没後60年記念 川合玉堂 ―四季・人々・自然―
没後60年記念 川合玉堂 ―四季・人々・自然―は、
山種美術館で開催されています。
会期 2017年10月28日(土)~12月24日(日)
玉堂の展覧会は、この美術館も含めて、何度も開催され、過去には大規模なものもありました。
本展は初期から晩年までの作品を分かり易く展示構成していて、人となりも含めて川合玉堂の全貌が概観出来るようになっています。
豊かな自然のなかに、何げなく描かれた素朴な人影が心和ませる・・・そんな玉堂作品が大好きです。
展覧会の構成は以下の通りです。
第1章 若き日の玉堂―就学の時代―
第2章 玉堂とめぐる日本の原風景 ―四季・人々・自然
大正から昭和へ
身近なものへのまなざし
第3章 素顔の玉堂
親しき人々
松竹梅
身近なものへのまなざし
以下の説明書きは、展示会場のキャプションの引用です。
《鵜飼》1895(明治28)年 絹本・彩色 山種美術館
長良川の鵜飼は玉堂の少年時代を過ごした岐阜の代表的な風物であり生涯を通じて繰返し取り上げている。
本作品は初期の代表作で、金華山の麓の大きな岩面のそばに鵜舟が集まり漁が行われる様子を描く。
構図は江戸時代の名所絵版画や丸山応挙の《鵜飼図》などに準じたとみられるが、鵜を操る鵜匠たちや魚をとる
鵜の姿が活き活きを表現され、実感のこもった情景描写となっている。
(22歳作)
《家鴨図》1897(明治30)年 絹本・彩色 東京国立博物館
上京した翌年に発表された作品。人物や山水の筆法は橋本雅邦のスタイルそのままだが、水面下にある水鴨の脚をわずかに透けてみえるように描くなど、円山四条派的な表現も含まれており、当時の過渡期的な状況をよく表している。
(24歳作)
23歳の時、玉堂は、橋本雅邦に学ぶべく、京都から東京に移りました。
《夏雨五位鷺図》1899(明治32)年 絹本・彩色 玉堂美術館
(26歳作)
《紅白梅》1919(大正8)年頃 紙本金地・彩色 玉堂美術館
尾形光琳の紅白梅図(MOA美術館)をはじめ琳派を強く意識した作品。
極端な抽象表現は避けて、あくまでも梅林として描いている。
四十雀を点在させているのが玉堂らしい。
(46歳作)
《彩雨》1940(昭和15)年 絹本・彩色 東京国立近代美術館
昭和4年群馬県の四方温泉で雨にけぶる紅葉を見て画想を得、さらに昭和12年写生で甲州街道を歩いた際、水車小屋のある風景と葱を抱えた納富に出合い本作品が誕生した。
発表の翌年には朝日賞に選出された。円熟期の代表作。
(67歳)
《山雨一過》1943(昭和18)年 絹本・彩色 山種美術館
新文展に出品され「文展中第一級の作」と評された。
(70歳作)
HPの解説。
日本の山河をこよなく愛し、豊かな自然とそこに暮らす人々の姿を叙情豊かに描き出した川合玉堂(かわいぎょくどう) (1873-1957)。山種美術館では、没後60年を記念し、玉堂の画家としての足跡をたどり、その芸術を紹介する回顧展を開催いたします。
愛知に生まれ、岐阜で育った玉堂は、14歳で京都の画家・望月玉泉(もちづきぎょくせん)に入門。画壇デビューを果たした17歳から同じ京都の幸野楳嶺(こうのばいれい)に師事しました。1896(明治29)年には23歳で京都から東京へ移り、橋本雅邦(はしもとがほう)のもとでさらなる研鑽を積んでいきます。若い頃から好んで風景を描いた玉堂は、円山四条(まるやましじょう)派の基礎の上に、雅邦が実践した狩野(かのう)派の様式を取り入れ、さらに各地を訪ねて実際の景色に触れることで、伝統的な山水画から近代的な風景画へと新たな境地を拓いていきました。また、官展で審査員をつとめ、帝国美術院会員となる一方、東京美術学校教授、帝室技芸員に任ぜられるなど、東京画壇における中心的な役割を果たし、1940(昭和15)年には文化勲章を受章しています。戦後は、疎開先の奥多摩にとどまって晩年を過ごし、大らかで温かみのある画風を展開させました。
本展では、初期の《鵜飼(うかい)》(1895年、山種美術館)から、大正期の《紅白梅(こうはくばい)》(1919年、玉堂美術館)をはじめとする琳派等さまざまな研究を経て新たな境地を拓いた作品、円熟期の《彩雨(さいう)》(1940年、東京国立近代美術館)、晩年の牧歌的な作風を示す《早乙女(さおとめ)》(1945年、山種美術館)や《屋根草を刈る(やねくさをかる)》(1954年、東京都)まで、代表作を中心とする名作の数々とともに、玉堂の70年にわたる画業をご紹介します。また、少年時代から俳句を嗜み、晩年には俳歌集『多摩の草屋(たまのくさや)』を刊行するなど、句作や詠歌は玉堂の生活の一部となっていました。玉堂の詠んだ詩歌が書かれた作品をとおして、家族や親しい芸術家との交流にもスポットをあて、素顔の玉堂の魅力をお楽しみいただきます。
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