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2017.11.13

シャガール 三次元の世界

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「シャガール 三次元の世界」は、
東京ステーションギャラリーで開催されています。


会期 2017年9月16日(土)~12月3日(日)


彫刻家シャガール?ってあまり想像できなかったのですが「シャガールはシャガールでした」当たり前ですけど・・・・

シャガールが彫刻制作を始めたのは1951年、すでに63歳になっていました。

深みのある鮮やかな色彩の平面作品に登場する、抱き合い浮遊する男女、山羊、動植物のモティーフはそのまま彫刻にも登場します。
聖書に取材した一場面もシャガールの作品にはよく使われます。


この展覧会のタイトルは「シャガール 三次元の世界」ですが、油彩・水彩作品が70点展示されていて平面作品も楽しめます。
そして60点の陶器・彫刻作品とその下絵、素描、版画等でシャガールの全体像を概観できる展覧会にもなっています。

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この展覧会のタイトルを象徴する作品。

シャガールの誕生日(28歳)に恋人のベラが花を抱えて部屋を訪れた場面。
この2週間後に2人は結婚することになります。
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《誕生日》 1923年 AOKIホールディングス像


同じ様なモチーフの彫刻作品。
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《二つの頭部と手》 1964年 個人蔵

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シャガールは1910年パリに赴き、5年間の滞在の後、故郷ヴィチェプスク(現ベラルーシ)に戻る。
(ロシア時代、パリに赴いた当初は、新印象派、キュビズムに影響を受けたような作品を制作しています。この時代の作品も展示されたいます)
10月革命(1917年)後のロシアでしばらく生活しますが、1922年、故郷に見切りをつけ、ベルリンを経由して1923年にはふたたびパリへ戻ります。

パリに戻った翌年の作品。
この頃からシャガールの奔放な想像力は次第に影をひそめ、より古典的な趣が前面に出てくる。
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《二重肖像》 1924年 名古屋市美術館蔵


1941年、第二次世界大戦の勃発を受け、ナチスの迫害を避けてアメリカへ亡命した。
亡命後の1943年に完成した作品。
シャガールはたびたび愛する者同士の結びつきを二重肖像として描いています。
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《たそがれ》 1938-43年 個人臓

1948年、シャガールは再度フランスに戻ります。
(ベラはパリに戻る直前にアメリカで亡くなります。後に再婚)
2年後に南フランスに移住してから陶器を作り始めます。
ピカソ、マチスもこの頃制作しています。

シャガールの立体作品への挑戦は、まず陶器において始まりました。
下絵も展示されています。
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《青色ロバ》 1954年 個人蔵
(左が背面)(右が正面)
 

立体への志向を(動物モチーフ)―(肖像、二重肖像)―(重なり合う形)―(垂直性)に分類して平面作品とともに紹介しています。

ヤコブの肩に梯子が掛かり、天使が梯子を昇っていきます。
素材を生かした構成になっています。
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《ヤコブの梯子》 1973年 個人蔵

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《地上の楽園》 1969年 個人蔵

道化師、山羊、ラッパを吹く人物、月、紫色の裸婦、そして下部には俯瞰した街並み、如何にもシャガールらしい構成ですね。
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《紫色の裸婦》 1967年 個人蔵


展覧会の構成は以下の通りです。
■絵画から彫刻へ――《誕生日》をめぐって
■空間への意識――アヴァン・ギャルドの影響
■穿たれた形――陶器における探究
■平面と立体の境界――聖なる主題
■平面と立体の境界――素材とヴォリューム
■立体への志向――動物モチーフ
■立体への志向――肖像、二重肖像
■立体への志向―― 重なり合う形
■立体への志向―― 垂直性

HPの解説。
画家、版画家として著名なマルク・シャガールですが、晩年に多くの彫刻を制作していたことはあまり知られていません。シャガールが彫刻制作を始めたのは1951年、すでに63歳になっていました。この時点で、ブランクーシやジャコメッティといった彫刻家たちによって、またピカソやマティスなどの創意に富んだ彫刻作品によって、20世紀彫刻の造形言語は大きく書き換えられていました。しかしシャガールは、さまざまな新しい試みを知らないかのように、全く独自の、他のどんな20世紀彫刻とも似ていない作品を創り出します。


【東京サイト】2017年11月7日(火)「シャガール 三次元の世界」

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