、主張するほどの強い自分もなかったのだ。
気がつくために費やされた時間が、すなわち桃子さんの生きた時間だった。あいやぁ、という他はない。

 

 

 

墓所についてちらりと横を見ると赤いものが目の端に飛び込んできた。枯れて半分ひしゃげたカラスウリが一つ。
たちどころに桃子さんは分かったのである。あの笑いの意味。ひっきりなしにこみあげる笑いの意味。
ただ待つだけでながった。赤に感応する、おらである。まだ戦える。おらはこれがらの人だ。こみあげる笑いはこみあげる意欲だ。まだ、終わっていない。桃子さんはそう思ってまた笑った

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

十二月になった。
このあたりの木々もやっと、紅葉し始めた。

 

桃子さんは食欲も旺盛で元気だ。
老いについて考えている。

 

暮れも押し詰まったころ、桃子さんは久しぶりで古里の八角山の夢を見た。
「いったい八角山はおらにとってなんだべか」
それは常に桃子さんの傍らの問だった。
今までにあったことが、全て八角山とどこかでで繋がっていた。

 

 

ーーーー

 

 

明日は立春という晩、桃子さんはわずかばかりの豆を用意した。

 

おらはちゃんとに生ぎだべか

 

おらは後悔はしてねのす。見るだけ眺めるだけの人生に
それもおもしぇがった。おらに似合いの生き方だった
んでも、なしてだろう。こご至って
おらは人とつながりがりたい、たわいない話がしたい。ほんとうの話もしたい
ああそうが、おらは、人恋しいのか
話し相手は生きている人に限らない。大見得を切っていだくせに
またこの国に災厄が迫っている気がするも、どうしてもするも
伝えねばわがね、それでもほんとにおらが引き受けたおらの人生が完結するのでねべか
んだともおら、南京豆に爪を立てるほどの

 

桃子さんはわっと泣き出した。あれほど嫌った涙を今度はぬぐいもせずただ泣きに泣いた。涙と鼻水と、こなれた南京豆の混じったよだれでぐしゃぐしゃになりながら、赤子のように桃子さんは泣いた。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

三月三日の昼下がり、だいぶ春めいてきた。
桃子さんは懐かしい人形を部屋の片隅に飾って・・・
聴こえてきたばっちゃまの声に、小さな声で呟いていると・・・

 

「おばーちゃん、だれと話しているの」
背後の声に驚いて振り返れは
「あいやぁ、さやちゃん。どうしたの。えっ、ひとりで来たのが」
「バスで来たの」
「お母さんは知っているのが」

 

矢継ぎ早に聞く桃子さんに

 

「だいじょうぶだよ四月から三年生だよ一人で来れるもん」

 

ーーー

 

「おばあちゃん、窓を開けるね」
「あ」
「おばあちゃん来て来てて早く」
「はあい」
桃子さんは笑ったままゆっくりと立ち上がった。
「今行くがら待ってでけで」
「春の匂いだよ。早くってば」

 

 

 

このエンディングは暖かいですね。

 

 

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2018.03.21

人体―神秘への挑戦― 展

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人体―神秘への挑戦― 展は、
国立科学博物館で開催されています。

会期 3月13日(火)~6月17日(日)


開催錚々、大変混雑しています。
混雑時には、整理券の配布を行っています。(観に行かれる方はHPで確認してくださいね!)
なるべく、土日(休日)は避けた方がよさそうです。

科博の特別展は撮影可であることが多いのですが、本展は、一部を除いて不可になっています。
また、ヒトの臓器標本が展示されています。
夫々の部位に分けて展示されていて、展示場所は壁で囲まれています。
希望者のみ列に並んで鑑賞することになっています。


