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2017.08.30

第157回芥川賞受賞作「影裏」(沼田真祐著)を読んでみました。

201709

芥川賞受賞作が掲載されている文藝春秋はもう何十年も買っていますが・・・最近の受賞作は最後まで読むことが少なくなりました、数ページでリタイア。

受賞作ですから、最後まで読めば「なるほど~」とある程度の読後感は得られるには違いないのですが・・・
単に、読むことに根気がなくなっているのかな~

今回の受賞作「影裏」(沼田真祐著)は読み終えましたよ。
拙い感想文ですが以下に記してみます。

読書家でもないものにとって、小説は読み始めの導入部が重要ですね。
この小説は情景描写が(風景描写が)上手いですね。
景色が頭の中に浮かんできます。
こうなると物語の先々に興味が湧いてきます。

導入部はこうです。

 勢いよく夏草の茂る川沿いの小道。一歩踏み出すごとに尖った葉先がはね返してくる。かなり離れたところからでも、はっきりとそれとわかるくらいに太く、明快な円網をむすんだ蜘蛛の巣が丈高い草花のあいだに燦めいている。
 しばらく行くとその道が開けた。行く手の藪の暗がりに、水楢の灰色がかった樹肌が見える。
 もっとも水楢といっても、この川筋の右岸一帯にひろがる雑木林から、土手道に対し斜めに倒れ込んでいる倒木である。それが悪いことにはなかなか立派な大木なのだ。ここから先は、この幹をまたいで乗り越えなければ目的の場所までたどり着けない。
 近ごろではわたしは、それこそ暇さえあればここ生出川に釣りをしに出掛けることに決めている。

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今野は岩手県はじつに樹木が豊富な土地だと夏が来て改めて思う。


今野は親会社から、岩手の今の会社に異動してきていた。
この会社で物流課の日浅と知り合いになる。
日浅と二人で釣りに、山菜採りに、ドライブにと一緒によく遊んだ。
日本酒が好きで酒量も同程度。
日浅は幼いころに母親を亡くし、父親と暮らしていて、東京で大学生活を送った後郷里に戻っていた。

(釣り、川辺の状況が丹念に綴られた行きます)

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知り合ってから一年数か月が過ぎ、雪深い2月の朝、出勤途中に後から追いついた同僚に突然、日浅が退職したと知らされる。
自前の携帯を持たない日浅との連絡手立てを失った今野は、同行者を失い渓流釣りの解禁日が過ぎても出かける気になれずにくすぶっていた。

そんな日々を送るなか、「偶然この近辺回ってたもんでよ。挨拶がてらちょっと寄ってみた」と日浅が訪ねてくる。
あれから4か月が経っていた。
話を聞くと、なんと退社2日後に再就職をしていた。
「互助会」の勧誘の仕事で優秀な成績を収めているようだった。
会話は20分程度で終わり日浅は迎えに来た同僚の車に乗って帰っていった。

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今野は、日浅からお礼にと夜通しの釣行に誘われる。「こちらで全部用意するから手ぶらで来い」と。
場所は、日浅の顧客の持つ?川辺の掘っ立て小屋(バルコニー)
しかし、この日、神経質にいら立つ日浅に、今野は戸惑ってしまう。
この日ばかりは、酒を飲むことを今野は頑なに拒んだ。
意地になっていた。
日浅は後から来た顧客の男と酒を盛んに酌み交わす。

この日の朝には、妹からのメールが舞い込んだり、2年間付き合った性別適合手術(SRS)の施術をすると公言していた和哉から連絡が入ったりして、時間がとられる。

(このあたりで著者は今野の人となりを紹介しようと意図している?)

(お礼の意味は・・・)
8月の終わりに日浅は突然また現れたのだ。
「すまねえが、今野よ」
「互助会、入ってくんねえだろうか、一口足りねえんだ」
今野は日浅の指示通りに三枚の書類のそれぞれの箇所にそれぞれの必要事項を記入した。

今野は、日浅が十日前には切り出せずに、手ぶらで帰ったことに思いを馳せ自分の鈍さが呪わしかった。

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そしてあの震災が襲った。
盛岡は内陸にあり、おおきな被害はなかったのだが、家族や知人から、また思いもよらぬ同級生から安否の確認連絡が舞い込む。

