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2017.10.13

「怖い絵」展

01


「怖い絵」展は、
上野の森美術館で開催されています。

会期 2017年10月7日 (土) 〜 12月17日 (日)

先ず記しておきますが、この展覧会、開催当初から大人気で大変混んでいます。
ということで、早々とこんなメッセージがHPに載せられました。

好評につき土・日 開館時間延長いたします。
10月14日より土曜日9:00~20:00、日曜日9:00~18:00に開館時間を延長いたします。

私は平日に行ってきました。決して広いとは言えない会場内、場所によっては人との接触無しには歩けない程混んでいました。

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この展覧会が大人気の要因の一つは、チラシに使われている「レディ・ジェーン・グレイの処刑」でしょう。
この作品を見るだけに行ったとしても満足感を得られるはずです。それほどこの作品は圧倒的にうったえる力を持っています。

堂々とした体躯の執行人、その眼差し。
聖職者に導かれて自らの首を置く台を手探りする目隠しされた少女の動きが哀れで切ない。

02
《レディ・ジェーン・グレイの処刑》
ポール・ドラローシュ 1833年 油彩・カンヴァス ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵

《中野京子著「怖い絵泣く女扁」より》
左に巨大な円柱があり、宮殿の一間とおぼしき場所で処刑が行われようとしている。その円柱にすがりつき、背中を見せて泣く侍女と、失神しかける侍女。
後者の膝に置かれたマントと、宝石類は、直前までジェーンが身に付けていたものだ。
斬首の際、邪魔になるので脱がねばばならなかった。

若き元女王は真新しい結婚指輪だけを嵌め、サテンの艶やかな純白ドレスは花嫁衣装のようでもあり、自己の潔白を主張するかのようでもある。
目隠しをされたため、首を置く台のありかがわからず手探りするのを、中年の司祭が包み込むように導こうとしている。

台には鉄輪がはめられており、動かないように鎖で床に固定されている。
ジェーンの身分を考慮した房付きの豪華なクッションが足元にあり、ここに腹這いとなって首を差し出すのだ。
床には黒い布が敷かれ、その上に血を吸うための藁が撒いてある。
若々しく清楚な白い肌のこの少女は、一瞬後には血まみれの首なし死体となって、長々と横たわっているのだ。
そこまで想像させて、この残酷な絵は美しく戦慄的である。

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中野氏は仰言います。
「絵は感じるよりも知った方が面白いですよ」
会場では、丁寧な解説を読みながらの鑑賞になります。
展覧会の構成は以下の通りです。
第1章 神話と聖書 
03
《オデッセウスに杯を差し出すキルケー》
ジョン・ウィリアム・ウォルターハウス 1891年 油彩・カンヴァス オールダム美術館蔵

第2章 悪魔、地獄、怪物
04
《悪夢》
ヘンリー・フューズリ 1800-10年頃 油彩・カンヴァス ヴァッサー大学 フランシス・リーマン・ロブ・アート・センター

第3章 異界と幻視
05
《そして妖精たちは服を持って逃げた》
チャールズ・シムズ 1918-19年頃 油彩・カンヴァス リーズ美術館蔵

第4章 現実
07
《切り裂きジャックの寝室》
ウオルター・リチャード・シツカート 1906-04年 油彩・カンヴァス マンチェスター美術館蔵

第5章 崇高の風景
06
《ドルバダーン城》
ジョセフ・マロード・ウイリアム・ターナー 1800年 油彩・カンヴァス ロイヤルアカデミー蔵

第6章歴史
08
メデューズ号の筏(テアドール・ジェリコー作品の模写)
ジャック=エドゥアール・ジャピオ 1854年 油彩・カンヴァス ボルドー美術館蔵

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HPの解説(展覧会概要)
ドイツ文学者・中野京子氏が2007年に上梓した『怖い絵』は、「恐怖」をキーワードに西洋美術史に登場する様々な名画の場面を読み解き、隠されたストーリーを魅力的に伝える本としてベストセラーとなり多方面で大きな反響を呼びました。
同書の第一巻が発行されてから10周年を記念して開催する本展は、シリーズで取り上げた作品を筆頭に「恐怖」を主題とする傑作を選び出しテーマごとに展示します。

視覚的に直接「怖さ」が伝わるものから、歴史的背景やシチュエーションを知ることによってはじめて「怖さ」を感じるものまで、普段私たちが美術に求める「美」にも匹敵する「恐怖」の魅力を余すことなく紹介する、今までにない展覧会です。


HPの動画

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コメント

いつ行っても大行列でしたね!
《レディ・ジェーン・グレイの処刑》は圧巻でした。
展覧会開始早々に行ったので、じっくり鑑賞できました。観てきた展覧会ベストテンに入れました。

投稿: みわさんへ | 2017.12.28 17:36

これは私もとても行きたかった展示で
会期終了 際にお友達とやっと行けました。
展示の仕方が分かりやすくて良かったです。
展示されていた作品も好きな感じのものが多くて、しかも物販がたまりませんでした。
ビアズリーばかり買ってしまいましたw

投稿: みわ | 2017.12.28 12:51

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