ーーーHPの開催概要からーーー

ルネサンスより続く人体を理解するための努力の歴史を振り返りながら、人体の構造と機能を解説し、最先端の研究でどのように変わりつつあるのかを紹介します。


ご観覧に際して
本展覧会では、一部のエリアで、私たちの臓器の構造や機能を正しく知っていただくために、ヒトの臓器標本を展示しています。
なお、展示にあたりましては、ご希望の方のみご観覧いただけるよう配慮しております。ご希望されない方のご観覧は、ご自身の判断によりお控えください。
また、本展覧会では指定された場所以外での写真撮影は禁止です。ヒトの臓器標本の撮影も禁止です。
以上のことをご了承のうえ、ご来場くださいますよう、ご案内申しあげます。

ーーーーーーーーーーーーーー

科博では定番ですが、NHKとのコラボ企画です。
各コーナーに置かれたディスプレーに高精細動画が流れていて分かり易く解説しています。

人体理解の歴史、科学の力(進歩)による人体理解の進化、視覚化、そして尽きることのない「不思議」・・・・・会場内には膨大な展示資料が・・・・老化した頭には詰込み切れませんした!
医学の進化はこれからも見逃せません。


以下に展覧会の構成を記します。

第一章 人体理解へのプロローグ
古代ヨーロッパの人体感
アルクマイオンとガレノス

ルネサンス期の解剖学の先駆け
モンディーノ・デ・ルッツイ

「万能の巨人」レオナル・ド・ダヴィンチ
レオナル・ド・ダヴィンチの「解剖手稿」

ウィンザー城王室コレクション所蔵のレオナルドダヴィンチの解剖図

ルネサンス期の人体感
近代解剖学の祖
アンドレアス・ヴェサリウス
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16世紀の医学・解剖学者アンドレアス・ヴェサリウスの「ファブリカ」初版本 1543年 広島経済大学


解剖学の普及
パドヴァの解剖劇場

ワックスモデル
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消化管のワックスモデル
ジュール・タルリッシュ 1876年 ブールハーフェ博物館

キンストレーキ
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キンストレーキ(女性) 19世紀 福井市立郷土歴史博物館
ワックスモデルが高価であったため張り子製の人体模型を考案した。

先端技術で見る人体

ウィンザー城王室コレクション所蔵のレオナルドダヴィンチの解剖図

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第2章 現代の人体理解とその歴史
2-1 循環器系と泌尿器系
循環器系の概要

レオナル・ド・ダヴィンチが見た心臓の内景

顕微鏡の発見と毛細血管の発見

血液循環説を唱えた   ウイリアム・ハーヴェイ
毛細血管を発見した   マルチェロ・マルピーギ

ディヴィニ制作の複式顕微鏡

光学顕微鏡の発達と歴史

18世紀の複式顕微鏡

ミクロの世界を発見した   アントニ・ファン・レーウェンフック
レーウェンフックの単式顕微鏡
レーウェンフックの観察した毛細血管
ブールハーフェ博物館とレーウェンフックの顕微鏡

心臓の構造と機能

循環器系の構造と役割

さまざまな動物の心臓の比較解剖
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2心房2心室がお馴染みの人間の心臓は、両生類や爬虫類とは構造が異なるのだ。
開放血管系と閉鎖血管系

毛細血管の構造と機能

泌尿器系の概要
腎臓の構造と働き
尿の生成
腎臓による血圧の調整

さまざまな動物の腎臓の比較解剖

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2-2 神経系
神経系の概要

レオナル・ド・ダヴィンチ考えた脳の構造
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「解剖手稿」より頭部断面、脳と眼の結びつき部分
1490-92年頃 ウィンザー城王室コレクション

進みゆく脳の理解
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脳の神経線維模型  1893-1910年頃 ブールハーフェ博物館

神経研究のパイオニア  カミッロ・ゴルジ
ニューロン説を唱えた   サンチャゴ・ラモン・イ・カハール

日本の神経解剖学研究
日本の神経解剖学の草分け  布施現之助
萬年図譜の世界  萬年甫

中枢神経と末梢神経の形態
脳の構造
中枢神経:脳と脊髄

さまざまな動物の脳の比較解剖

ヒトの脳の進化

脳の中の人体地図を発見した   ワイルダー・グレイヴス・ペンフィールド

アインシュタインの脳切片
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1955年以降 新潟大学脳研究所


