天下を治めた絵師 狩野元信
「六本木開館10周年記念展
天下を治めた絵師 狩野元信」は、
サントリー美術館で開催されています。
会期 2017年9月16日(土)〜11月5日(日)
今更・・・と言われそうですが、
「元信は「筆様」を整理・発展させ、真・行・草(しん・ぎょう・そう)の三種の「画体」を生み出した」という解説を参考に作品を観て「なるほど」と得心、これからの鑑賞に大いに役立ちそうです。
展示構成、解説を通じ、実に勉強になる、良い展覧会だと思いました。
元信は、さらにやまと絵の画題にも積極的に挑戦し顧客の様々な要求にこたえ続けていきます。
狩野派二代目の元信は何代にも続く狩野派の礎を築き、孫の永徳、その孫の探幽は今でも人気絵師ですね。
狩野派の勢力は絶大で、近所のお寺の天井絵なんかにもその作品を観ることができたりします。
大幅な展示替えがあります。前期に行ってきたので、展示期間終了(11月5日)までにもう一度行ってこようかなと思っています。
四季花鳥図(旧大仙院方丈障壁画) 狩野元信 八幅 室町時代 16世紀 京都・大仙院
禅宗祖師図(旧大仙院方丈障壁画) 狩野元信 六幅 室町時代 16世紀 東京国立博物館
瀟湘八景図 狩野元信 四幅 室町時代 16世紀 京都・東海庵
細川澄元像 狩野元信筆、景徐周麟賛 一幅 室町時代 永正4年(1507)賛 永青文庫
酒伝童子絵巻 画/狩野元信詞書/近衛尚通、定法寺公助、青蓮院尊鎮 三巻 室町時代 大永2年(1522) サントリー美術館
展示構成は以下の通りです。
第1章 天下画工の長となる――障壁画の世界
第2章 名家に倣う――人々が憧れた巨匠たち
第3章 画体の確立――真・行・草
第4章 和漢を兼ねる
第5章 信仰を描く
第6章 パトロンの拡大
HPの解説。
狩野元信(1477?~1559)は、室町時代より長きにわたり画壇の中心を担ってきた狩野派の二代目です。狩野派とは、血縁関係でつながった「狩野家」を核とする絵師の専門家集団であり、元信は始祖・正信(まさのぶ・1434~1530)の息子として生まれました。元信は極めて卓越した画技を持ち、その作品は歴代の狩野派絵師の中で最も高く評価されていました。また、工房の主宰者としても優れた能力を発揮した元信は、孫・永徳(えいとく・1543~90)や永徳の孫・探幽(たんゆう・1602~74)などへとつながる、それ以後の狩野派の礎を築きました。幕府の御用絵師となった狩野派は、日本絵画史上最大の画派へと成長していきますが、その繁栄は元信なくしては語れません。
狩野派の台頭を支えた大きな要因のひとつに、「画体(がたい)」の確立があります。従来の漢画系の絵師たちは、中国絵画の名家(めいか)による手本に倣った「筆様(ひつよう)」を巧みに使い分け、注文に応えましたが、元信はそれらの「筆様」を整理・発展させ、真・行・草(しん・ぎょう・そう)の三種の「画体」を生み出します。そして、その「型」を弟子たちに学ばせることで、集団的な作画活動を可能にしました。襖や屛風などの制作時には弟子たちが元信の手足となって動き、様式として揺るぎ無い、質の高い大画面作品を完成させました。
また、父・正信は中国絵画を規範とする漢画系の絵師でしたが、元信はさらにレパートリーを広げ、日本の伝統的なやまと絵の分野にも乗り出します。濃彩の絵巻や、金屛風の伝統を引き継ぐ金碧画(きんぺきが)など、形状・技法の導入に加えて、風俗画や歌仙絵など、やまと絵の画題にも積極的に挑戦しました。とくに、それまでやまと絵系の絵師や町絵師が主導していた扇絵制作には熱心に取り組んでいます。
和漢の両分野で力を発揮し、襖や屛風などの大画面から絵巻や扇絵といった小画面にいたるまで、多様な注文に素早く対応することで、元信工房は多くのパトロンを獲得していきました。狩野派は元信の時代に組織として大きく飛躍したといえます。本展では、元信の代表作を中心に、その幅広い画業をご紹介します。また、元信が学んだ偉大な先人たちの作品も合わせて展示し、人々を魅了した豊かな伝統の世界を浮き彫りにします。
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