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連休も明けて、辛い1日が終わり家に戻ろうと駐車場で車に乗ると、パートの西山さんに呼び止められた。
「これからちょっとだけ、お時間もらえないよね」

お互いの車を少し走らせてログハウス風のベーカリーに車を止めて店に入った。
「課長死んだかもしれないね」津波で・・・(課長は当時の日浅のあだ名)
「課長が互助会の仕事しているのって、今野さん知ってた?」
西山さんは、日浅に30万円貸していたというのだ・・・・・

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今野は日浅の消息を求めて、様々な土地を巡り歩くのだがその足取りは掴めない。
意を決して父親を訪ねることにする。
そして、父親との会話は意外な展開に・・・・

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偉そうに言わせてもらえば、よくかけた小説だと思いました!
情景描写は上手いし、ところどころに、意外性を持ったエピソードを 導入して次なる筋書きへの期待を抱かせて最後まで読ませてくれます。
ただ、この物語を書くにあたっての「どうしても伝えたかった」意図が何なのかは残念ながら見いだせなかった。

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2017.08.28

荒木経惟 写狂老人A

Photo

「荒木経惟 写狂老人A」は、
東京オペラシティ アートギャラリーで開催されています。

会期 2017年7月8日(土)~ 9月3日(日)

本展に向けて制作した1000点を超える新作を中心に荒木経惟の「現在」の活動を伝えています。

ある程度荒木経惟の写真を継続的に見ている人でないと、この展覧会、首を傾げてしまうこともあるかもしれません。
という意味でいうと、東京都写真美術館で開催されている企画展「荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-」とぺアで観るのが良いかもしれませんね。

初期作品「八百屋のおじさん」のスライド以外は、今現在進行形のアラーキー作品集です。

この展覧会は撮影可でした。
(スマホで撮りました)

展覧会の構成は以下の通り。
(解説はHPから引用しています)
1. 大光画(2017年)
さまざまな年代の人妻たちを捉えた最新シリーズ。  
1

2. 空百景(2017年)
荒木の自宅のバルコニーから日々の「空」を捉えたモノクロームプリント100点のシリーズ。 
2

3. 花百景(2017年)
江戸時代の絵師、伊藤若冲の《百花図》に触発されたこのシリーズは、咲き誇り、枯れてゆく花を捉えたモノクロームプリント100点からなります。 
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4. 写狂老人A日記 2017.7.7(2017年)
荒木のライフワークである「日記」シリーズの最新作。700点近い作品は日付表示がすべて今年の7月7日に操作されています。7月7日は亡き妻、陽子との結婚記念日です。
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5. 八百屋のおじさん(1964年)
スクラップブック〈八百屋のおじさん〉第1巻。電通勤務時代(1963-72)の荒木が、銀座で行商する青果商を昼休みに足繁く通って撮り続けたものです。 
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6. ポラノグラフィー(継続中のプロジェクトより)
荒木が2002年から継続的に行っているポラロイド作品の展覧会とその出品作のアーカイヴ映像を紹介します。)

7. 非日記(継続中のプロジェクトより)
デジタルカメラによるシリーズからの抜粋で、本展ではプロジェクターによるスライドショーとして紹介します。

8. 遊園の女(2017年)
プロのモデルではない一般の既婚女性をモデルに撮影しています。遊郭から足抜けしようとする遊女を女衒(ぜげん)となった荒木が捕らえるといった趣向ですが、本当に捕らえられているのは誰なのでしょうか──。

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9. 切実(新作)
プリントした無数の写真をハサミで切断し、組み合わせを変えてコラージュしています。荒木にとってハサミで切ることも、コラージュすることも、カメラのシャッターを押すことと同じ感覚だといいます。 
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HPのプロモーションムービー

イントロダクション(HPから)
荒木経惟は、1960年代から今日まで第一線で活躍を続け、日本を代表する写真家の一人として世界的に高い評価を得ています。
本展は、今年77歳を迎え、一層活発な活動を続ける荒木が本展に向けて制作した1000点を超える新作を中心に、荒木の制作の原点とも言える1960年代のスクラップブックなどもまじえながら、その多面的な活動を紹介します。
「写狂老人A」のタイトルは、老境に入り一層精力的に制作を続けた江戸時代の絵師・葛飾北斎が70代半ばで「画狂老人卍」と号したことになぞらえ、荒木自身を表しています。荒木の制作活動からは、北斎と同様の、生涯を通じてあくなき探究を続け、道を究めようとする者に共通する人並みはずれたエネルギーが、時代やジャンルの違いを超えて伝わってきます。2017年現在、既に500冊を超える写真集を上梓している荒木は、そのテーマや手法が多岐にわたることでも知られますが、近年、自らの「死」に直面するような数々の体験を経て、「生」を見つめる眼差しは鋭さと深みを増し、長年の重要なテーマである「生と死」がより鮮明に表現されています。荒木経惟の「現在」をいきいきと伝え、その活動の核心に迫ります。