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2-3 消化器系と呼吸器系
消化器系の概要

レオナル・ド・ダヴィンチの観察した消化器系
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「解剖手稿」より消化管と腎臓そして尿管部分
1506-08年頃 ウィンザー城王室コレクション

消化管の構造と役割
胃・小腸・大腸・肝臓・腎臓と脾臓、

さまざまな動物の消化器系の比較解剖

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呼吸器系の概要
呼吸の理解

呼吸の本質を解明した  アントワーヌ=ローラン・ド・ラヴォアジェ

肺の構造と役割

さまざまな動物の肺の比較解剖


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2-4 運動器系
運動器系(骨と筋肉)の概要
骨格の構造と関節の役割
運動を起こす筋肉
ヒトの全身の筋肉
さまざまな動物の骨格
アクチンとミオシン
造血

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2-5 人体の発生と誕生
人体の発生の概要
ヒト胚の成長
ヒトの体内での成長 
ヒトの成長
江戸時代の人骨に見るヒトの成長
同一人物(男性)の小学校1年生から高校1年生までの手の骨の成長の様子
同一人物(女性)の小学校1年生から中学3年生までの手の骨の成長の様子


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第3章 人体理解の将来に向けて
DNA の研究史
DNA ・遺伝子・ゲノム
ヒトとチンパンジーのゲノムの違い
縄文人のゲノムを読む
エビジェネティクス
哺乳類はどのように進化したのか・そしてヒトは

プロローグ神秘の巨大ネットワーク
NHK スペシャル
人体神秘の巨大ネットワーク

体 内美術館
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腎臓の糸球体 ©甲賀大輔・旭川医科大学/日立ハイテクノロジーズ/NHK


国立科学博物館「人体 神秘への挑戦」展=ダビンチの手稿や臓器の実物も紹介
時事通信社/JIJIPRESS



ヒトの体の謎を解き明かす特別展「人体」国立科学博物館 NHKニュース

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2018.03.18

浜田知明 100年のまなざし展―戦争を経て、人間を見つめる

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浜田知明 100年のまなざし展は、
町田市立国際版画美術館で開催されています。

会期 2018年3月10日(土)~4月8日(日)


浜田知明は2017年に100歳を迎えました。
浜田知明の創作活動の原点は戦争体験にあります。
戦争体験を伝える手段として選んだのが銅版画です。
「金属的な鋭い線とひやりとした感触」や明暗の深さに感情の表現を期待して。

そして、社会全般への眼差し、その中での個人の偶像も時にはユーモアをまじえて表現していきます。

この展覧会は初期銅版画から近年までの浜田作品を網羅するとともに、浜田と前後して銅版画による新しい表現を求めて活躍した関野準一郎、駒井哲郎、他数名の作品も併せて展示しています。

浜田は東京美術学校を卒業してすぐ召集されて、初年兵として22歳で中国大陸に渡りました。
通算5年間にも及ぶ兵役の後、表現方法を模索する中、1950年から、銅版画に取り組みました。


少年兵の頃、日々自殺を考えた浜田の自画像とも言える作品。
一人きりになれる唯一の時間である夜の歩哨の最中、銃口を喉元に当て引き金を足で引き自らの命を絶とうとする兵士が描かれている
ポロリとこぼれた涙は最後の人間らしさ。(キャプションから)
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《初年兵哀歌(歩哨》1954年 エッチィング・アクアチント

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《初年兵哀歌(便所の伝説》1951年 メゾチント

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1950年代後半になると社会へのまなざし・・・より広いまなざしで捉え作品に表現していきます。


08
《地方名士》1958年 エッチィング・メゾチント
中央と地方で二つのお顔を使い分ける人間の卑小さを風刺しています。
(※申し訳ありません、画像とタイトルが一致していなかったので、正しい画像に差し替えました。)

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《群盲》1960年 エッチィング・アクアチント
当時の美術界にはアンフォルメル旋風が吹き荒れていた。何を描いたかわからないものを自分の目で見ず有難がる人々を皮肉った。
当時の美術会に対するアンチテーゼが込められている。(キャプションから)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

