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2018.01.18

生誕100年 ユージン・スミス写真展

Photo


生誕100年 ユージン・スミス写真展は、
東京都写真美術館で開催されています。

会期 2017年11月25日(土)~2018年1月28日(日)


「写真は、せいぜい小さな声に過ぎないが、ときたま ― ほんの時たま ― 1枚の写真あるいは1組の写真が我々の意識を呼び覚ますことができる。
私は写真を信じている。
もし十分に熟成されていれば、写真は、ときにはものを言う。
それが私 ― そしてアイリーン ― が水俣で写真を撮る理由である」
09
水俣問題の中央公害審査委員会 東京1973年頃
© Aileen M. Smith
ユージン・スミスというと、やはり水俣に取材した写真でしょうか、日本人にとっては・・・
ユージン・スミスは、日本に特別な思い入れがあるようです。
若き日の日本人写真家との出会い、第二次世界大戦の沖縄、そして水俣・・・・・
ライフ誌で手掛けた、多くのフォトエッセイから続くユージン・スミスの仕事を150点の作品で概観しています。

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「私がねらっていたのは、それを見た人々には”これが戦争なのだ”と言ってもらえる。
戦争に行ったことのある人には”私が正しく彼らの体験を捉えている”と思ってもらえるひと組の写真だった。
私は、戦争は悲惨だと言う捉え方で仕事をしてきた。
これらの写真で試みてきた事を私はこれからも続けていきたい。
戦争は、この世の縮図であり、様々な事柄が、ごまかしようもなく鮮明に現れる。
人種的偏見・貧困・憎悪・偏狭は平時の生活のうちにも蔓延するが、戦争の中でほど否応なくはっきりとは捉えられない。
02
発煙手榴弾で追い立てられる民間日本人 サイパン 1944年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

「私は今なお真実を必死に追い求めている。
いかにしてピクチャーストーリーを仕上げるかと言う答えを見出そうと努めている。
ほとんどの作品は、写真に絵画的、編集的一貫性を持たせるため、ある程度の演出・再構成・ト書きを必要とする。
とは言え写真をよりドラマチックにし商業的価値を高めると言うだけの理由でこうした細工を施すのは現実の歪曲につながる。
私は私自身のやり方に固執する。それが正当性を持つ限りにおいてではあるが」


展覧会の構成は以下の通りです。
1. 初期作品
2. 太平洋戦争
3. カントリー・ドクター
4. イギリス
5. スペインの村
6. 助産師モード
7. 化学の君臨
8. 季節農場労働
9. 慈悲の人
10. ピッツバーグ
11. ロフトの暮らし
12. 日立
13. 水俣

01
ウォーターライドのカップル ニューヨーク郊外 1941年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

03
馬に蹴られて負傷した少女緊急処置をほどこす デンヴァー郊外 1948年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

04
三世代の炭鉱労働者 ウェールズ 1950年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

05
ゴーグルをはめた鉄鋼労働者 ピッツバーグ 1955年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

06
通夜 スペイン 1950年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

07
建設現場のシュヴァイツァー ガボン 1954年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

08
巨大な鉄製暗渠の検査 日立 1961年頃
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

HPの解説。
W.ユージン・スミス(1918-1978)は、写真史上、もっとも偉大なドキュメンタリー写真家のひとりです。グラフ雑誌『ライフ』を中心に「カントリー・ドクター」、「スペインの村」、「助産師モード」、「慈悲の人」など数多くの優れたフォト・エッセイを発表し、フォト・ジャーナリズムの歴史に多大な功績を残しました。
とりわけ日本とのかかわりが深く、17歳のときニューヨークで偶然であった日系写真家の作品につよい感銘をうけ写真の道を志すきっかけになったこと、太平洋戦争に従軍して、戦争の悲惨で冷酷な現実をカメラで世に伝えんとして自らも沖縄戦で重傷を負ったこと、戦後の日本経済復興の象徴ともいえる巨大企業を取材した「日立」、その経済復興の過程で生じた公害汚染に苦しむ「水俣」の漁民たちによりそった取材などがあります。
本展覧会は、生誕100年を回顧するもので、スミス自身が生前にネガ、作品保管を寄託したアリゾナ大学クリエイティヴ写真センターによる協力のもと、同館所蔵の貴重なヴィンテージ・プリント作品を150点展示します。情報あふれる現代社会に生きる私たちにとって、ジャーナリズムの原点をいま一度見つめ直すきっかけになることでしょう。

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