パリ♥グラフィック ― ロートレックとアートになった版画・ポスター展
パリ♥グラフィック ― ロートレックとアートになった版画・ポスター展は、
三菱一号館美術館で開催されています。
会期 2017年10月18日(水)~2018年1月8日(月・祝)...
ロートレックのポスターとパリ、歓楽街、ムーランルージュ・・・イメージが直結します。
そして同時代の画家が思い浮かんできます。
チラシから、そんなイメージを抱いて観に行きました。
実際はロートレックのポスターを導入部に「アートになった版画」に力点を置いた展示のように思いました。
ロートレックそして象徴主義的作品にシンパシーを感じる方には、たまらない企画かもしれません。
そして、この展覧会は、
世界有数の19世紀末版画コレクションを誇るファン・ゴッホ美術館と、トゥールーズ=ロートレックの貴重なポスター、リトグラフコレクションを所蔵する三菱一号館美術館の共同企画でもあります。
展覧会場の最終コーナーには、少数ですがゴッホが収集した浮世絵が展示されています。
保存状態が良く、美しい作品ばかりです。
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この展覧会の作品は「はじめに」の後、2章に分けて展示されています。
はじめに; 高尚(ハイ)から低俗(ロ ー)まで
(右)ルイ・カリエ=ベルーズ 鍋修理 1882
油彩、カンヴァス90.0×121.0 cm 個人蔵
ポスターが壁一面に貼られている当時の街並みを描いた、この展覧会導入部に相応しい油彩画。
第 1 章 庶民(ストリート)向けの版画
19世紀末、パリで花開いた大衆文化。
消費社会が進む中で劇場、歓楽街にはポスターが張られ、本の挿絵などのとともにグラフィック・アートによって幅広い人々が日常的に芸術に接するようになりました。 (庶民(ストリート)向けの版画)
ピエール・ボナール 《「フランス=シャンパン」のためのポスター》 1891年 多色刷りリトグラフ 77.5 ×57.5cm
アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館
(右)エドゥアール・ヴュイヤール 自転車 1894 多色刷りリトグラフ81.8×60.9 cm
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)
ロートレックのリトグラフ(左の三点)
街並みにロートレックのポスター
音楽が流れて・・・・
第 2 章 知的階層(エリート)向けの版画
一方で、単に複製や情報伝達のための手段でしかなかった版画は、トゥールーズ=ロートレックや世紀末の前衛芸術家たちにより、絵画と同じく芸術の域まで高められ、それらを収集する愛好家も出現しました。(知的階層(エリート)向けの版画)
フェリックス・ヴァロットン 怠惰 1896 木版25.1×32.9 cm
三菱一号館美術館
ヨージェフ・リップル=ローナイ 《村の祭り(画家=版画家集)》 1896年 多色刷りリトグラフ 39.5×53.3cm
アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館
ピエール・ボナール 《小さな洗濯女》 1896年 多色刷りリトグラフ 29.4×19.8cm
アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック ムーラン・ルージュの女道化師 1897 多色刷りリトグラフ41.0×32.3 cm
ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)
モーリス・ドニ 《『アムール(愛)』表紙》 1898年 多色刷りリトグラフ 53.3×43.3cm
三菱一号館美術館
(左)ポール・ゴーガン ブルターニュの水浴する人々(「ヴォルピーニ・シリーズ」より) 1889
ジンコグラフ49.9×64.9 cm ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)
(右)ブルターニュの楽しみ(「ヴォルピーニ・シリーズ」より) 1889
ジンコグラフ49.8×64.8 cm ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団)
ピエール・ボナール ポール・ヴェルレーヌ『平行して』 1900 リトグラフ、木版、活版印刷30.0×25.5 cm
三菱一号館美術館
(展示会場写真は、内覧会参加時に主催者の許可を得て、スマホで撮影しています)
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館長メッセージ
三菱一号館美術館が、アムステルダムのファン・ゴッホ美術館と共催で催す本展(既にアムステルダムで開催;2017年3月3日~6月17日)は、世紀末のパリのグラフィック芸術(印刷芸術=すなわちポスターや版画)に焦点をあてています。
19世紀は、美術のあらゆる分野において、それまで西欧美術の根幹をなしていた重厚で壮大な内容と形式が、急速により軽快なものへと変貌を遂げていった時代です。とりわけ、平面の美術つまり絵画は、18世紀末に発明された石版画の技術によって、容易にそのイメージを紙の上に縮小・拡大されて多数複製され、多くの人の手に渡るようになりました。以後、19世紀を通して版画の表現技術は急速に進化し、やがて1880年代以後の世紀末に至って、グラフィック芸術は、創作芸術としての独自の領域を確立するに至ったのです。
この時代のグラフィック作品の見事なコレクションを持つゴッホ美術館と、トゥールーズ=ロートレックやナビ派の重要な作品を所蔵する三菱一号館美術館は、2014年の「ヴァロットン―冷たい炎の画家」展開催においてもパリのオルセー美術館とともに共同主催館となりましたが、今回も緊密な協力体制を組みました。両館の収集作品の特性を生かしながら、眼の肥えた世紀末の愛好家・収集家たちの要請に応えた精緻で高品質の作品と、高まる商業的受容の中でパリの街角や劇場、キャバレーなどで輝いたポスターやパンフレットという二つの方向性を明快に提示します。世紀末のポスター・版画芸術の展開に新たな光を当てる意欲的な本展を、是非ご覧ください。
館長タカハシの納得パリグラ展|パリ♥グラフィック―ロートレックとアートになった版画・ポスター展
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