いっぽう1970年半ばからは、主題を個人の人間像に迫る、時にユーモラスナ造形が目立つようになります。

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《ややノイローゼ気味》(銅版画集「曇後晴」収録) 1975年 エッチィング・アクアチント
ノイローゼになってから回復するまでの自らの体験をシリーズにした作品の中の一枚。


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《夜》1988年 エッチィング・アクアチント
当時話題となった週刊誌の過熱報道やそれを楽しむ大衆の下品さが着想源の一つにあり、見えない世論とそれに踊らされる滑稽さを描いている。(キャプションから)


この展覧会の最終章では浜田の生涯のテーマである戦争体験という原点に立ち返り、浜田がつきつけてきた戦争体験と記憶をテーマとする作品を現代作家の作品とともに展示しています。

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《ボタン(A)》1988年 エッチィング・アクアチント・手彩色
一部の指導者が世界を操る核と戦争の構造を表現しています。

戦前戦後を体験した画家の重たい示唆を受け止めながらの観賞になりました。

展覧会の構成は次に通りです。
1章 兵士のまなざし 刻み込んだ記憶 1951-1954年
2章 社会へのまなざし 「見えない戦争」を描く 1956-1974年
3章 人へのまなざし 愛しいかたち 1974-2002年
4章 新しい表現を求めて 1950年代の銅版画表現 
5章 記憶をつなぐ 時代を見つめつづけて 


HPの解説です。
「戦争の残酷さや悲惨さ、軍隊の野蛮さや愚劣さを描きたい」。戦争と軍隊の不条理に耐える初年兵としてこの強い意志を抱いたとき、浜田知明は21歳でした。そして、昨年100歳を迎えた画家が今なお抱え続ける原点の思いでもあります。通算5年に及ぶ過酷な従軍生活の後、27歳で終戦を迎え、中断を余儀なくされた画家の活動を再開。1950年、32歳で駒井哲郎や関野凖一郎らと交流しながら本格的に銅版画制作を開始し、戦争経験を糧に『初年兵哀歌』シリーズを生み出しました。

初年兵として抱えた心の痛みに留まらず、侵略者としての自己にもまなざしを向けたこのシリーズは、銅版画ならではの冷たいマチエールが印象的です。否応無く戦争に巻き込まれる人間の哀しみを、敵味方を超えて表現し、戦後日本の版画に新たな地平を開きました。
その後の浜田が描いたのは社会や人間、そして自分自身の諷刺です。鋭くユーモラスな主題と造形で社会の本質を突き、弱く愚かな人間への愛を作品にこめました。60代から手がける彫刻にも、造形の魅力が詰まっています。
本展では、寄贈により近年新たに収蔵した作品を中心に、初期から近年までの銅版画約90点と彫刻作品4点を当館所蔵品からご紹介。あわせて、浜田と前後して銅版画による新しい表現を追い求めた駒井哲郎、瑛九、浜口陽三、池田満寿夫らの作品も展示し、合計約150点をご堪能いただきます。
100歳を迎えようとしてもなお、深いまなざしで時代を見つめ続ける浜田の軌跡を追うことは、現代の私たちへの大きな問いかけとなるでしょう。


InternetMuseumの動画を追加しました。

町田市立国際版画美術館 浜田知明 100年のまなざし
1章 兵士のまなざし 刻み込んだ記憶 1951-1954年
2章 社会へのまなざし 「見えない戦争」を描く 1956-1974年
InternetMuseum



町田市立国際版画美術館 浜田知明 100年のまなざし
3章 人へのまなざし 愛しいかたち 1974-2002年
InternetMuseum



町田市立国際版画美術館 浜田知明 100年のまなざし
4章 新しい表現を求めて 1950年代の銅版画表現 
5章 記憶をつなぐ 時代を見つめつづけて 
InternetMuseum

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2018.03.15

寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽

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「寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽」は、
サントリー美術館で開催されています。

会期 2018年2月14日(水)〜4月8日(日)

