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2017.09.20

ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信

2017


「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」は、
千葉市美術館で開催されています。

会期 2017年9月6日(水)~ 10月23日(月)

ボストン美術館所蔵の浮世絵は、質・量ともに世界第一級のコレクションとして有名で、過去に何度も関連する企画展が開催されています。

私も、かつて開催された企画展の図録を数冊持っていますが、今回来ている作品の中には、過去の展覧会に出展されていて図録に掲載されている作品も相当数あります。

「鈴木春信って良いな~」と展覧会に行く度に思っていたので・・・ 混雑する前にと思って行ってきました。
版画は、小振りでっすから混雑すると疲れますよね?

この展覧会のキャプションにも登場する「優美」という表現「上品で、控えめな美しさを持っているさま、美しさの中に落ち着きがあり、好ましい感じを与えるさま」と辞書にはありますが、春信の美人画にピタリの表現だと思います。歌麿、清長も好きですが、どこか気取った洗練された趣を感じますよね。

最も春信らしと感じるのは「Chapter 3 江戸の恋人たち」の作品ですね。
この情景は、ある意味とても新鮮です。


展覧会の構成は以下の通りです。

Prologue
春信を育んだ時代と初期の作品
春信は宝暦10年(1760)頃、主に鳥居清満(.1735-85)に私淑して、役者絵の世界でデビューしたらしい。
「我は大和絵師なり、何ぞ河原者(役者)の形を画くにたえんや」と言ったとされ、明和期(1749-4823)にはほぼ美人画に集中している。
Prologueでは、春信を導いた先行絵師たちの紅絵や紅摺絵を中心に、春信の希少な初期作品も展示。
02_2
鳥居清満(1735–85) 「名古屋小山三 坂東彦三郎 薪水」
宝暦9年(1759)11月 細判紅摺絵

01
鈴木春信 「風流やつし七小町 かよひ」
宝暦(1751-64)末期 細判紅摺絵

Chapter 1
絵暦交換会の流行と錦絵の誕生
錦絵は、明和期の初め、武家や裕福な商人の趣味人たちを中心に、私的な摺物である絵暦の交換会が流行したのがきっかけで誕生した。
春信による絵暦の高度な多色木版画の美しさに目をつけた版元たちは、その版木を求め、制作依頼者の名前や暦を削って商品化した。
錦織のように美しい絵「吾妻(東)錦絵」の誕生です。
03
鈴木春信 夕立
明和2年(1765)絵暦 中判摺物

04
鈴木春信 お百度参りの女
明和2年(1765)絵暦 中判摺物

05
鈴木春信 外出の支度
もと明和2年(1765)絵暦 中判錦絵

Chapter 2
絵を読む楽しみ
春信の当世風俗を描く作品の中には、古典物語や故事の名場面をひそませた「見立絵」「やつし絵」が多く含まれている。
高級な紙や絵具を使った春信の錦絵は高価であったと考えられ、また見立絵は知識がなければ読み解くことができないということも相まって、限られた享受者、趣味人にとって魅力的だった。
06
鈴木春信 いばらき屋店先(見立渡辺綱と茨木童子)
明和4-5年(1767-68)頃 中判錦絵

Chapter 3
江戸の恋人たち
春信の作品には、若い男女の恋を描いた多くの絵が名品として知られている。
優美な柄の振り袖姿の娘と前髪を残した若衆髷の男はともに華奢な体形で描かれていて、合わせた視線と共に淡い恋心を想わせる。
10
鈴木春信 「寄菊」夜菊を折り取る男女
明和6-7年(1769-70)頃 中判錦絵

11
鈴木春信 伊達虚無僧姿の男女
明和6-7年(1769-70)頃 大判錦絵

Chapter 4
日常を愛おしむ
江戸時代が誕生して150年あまり、春信は太平の世を謳歌する穏やかな日常を主題とした作品を残している。
愛情を注ぐ母親と無邪気に遊ぶ子供の姿を描いた浮世絵を多くの人が購入し楽しんだ。
09
鈴木春信 五常「智」
明和4年(1767)9月 中判錦絵

Chapter 5
江戸の今を描く
裕福な知識層の趣味人を対象に作品を制作していた春信ですが、明和5年(1768)から、当世の興味を直接刺激する作品で錦絵を大衆層にまで広めていく。
町で評判の茶屋の娘や吉原に実在する遊女などを主人公とした錦絵を制作している。
このようなな春信の方向性は、その後の錦絵の展開に大きな影響を与えた。
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鈴木春信 遊女と禿と猿
明和4-5年(1767-68)頃 中判錦絵

Epilogue
春信を慕う
人気絶頂の絵師春信が急逝する。(明和7年(1770)6月)
明和6、7年頃から春信に倣う錦絵を描いていた浮世絵師たちは、需要にこたえて没後数年はその画風を大きく変えることはなかった。
やがて自らの画風を確立した磯田湖龍斎、司馬江漢(鈴木春重)勝川春章、北尾重政らも春信画風を慕い倣った錦絵を描いている。司馬江漢などは春信の名で偽物を制作していたことを告白している。
春信が没して20年後の寛政期に活躍した歌川喜多暦(?-1806)は春信の後継者を自負した。
08
喜多川歌麿(?-1806) 伊達虚無僧姿の男女
寛政6年(1794)頃 大判錦絵

HPの解説。
鈴木春信(1725?-70)は、高度な多色摺木版画、すなわち錦絵誕生の頃に第一人者として活躍した浮世絵師です。
  若い恋人たち、母と子、さりげない日常の生活の景、古典主題から発想された見立絵・やつし絵など、春信は小さな画面の中に詩的で洗練されたイメージを豊かに表現しました。江戸の評判娘や名所を主題に取り入れ、錦絵の大衆化に貢献したことでも知られています。上質な紙に色彩を重ねた木版の温かな風合い、主題にも工夫を凝らした春信の作品は、見る者に深い安らぎと至福のひとときを与えてくれることでしょう。

 この展覧会では、質・量ともに世界第一級の浮世絵コレクションを誇るボストン美術館の所蔵品より、活躍の様子をほぼ網羅する春信の作品とともに、この絵師を育んだ時代の気風を伝える他の絵師の作品を加えた約150点により構成されます。希少な春信の作品は、8割以上が海外に所蔵され、日本国内で作品を見る機会は大変限られています。
  本展は、2002年に千葉市美術館で開催された「青春の浮世絵師 鈴木春信」以来、15年ぶりに春信を紹介する展覧会となります。本物と出会える最高の機会を是非お楽しみください。


13
記念撮影コーナーもあります。

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