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2017.08.26

JAXA相模原キャンパス特別公開2017

今年もJAXA相模原キャンパス特別公開に行ってきました。
旅日記風に綴ってみます。写真はスマホで撮りました。

会期 2017年8月25日(金)、26日(土) 10:00~16:30

横浜線淵野辺駅で降りて南口に向かいました。
Jaxa20171

淵野辺駅からJAXAまで歩いて行くと20分位掛かります。
ほとんどの方が無料バスを利用します。
道順案内に従って2分程度歩いて・・・
バス待ちの長い行列に出合います。(この日は2台待ちで乗れました)
朝から暑い日でしたので、歩くのはきつい~
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駅前から路線バスもあり、この場合は市立博物館前のバス停で降ります。(但し、午後からの運行の様ですから確認要です)

無料バスは、国立近代美術館フィルムセンターに到着するので、ここで降りたら、車道の向こう側のJAXA相模原キャンパスに向かいます。
先ず私は、13時開演のセミナー整理券を貰いに市立博物館に行きました。
(市立博物館で開催されるセミナー整理券はここで配布)
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(JAXA相模原キャンパス正門)

キャンパスに入ってセミナー案内を見たら、10時半開演の整理券がまだあったので、さっそく調達。
フィルムセンターに戻って参加しました。
(フィルムセンター講堂で行われるセミナー整理券はキャンパス正門入口近辺で配られます。去年とは違う場所でしたが・・日除けのある場所にしたようです。)

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10時30分からのセミナーに参加しました。
「太陽系大航海時代。社会と人間ドラマ。」

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講演終了後キャンパスへ戻り、各会場のブースを概観しました。

昼食には、食堂がありますが大変混んでます。
中庭の屋台で軽食をとることができます。(焼きそばなど・・・)
大型テント内にテーブルあり。
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中庭で今年もやってました。
”ファイトイパーツ”と唱和すると試飲できます。
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持ってきた昼食は冷房が効いた休憩所(第4会場)でとることもできます。
食堂横の売店で軽食を調達して、ここで食べるのもいですね。
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13時~15時30分過ぎまでセミナーに参加

アストロバイオロジー特別講演会
「深海と深宇宙の生命探査」

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セミナー終了後、キャンパスに再度戻りました。

初公開の”宇宙探査実験棟”も大人気で昼間は行列ができていました。
小グループごとに、棟内に案内されて解説付きの見学ができます。(5分程度)
終了間際に行ってみたら、チョット待つのみで見学できました。

16時も過ぎたので、フィルムセンターに戻り、無料バスに乗って帰路につきました。
(このときは待たずに乗れました。)

この投稿は、後に加筆するかもしれません。しないかも?

昨年撮ってきた動画です。
会場の雰囲気のご参考までに。

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2017.08.24

荒木経惟センチメンタルな旅 1971-2017-

1

総合開館20周年記念
荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-は、
東京都写真美術館で開催されています。

会期 2017年7月25日(火)~9月24日(日)

いわゆる私写真に関しては荒木経惟自身の持論を過去に披歴していますが・・・
発表し続ける膨大な作品を理解するためには、ある程度の説明が必要です。(助けになります)

本展でも、展示会場と作品リストに解説があります。
読みながら、または読んでからの観賞がお勧めです。

展覧会の構成は以下の通りです。

1 プロローグ
荒木と陽子が恋人同士であった頃の写真《愛のプロローグ、僕の陽子》を スライドフィルムのまま展示。

2 センチメンタルな旅
荒木というと・・・この写真が使われますね。
1971年出版の二人の新婚旅行の写真集。
2
《センチメンタルな旅》 1971年 東京都写真美術館蔵
この写真撮影時の経緯についても語っていますが・・・