「寛永の美」というタイトルから瞬間的にはイメージが湧いてきませんが・・・遠州、仁清、探幽という固有名詞からは映像が浮かんできます。

小堀遠州(1579~1647)は寛永文化を代表する茶人で、武家の教養としての「大名茶」を目指すべく様々な新機軸を打ち出し、新旧あらゆる世界の道具から選別し、その景色は後に「きれい寂(さ)び」と評されるようになりました。
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瀬戸肩衝茶入 銘 飛鳥川 江戸時代 17世紀湯木美術館
遠州が生涯で最も愛した茶入。59歳以降、少なくとも70回近く使用したことが知られている。
遠州は堺でこのお茶入れを初めて見た時、新しいものを見て惹かれなかったが、晩年に伏見で見直すと、その素晴らしさに驚き、所有したという。
銘は「古今和歌集」の和歌にちなむ。
(展示品キャプションから)


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仁清といえば色絵のイメージが強いですが、実際公家が求めた御室焼は、モノトーンの作例が多い、この展覧会には、仁清のこの様な作例の作品が沢山展示されており、仁清理解が深まります。

野々村仁清は、御室仁和寺の門前に窯を開き、御室窯の活動を開始します。そして、この開窯にあたって指導者的な位置にあったのが、遠州と同じく寛永期に活躍した茶人、金森宗和です。

金森宗和の没後御室焼は色絵技法の寛政を背景に隆盛期を迎え諸大名の座敷飾りの調度として求められるようになりました。
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色絵花輪違文茶碗 一口 野々村仁清 江戸時代 17世紀 サントリー美術館
口縁の外側に銀彩 の帯を廻らせ、胴の中腹に花輪違文を、その下に花入りの連弁文を色絵で表す。
色絵の花輪違文茶碗は、金森宗和の生前にすでに作られていた。
本作はそこに銀彩や連弁文が加えられており、宗和好みを継承しつつ華やかさが加えられてものと考えられる。
(展示品キャプションから)


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探幽の絵画は後水尾院に称賛されるなど、宮廷文化からも評価されるものでした。
その画風は、探幽と交流のあった小堀遠州の「きれい寂び」に通じるものとも言えるでしょう。すなわち、探幽の新様式は、武家や公家といった枠組みを越えて共有されていた、最先端の「時代の美」だったのです。

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桐鳳凰図屛風 狩野探幽 六曲一双 江戸時代 17世紀 サントリー美術館
数少ない探幽の金地濃淡屏風。それまでの狩野派の絵と比べてモチーフが極めて少ない。樹木の表現も桃山時代のような構図の重心をなすものものではないなど新しい構成原理で描かれている。完成された探幽様式による本屏風は、以後の探幽派の規範となり描き継がれていった。(展示品キャプションから)


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名古屋城上洛殿上段之間襖絵 高士渡橋「帝鑑図」  四面 狩野探幽 寛永11年(1634) 名古屋城総合事務所


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HPの解説です。
17世紀初め、江戸幕府が政権を確立すると戦乱の世は終わりを告げ、泰平の時代がおとずれました。時を同じくして文化面でも新たな潮流が生まれます。それが寛永年間(1624~44)を中心に開花した「寛永文化」です。寛永文化は「きれい」という言葉に象徴される瀟洒な造形を特徴とし、当時の古典復興の気運と相まって、江戸の世に「雅」な世界を出現させることとなりました。
寛永文化の中心は京都にあり、なかでも学問・諸芸に造詣の深かった後水尾院(ごみずのおいん)は、長く絶えていた儀礼や古典文芸の復興に心を尽くしたことで知られています。特に和歌は朝廷を象徴する芸能に位置づけられ、その洗練された優美さを追求する姿勢は、和歌のみならず、多くの美術作品にまで影響を及ぼすこととなりました。
一方、幕府はそうした公家衆の動向に注目し、時には意見を異としながらも、公武間の文化的な交流は盛んに行われました。京都のサロンを主な舞台としたその交流は、さまざまな階層の人々を巻き込み、公家、武家、町衆といった垣根を越えて、新しい時代にふさわしい美意識を醸成し、共有されていったのです。
本展ではこのような近世初期の「雅」を担った宮廷文化と、それと軌を一にして生まれた新時代の美意識が、小堀遠州(こぼりえんしゅう)、野々村仁清(ののむらにんせい)、狩野探幽(かのうたんゆう)などの芸術に結実していく様子をご覧いただきます。

