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2017.12.06

トーハクの一品(その2) 聖母像(親指のマリア)

トーハク(東京国立博物館)は頻繁に訪れるのですが、特別展、企画展を観終わると疲労感があって、何時も平常展はさらっと流して観賞ということになります。
記録に残すこともめったにないので・・・・
気になった一品を少しづつ投稿してみようと思います。
スマホで撮っています。定期的に展示替えが行われますので、必ず展示されているわけではありません。

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「聖母像(親指のマリア)」は何度か拝見していますが、現在トーハクの本館 特別2室で12月25日(月)まで「親指のマリアとキリシタン遺品 」が開催されています。
とても興味深い企画です。

Photo_3
重要文化財 聖母像(親指のマリア)
17世紀後期 銅板油彩
長崎奉行所旧蔵品

新井白石が書き残したシドッチの携行品の記録に表れるマリア像。中世においてキリストの死を嘆く聖母の悲しみの色とされた、青色のマントに身を包む。17世紀のフィレンツェで活躍した宗教画家カルロ・ドルチ(1616~87)に酷似する。


宗教画家カルロ・ドルチの作品「悲しみの聖母」は、同じ上野の国立西洋美術館が所蔵していて、人気があります。

Photo_4
悲しみの聖母 1655年頃 油彩、カンヴァス 82.5 x 67(cm)
国立西洋美術館

ドルチは17世紀フィレンツェを代表する画家です。鮮やかで深みのある色彩と緻密な描写を特徴とし、冷ややかながら甘美な愁いを帯びた、独自に理想化された宗教人物(とりわけ女性)像で人気を博しました。本作の主題は、わが子キリストの運命をめぐって悲しみにくれる聖母マリアという極めて伝統的なもので、ドルチはこれを何枚も制作しています。ドルチ本人も敬虔な信仰の人で、生涯ベネディクトゥス信者会に属していました。

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「親指のマリアとキリシタン遺品 」は興味深い企画と記しました。

平成2年(2014)文京区小日向の切支丹屋敷跡から発掘された人骨が、文京区、国立科学博物館、早稲田大学の調査によって、イタリア人宣教師ジョバンニ・バッティスタ・シドッチ(1667~1714)のものと確認された。新井白石(1657~1725)がまとめたシドッチ尋問記録『西洋紀聞』によると、シドッチはシチリア島パレルモ出身。キリスト教禁制下日本に潜入したところを捕らえられ、切支丹屋敷の地下牢に幽閉されたまま47歳で没した。


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西洋紀聞(写本)
新井白石著
「小宮山氏之蔵書」印記
江戸時代・文政4年(1821)
徳川宗敬氏寄贈

江戸幕府高官で学者の新井白石がシドッチへの尋問をまとめた記録の写本。白石はキリスト教の教養の他、ヨーロッパの状勢、哲学、地理など幅広く尋ねている。その問答からは、文化的背景や立場の異なる二人が互いを敬う姿が浮かび上がってくる。

(それぞれの展示会場のキャプションを引用しています)


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コメント

聖母像(親指のマリア)と悲しみの聖母。
そしてシドッチと新井白石が繋がりました。
「作品の美しさと」と歴史(物語)的背景・・・・
ますます興味が湧いてきますね。

投稿: みわさんへ | 2017.12.28 17:24

この展示は観に行きたかった展示でしたが、行けずじまいで残念でした。色々と行きたい所があって全てはいつも回りきれません。ドルチさんのマリア様は私も大好きで、今はスマホの待ち受けにしています(^-^)

投稿: みわ | 2017.12.28 12:39

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