3 東京は、秋
電通退職後、東京の様々な街を撮り歩いた写真。10年後に陽子と の会話を加えて出版された。
3
《東京は、秋》1972-1973年 作家蔵

4 陽子のメモワール
荒木が「私写真」を追求していく中で陽子は最も重要な被写体であった。
5
《東京ノスタルジー》 1985年 作家蔵

5 食事
陽子が作った食事を撮ったた写真。
カラーからモノクロへと一変する写真は死へとむかっていく心境の変化が示されている。
6
《食事》 1985年 作家蔵

6 冬の旅
陽子の最後の誕生日から闘病生活、葬儀のまでの日付入りの写真。
このコーナーがとてもよかった、荒木の心象風景がひしひしと伝わってくる。
4
《愛のバルコニー》 1985年 作家蔵

7
《冬の城》 1991年 作家蔵 

9
《近景》 1990年 作家蔵

7 色景
陽子の死後、一周忌を迎えて自宅バルコニーで陽子のピンクのコートを着て陽子の遺影とともに写したセルフポートレート。

8 空景
妻が逝って私は空ばかり写していた。
8
《空景》 1989-1990年 作家蔵

9 近景
陽子の死後、二人の生活の舞台であったバルコニーで、陽子の生活、時間を感じさせるものを撮った。

10 遺作 空2
前立腺がんを発症し、自らに忍び寄る死の影を感じながら制作された。
10
《遺作 空2》 2009年 作家蔵

11 三千空
ひたすら、空のスライドがスクリーンに投影される。
流石に途中で次のコーナーへ移動しました。
11
《三千空》 2012年 作家蔵

12 写狂老人A日記 2017.1.1-2017.1.27-2017.3.2
ある日の一日を撮りまくった写真、文字通り、その日その時を写した写真。
撮影した順番に並べられている。

13 愛しのチロ
愛猫チロちゃんのポラロイド写真200点。
動物好きで、猫ちゃん、ワンちゃんを嘗て無くしている身にとっては、ちょっと辛い。
一点一点丹念に鑑賞してきました。

14 エピローグ
この展覧を締めくくる最後の一点。
この写真がとても良い。

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開催概要(HPから)
東京都写真美術館は、総合開館20周年を記念して「荒木経惟 センチメンタルな 旅 1971– 2017–」展を開催します。 荒木経惟は、1960年代から活動を始め、国の内外で高い評価を得ています。荒木の作品は、 テーマや手法が多岐にわたることでも知れ、これまでに500冊近い写真集を上梓するなど、 その制作意欲は現在もなお、尽きることがありません。
本展は、その膨大な作品群から、妻、「陽子」というテーマに焦点をあてた展覧会です。荒木 自らが「陽子によって写真家になった」と語るように、1960年代の出会いから1990年代のそ の死に至るまで、陽子はもっとも重要な被写体であり、死後もなお荒木の写真に多大なる 影響を与え続けてきました。本展では、陽子を被写体とするものや、その存在を色濃く感じさせる多様な作品を通して、荒木が重要視している被写体との関係性を探り、またその写真 の神髄である「私写真」について考察していきます。展覧会タイトルの「センチメンタルな旅 1971– 2017–」とは、1971年に出版された私家版の写真集に始まり、現在へと続いている荒木経惟の私写真、そしてその写真人生そのものを表しています。

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2017.08.21

秘蔵の名品 アートコレクション展 佳人礼讃-うるわしの姿を描く-

Photo

第23回秘蔵の名品 アートコレクション展
佳人礼讃-うるわしの姿を描く-は、
ホテルオークラ東京地下2階アスコットホールで開催されています。

会期 2017年7月31日 (月) ~ 8月24日 (木)

今年は人物画特集ですね。
日本画では、上村松園、鏑木清方の作品が目立ちました(出展数からしても) 、「一点の卑俗さもない清楚な・・」面立ちだけでなく小袖の美しさにも表れています。やはり美人画は松園だと再認識です。

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上村松園 《三美人之図》 明治41年(1908) 光ミュージアム蔵

市井の生活の一瞬を情感豊かに描いた鏑木清方の作品にも見入ってしまいます。

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鏑木清方 《七夕》左隻  昭和4年(1929) 大倉集古館蔵

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鏑木清方 《七夕》右隻  昭和4年(1929) 大倉集古館蔵