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朝儀図屛風 六曲一双 土佐光起 江戸時代 17世紀 茶道資料館
宮廷儀礼を題材として業務で右隻には「小朝拝」左隻には塑旦 冬至を描いている。後水尾院は朝議復興、本作は復興された儀礼を後世に伝えるために描かれてた見られる。土佐派の絵師は儀礼の記録係的な役割を期待され 、本作はそれに答えてみせた光起の傑作である。(展示品キャプションから)

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冠形大耳付水指 修学院焼 一口 江戸時代 17世紀 滴翠美術館


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水仙文橙香合 東福門院和子 江戸時代17世紀 徳川美術館
東福門院は、最後の絵を描くことのみ、意匠は千宗旦、下絵は土佐光起、塗りは関宗長とされる。

東福門院は二代将軍徳川秀忠の娘で入内。
幕府の膨大な経済援助は京都を中心とする寛永文化を開花させる要因となりました。

展覧会の構成は以下の通りです。
第1章 新時代への胎動―寛永のサロン
第2章 古典復興―後水尾院と宮廷文化
第3章 新たなる美意識Ⅰ 小堀遠州
第4章 新たなる美意識Ⅱ 金森宗和と仁清
第5章 新たなる美意識Ⅲ 狩野探幽


サントリー美術館 寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽
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2018.03.11

3.11あの日から7年が経ちました。

あの日から7年が経ちました。
あの日はどんな陽気だったかな~と歩きながら考えていました。

14時46分になると園内放送に、散歩をしていた方々も立ち止まって、1分間の黙祷をささげていました。
Yakusi311

あの日あの時、私は新横浜駅に停車した電車の中に居ました。
「駅員に、今日はもう電車は動きません」と言われて、歩いて・・・歩いて、家に着いたのは午前一時頃。コップ酒を2杯呑み込んで、眠り込みました。

想像できない(全く考えが及ばない)災害に驚愕したのは次の日からの報道によってでした。

我が家でも少なからずの影響があり、不安な日々がしばらく続きました。

あの年の9月に福島を訪れてから、数回足を運びました。

今年も行ってみようかな・・と思っています。

あの日以降、地震が発生するたびに「もうあんなことにならないように」と反射的に祈ってしまいます。

今日2018年3月11日はこんな陽気です。(町田市の薬師池公園周辺で・・)


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2018.03.09

トーハクの一品(その5) 色絵牡丹図水差(仁清)

トーハク(東京国立博物館)にはよく行きますので、気になる一品を少しづつ投稿してみようと思います。
主にスマホで撮っています。
展示替えが行われますので、必ず展示されているわけではありません。

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平成館で開催中の「特別展 仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」は大人気で、連日入館待ちの行列ができているようです。

「本館4室 茶の美術」には京都洛西仁和寺の門前で御室窯を開いた野々村仁清の「色絵牡丹図水差」が展示されています。仁清作としては珍しい絵柄の作品です。
素晴らしい作品ですのでトーハク行かれる方はこの作品も是非観てきてくださいね・・・お勧めです。

また東京ミッドタウンのサントリー美術館では「寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽」が開催されていて、仁清作品の全体像が概観出来ます。
仁清がいかに多様な作品を手掛けてきたかがよくわかる展示です。
こちらもいい展覧会ですよ。

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重要文化財 色絵牡丹図水差
仁清 江戸時代・17世紀 昭憲皇太后御下賜

17世紀前半、京都洛西仁和寺の門前で御室窯を開いた野々村仁清は、卓越した轆轤の技と色絵の技に、王朝趣味を加えて典雅で優美な世界を作り上げた。この作は珍しく中国的な窓絵の構図を取りながら、入念な色絵による牡丹図が和様の趣をもたらしている。
(展示品のキャプションから)


