江戸の琳派芸術展
江戸の琳派芸術展は、
出光美術館(東京)で開催されています。
会期 2017年9月16日(土)〜11月5日(日)
出光美術間では、16年ぶりとなる〈江戸琳派〉展です。
所蔵する抱一・其一の絵画作品がほぼすべて展示されています。
1館の所蔵品のみで、これだけの展示ができるのは、流石出光美術館、感心してしまいます。
はじめに、「夏秋草図屏風草稿」が、続いて「風神雷神図屏風」が展示されています。
草稿を観ることができたのは収穫でした。(過去に見た記憶は残っているのですが・・)
風神雷神図屏風 酒井抱一 文政4年(1821) 出光美術館
夏秋草図屏風草稿 酒井抱一 江戸時代(19世紀) 出光美術館
「夏秋草図屏風」は、尾形光琳の「風神雷神図」の背面に、酒井抱一が後から描き入れたもので、現在は二つを分けてそれぞれ屏風の形になっています。(共に東京国立博物館蔵)
(今回展示の横に同様解説あり)
因みに、私のスマホの待ち受け画面は夏秋草図屏風(部分)です!
3章には唯一の肉筆浮世絵が展示されています。
抱一「遊女と禿図」と歌川豊春「芸妓と嫖客図」が並べられていて、豊春がらの受容がよくわかります。
4章の光琳、乾山、抱一、基一の立葵図の並列展示では各々の個性がよく判ります。(見比べることによって)
立葵図 鈴木其一 江戸時代(19世紀) 出光美術館
そして、抱一と、最近人気急上昇?の基一の作品をじっくり鑑賞できます。
基一作品の鮮烈な色づかいと大胆な構図、図案化したフォルム、抱一のいかにも洒脱な作風・・・あらためて見入ってしまいます。
十二ヶ月花鳥図貼り付け屏風 酒井抱一 江戸時代(19世紀) 出光美術館
四季花木図屏風(左隻部分) 鈴木其一 江戸時代(19世紀) 出光美術館
蔬菜群虫図 鈴木其一 江戸時代(19世紀) 出光美術館
秋草図屏風 鈴木其一 江戸時代(19世紀) 出光美術館
光琳百図、光琳百図後編などの展示も含めて、江戸琳派の特徴とその魅力の全体像を実感できる展覧会です。
八ツ橋図屏風の前にある長椅子?に座って、皆さんじっくり鑑賞です。
八ツ橋図屏風 酒井抱一 江戸時代 文政4年(1821) 出光美術館
展覧会の構成は以下の通りです。
第1章 光琳へのまなざし ─〈江戸琳派〉が〈琳派〉であること
第2章 〈江戸琳派〉の自我 ─光琳へのあこがれ、光琳風からの脱却
第3章 曲輪の絵画 ─〈江戸琳派〉の原点
第4章 〈琳派〉を結ぶ花 ─立葵図にみる流派の系譜
第5章 師弟の対話 ─抱一と其一の芸術
HPの解説
この度、江戸時代後期に活躍した絵師・酒井抱一(さかい ほういつ 1761 - 1828)と、抱一門きっての俊才・鈴木其一(すずき きいつ 1796 - 1858)の絵画に注目した展覧会を開催いたします。
17世紀の京都に生まれ、華やかに展開した〈琳派〉の美術。19世紀に入ると、姫路藩主・酒井雅楽頭(さかい うたのかみ)家の次男坊として生まれた抱一が江戸の町でこれを再興、さらに其一をはじめとする抱一の弟子たちが、いっそうの洗練を加えました。いわゆる〈江戸琳派〉の誕生です。
若いころから遊里・吉原にあそび、俳諧や狂歌、そして浮世絵など、市井の文化に親しく触れた抱一は、30歳代なかばころより、尾形光琳(おがた こうりん 1658 - 1716)の作風に傾倒してゆきます。光琳の芸術を発見したことは、抱一の画業に最大の転機をもたらす一大事だったといえます。抱一は、光琳を隔世の師と仰ぎ、その表現を積極的に受容、みずからの絵画制作に大いに生かしましたが、それは一律にオリジナルの忠実な再現を目指したものばかりではありませんでした。光琳の芸術に真摯に向き合い、ときに大胆にそれを乗り越えようとする試みこそが、抱一をはじめとする〈江戸琳派〉の画家たちの、光琳に対する敬慕の証しであったといえるでしょう。
この展覧会では、王朝的な美意識に支えられた京都の〈琳派〉を受け継ぎつつ、江戸という都市の文化の美意識のもと、小気味よい表現世界へと転生させた〈江戸琳派〉の特徴とその魅力を紹介いたします。
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