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2018.01.30

「本をめぐる美術、美術になった本-近代日本の装幀美本からブック・アートまで:1905-2004」

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「本をめぐる美術、美術になった本-近代日本の装幀美本からブック・アートまで:1905-2004」は、
町田市民文学館 ことばらんどで開催されています。


会期 2018年1月20日(土)~3月18日(日)

本に纏わる思い入れが伝わってきます。
展示会場壁面に綴られた文面がその思いを伝えています。
頑張ってメモしてきました。
装幀そのものが美術品ですし、作者との関係が楽しく、興味が尽きません。
再訪したい展覧会です。

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第一章 夏目漱石にはじまる美本の世界
此書を公にするに就いて、中村不折氏は数葉の挿絵を描いてくれた。
橋口五葉氏は表紙其他の模様を意匠してくれた。
両者のおかげに因って文章以外に一種の趣味を添へ得たるは余の深く徳とする所である。
夏目漱石「吾輩は猫である」序
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(左)夏目漱石「四篇」 1910年  (右)二葉亭四迷訳「浮草」 1908年
装幀:ともに橋口五葉

漱石先生はその点で非常に気が楽だった。
「まかした以上相手を信頼する」と言うのが先生の信条だった。
津田青楓「装幀の話」

第二章 近代文学の成熟とともに ―多様化する装幀の世界
本屋の見世先で本を買った時、第一箱というものが邪魔なので、私は中味だけ持って本屋を出る。
ところが装幀がまだ気になる。
装幀が気になる第一は、材料の色と文様が生で、私の着物や持ち物と調和が取れない。
竹久夢二「装幀に就いての私の意見」


現下出版界に行われている装幀についての小生の意見は別にこれなく、只美しいと思う様なものにはめったにお目にかからず候。
夏目さんの自装のもの中々面白きものこれあり候。
徳川期の浄瑠璃正本其の他の表紙に、さすがに世界中に冠たる味を備えおり候。
岸田劉生「装幀に就いての私の意見」


私は自分の作品を単行本の形にして出したときに初めてほんとうの自分のもの、真に「創作」ができ上がったと言う気がする。
単に内容のみならず形式と体裁、例えば装幀、本文の紙質、活字の組方等、すべてが渾然と融合して一つの作品を成すのだと考えている。
谷崎潤一郎「装幀漫談」
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谷崎潤一郎 「鍵」 1956年 装幀:棟方志功 町田市民文学館 ことばらんど蔵

私も多年書籍の装幀をやってきたが、一冊を装幀するごとに仮綴の本と大差のない、単純なものしか作れなくなって来た。
用紙の色を選定し、活字の大きさを指定する。
ただこのことだけで実に素晴らしい本ができるのではあるが、依頼者の方では究極の美が其処にあるとはどうしても思ってくれない。
東郷青児「装幀のこと」
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コレット 「紫の恋」 1928年 装幀:東郷青児 個人蔵

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橋田東聲 「無限の道」 1933年 装幀:川端龍子  個人蔵


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小林秀雄著書 1931-1949年 装幀:青山二郎 町田市民文学館 ことばらんど蔵

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加納光於、滝口修造 「煌文庫1 掌中破片」 1979年 うらわ美術館蔵


書物における装幀の趣味は絵画に於ける額縁や表装と同じく一つの明白な、芸術の「続き」ではないか。
萩原朔太郎「装幀の意義」


たしかに物も書いた。絵も描いた装幀もしてみた。が、それらは生活のためと言うより、あくまで趣味の問題で、一つの仕事をするたびに原稿料の数倍もの金がかかったであろう。
白洲正子「いまなぜ青山次郎なのか」

第三章 「詩集」と「詩画集」 ―近代詩を彩る絵画」
本は文明の旗だ、その旗は当然美しくあらねばならない。
美しくない旗は、旗の効用を無意味若しくは薄弱にする。
美しくない本は、その効用を減殺される。
即ち本である以上美しくなければ意味がない。
恩地孝四郎「本というもの」
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吉田紘二郎著書1923-1935年 装幀:恩地孝四郎 個人蔵


第四章 町田市ゆかりの装幀家たち ―若林奮、赤瀬川源平、柄澤斎を中心に
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柄澤斎 「Hours」 1992年 うらわ美術館蔵

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若林奮 「7月の冷却と過熱 ミズキの一枝」 1986年 うらわ美術館蔵


第五章 美術になった本「本」なのか「美術作品なのか」 
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福田尚代 「佇む人たち」 2004年 うらわ美術館蔵

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