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2018.03.07

国立西洋美術館の新収蔵品「舞台袖の3人の踊り子」

国立西洋美術館の企画展を観に行ったので、常設展も観てきました。
「新収蔵作品」が数点展示されていました、その中の一点「エドガー・ドガ 舞台袖の3人の踊り子」を紹介してみます。


ドガはバレエを扱った作品を多く描いていますが・・・・

オペラ座の定期会員になっていたドガは、楽屋や稽古場に自由に立ち入ることが許されていました。
そのため楽屋や練習風景、舞台袖といった一般人では出入りできない場所での場面を多く描いています。

ドガの時代のバレエダンサーは、社会的に今とは全く違う状況に置かれたいました。
ドガは、バレエダンサーとともに、暗示するように(影のように)パトロンをよく登場させています。

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エドガー・ドガ 舞台袖の3人の踊り子 1880-85年頃 油彩・カンヴァス
2016年購入


ドガにとってバレエは、最も重要な主題でした。彼が残した作品のうち過半数が、踊り子を対象にしています。19世紀パリの代表的な社交の場であったオペラ座で垣間見られる、現代生活の心理的諸相を鋭く観察するまなざしが、ドガにはあったのです。この作品では3人の踊り子のあいだにシルクハットをかぶった男性が影のように浮かび上がり、彼らの関係をめぐる想像を掻き立てます。素早い筆致、塗り残しによって光を表現する大胆な手法は、ドガの作品にあっては異例でした。
(展示品のキャプションから)

俯く踊り子、直立するシルクハットの影のような男。
取り囲む表情の見えない2人の踊り子。
嵐のときの空のような背景。
4人の心模様が見事に伝わってきます。

とても良い作品ですので、行かれることがあったら注目してくださいね。

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2018.03.06

歌川国貞展 ~錦絵にみる江戸の粋な仲間たち~

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「歌川国貞展 ~錦絵にみる江戸の粋な仲間たち~」は、
静嘉堂文庫美術館で開催されています。


会期 2018年1月20日(土)~3月25日(日)


この美術館の展示室は広いとは言えず、展示作品数も限られますが、作品の質の良さと丁寧な解説にはいつも感心してしまいます。
今回も保存状態が良く、完璧な発色の浮世絵が楽しめます。
そして、江戸時代末期の世相風俗が蘇ります。


HP本展の見どころから・・・
「錦絵」の名の由来となった多色摺り。その色の鮮やかさは錦絵の命です。ただ、錦絵は庶民に好まれただけあって、部屋に飾るなど日に当たる確率が高く、褪(あ)せやすい顔料の性質もあって色が退色してしまう危険が大変大きいものです。静嘉堂の錦絵は、ウラ・オモテ貼込みの折帖に仕立てられているため、ほとんど光に当たることなく保存されてきました。静嘉堂の錦絵で、その名の由来となった鮮やかさを実感してください。

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歌川国貞は59歳のときに三代目豊国を襲名しています。
68歳の時には「江戸寿那古細撰記」(江戸のガイドブック)に「豊国にかほ(似顔)、国芳むしや(武者)、広重めいしよ(名所)」と記されました。

特に美人画と役者絵の名手として知られていた国貞の代表作の中から、江戸の香りを色濃く湛えた作品を選び、展示しています。

花魁、町娘、長屋のおかみさん、いきいきとした江戸の女性たちや、江戸の“いい男”歌舞伎役者の面々が登場します。


本展は会期を2期に分けて開催、ほとんどの作品が入れ替わっています。
下記画像は全て前期展示です。

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「今風化粧鏡(牡丹刷毛)」 1823(文政6)年 

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誂 織当世島(金花糖) 1895(弘化2)年頃

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「星の霜当世風俗(行燈)」 1819(文政2)年

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「卯の花月」 江戸時代末期 19世紀半ば頃

HPの本展紹介。
「錦のように美しい」と称され、江戸時代の庶民を熱狂させた多色摺木版画「錦絵」。江戸時代後期から末期(19世紀前半)を代表する浮世絵師、歌川国貞(1786-1864、三代歌川豊国)は若くから頭角を現し、59歳の時、師の名を継いで三代豊国を名乗り、歌川派の総帥として多くの門人を率いて活躍しました。特に美人画と役者絵の名手として知られています。本展では、国貞の代表作の中から、江戸の香りを色濃く湛えた作品を選び、展示致します。慌ただしい日常を離れ、しばし江戸の街にタイムスリップしてみませんか。

庭に白梅、紅梅、水仙が咲いていて綺麗でしたよ!
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IM動画ニュース 静嘉堂文庫美術館で「歌川国貞展」
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2018.03.05

廉価版アクションカメラ(ウエアラブルカメラ)を使ってみました。

何に使うかをはっきりしている人で、インスタ等のSNSで「いいね」を沢山もらいたい方はハイエンド機?のGoProが良いかも知れません。
GoProは機種によって、量販店で入荷待ちになるほどの人気ですね。
ソニー、パナ等も気になりますが・・・・・

アクションカメラ(ウエアラブルカメラ)ってどんな使い道があるのかな~、と思っていたので・・・・廉価版を購入してみました。
税込み3700円チョットでした。
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防水ケースに収納。


単焦点、手振れ防止機能もなく、4K画像でもありません。
スマホとの連携はできます、単機能ですが。
バッテリー2個付きは有難いです。

ということで、ドライブレコーダー的使い方で試してみました。
(動画中の日付は未設定で使用したため間違っています)

助手席の背もたれとヘッドレストの間に挟んで撮りました。
SNSに投稿するつもりでしたので、ナンバープレートが写らないように配慮しました。
防水ケース、取付用部品の数々、アクセサリーが豊富に付属していますので、設置方法は多様です。


この様な使い方だとちょっと厳しいかな~
(非常ベルの音をもろにひろっていてうるさいです!PC等での音量落としてくださいね。)

地面に置いたり、ベンチに置いたり、バックパックの背負いベルト?に付けて歩いたりして撮ってます。
(ソフトで部分的に手振れ補正をかけています。)

製品仕様
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このカメラで、もう少し遊んでみますね!

360度カメラもインスタがらみで人気ですね・・・・いつか試してみたいな~

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2018.03.01

観てきた展覧会 2018年2月

谷川俊太郎展
会期 2018年1月13日(土)~3月25日(日)
東京オペラシティーアートギャラリー

坂本龍一 with 高谷史郎|設置音楽2 
IS YOUR TIME
会期 2017年12月9日(土)—2018年3月11日(日)
NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]

石内 都 肌理と写真  
会期 2017年12月09日(土)~2018年03月04日(日)
横浜美術館

館蔵 中国の陶芸展
会期 2018年2月24日(土)~3月25日(日)
五島美術館

歌川国貞展~錦絵に見る江戸の粋な仲間たち~
会期 2018年1月20日(土)~3月25日(日)
静嘉堂文庫美術館

ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜
会期 2018年1月23日(火)~4月1日(日)
東京都美術館

ヘレンド展― 皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯 ―
会期 2018年1月13日(土)~3月21日(水)
パナソニック汐留ミュージアム

仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―
会期 2018年1月16日(火)~2018年3月11日(日)
東京国立博物館平成館

アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝
会期 2018年1月23日(火)~2018年3月18日(日)追記、5月13日(日)までに会期延長になりました。
東京国立博物館表慶館

江戸後期の京焼陶工―奥田頴川と門下生を中心に
本館 特別2室 :2018年2月6日(火) ~ 2018年4月22日(日)
東京国立博物館本館 特別2室

ポーラ ミュージアム アネックス展2018
前期 -無明と可視-
会期 2018年2月23日(金)~3月18日(日)
ポーラ ミュージアム アネックス

今右衛門の色鍋島 人間国宝の技と美 (会期終了)
会期 182018年1月27日(土)~2018年2月18日(日)
そごう美術館

古代アンデス展 (会期終了)
会期 2018年10月21日(土)~2018年2月18日(日)
国立科学博物館

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