キスリングんも良いですね、鮮烈なな色彩と独特の眼差し。

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キスリング 《スペインの女》 1925年


岡田三郎助の装飾的な背景に見事な小袖を着る女性も・・・

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岡田三郎助 《支那絹の前》 大正9年(1920) 高島屋記念館蔵

松岡美術館からは、ジョン・エヴァレット・ミレーの作品が出展されています。
松岡美術館は数点持っていて、たまに訪ねると今日はミレーの作品が展示されているかな~と気になります。

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ジョン・エヴァレット・ミレー 《聖テレジアの少女時代》 1893年 松岡美術館蔵

何時もの通り、展示環境が素晴らしく、涼しい会場で好きな作家の作品を探しながら楽しく過ごしてきました。

人気投票には、上村松園の《三美人之図》に投票してきました。

展示構成は次の通りです。
【第1章】 肖像画のまなざし
【第2章】 美人画にみるうるわしき佇まい
【第3章】 人物像の魅力に出会う


開催趣旨(HPから)
今年で23回目を迎えるチャリティーイベント「秘蔵の名品 アートコレクション展」。今年は人物の姿を特集します。
洋の東西を問わず、いにしえから現在に至るまで、人々の姿は絵画表現の大きなテーマとなってきました。
本美術展では、女性を主題とした作品を中心にさまざまな肖像画・風俗画をご紹介します。
西洋画、日本の洋画、日本画にあらわれる佳人の姿をぜひお愉しみください。

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2017.08.19

「和のあかり×百段階段展2017」~日本の色彩 日本の意匠~

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「和のあかり×百段階段展2017」~日本の色彩 日本の意匠~は、
ホテル雅叙園東京で開催されています。

会期 2017年7月1日(土)~ 8月27日(日) 会期中無休

東京都指定有形文化財「百段階段」の部屋にカテゴリー「祭り」「アート」「職人」の各作品が所狭しと並べられています。部屋の装飾とともに素晴らしい空間を演出しています。

和のあかり展コラボレーションイベントも盛りだくさんです。
浴衣姿の女性を多く見かけましたが・・・「お食事付浴衣プラン」の方でしょうか?
矢張り、女性集客が経済効果ありなのでしょうね。

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この展覧会は撮影可(フラッシュ不可)です。ほとんどの方が撮ってました!
スマホで撮った写真をまとめてみました。

東京都指定有形文化財「百段階段」
 「百段階段」とは通称で、ホテル雅叙園東京の前身である目黒雅叙園3号館にあたり、1935(昭和10)年に建てられた当館で現存する唯一の木造建築です。 食事を楽しみ、晴れやかな宴が行われた7部屋を、99段の長い階段廊下が繋いでいます。 階段は厚さ約5cmのケヤキ板を使用。 階段で結ばれた各部屋はそれぞれ趣向が異なり、各部屋の天井や欄間には、当時屈指の著名な画家達が創り上げた美の世界が描かれています。
 "昭和の竜宮城"と呼ばれた当時の目黒雅叙園の建物の特徴は、装飾の破格な豪華さにあります。 最近の研究によると、その豪華な装飾は桃山風、更には日光東照宮の系列、あるいは歌舞伎などに見られる江戸文化に属するものとも言え、なかでも「百段階段」はその装飾の美しさから見ても、伝統的な美意識の最高到達点を示すものとされています。 2009(平成21)年3月、東京都の有形文化財に指定されました。

開催趣旨(HPから)
昨年、百段階段史上最高の9万人を動員した恒例企画。
東京都指定有形文化財「百段階段」を舞台に全国から
「祭り」「アート」「職人」「アクアリウム」のジャンルを中心に30を超える
出展者が一堂に会します。毎年恒例、文化財の一部屋にダイナミックに展示されるねぶたの
インスタレーションをはじめ日本各地の作品が、あかりを落とした文化財を優しく照らします。

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2017.08.14

富岡八幡宮例大祭神輿渡御(平成29年)

「水かけ祭り」とも呼ばれる、「江戸三大祭」の一つ富岡八幡宮(深川八幡)例大祭神輿渡御を観に行ってきました。

例大祭日程 2017年8月11日~8月15日

今年の富岡八幡宮例大祭は、3年に1度の本祭です。
次回はオリンピックの年ですね。
オリンピックの年の祭りは警備上の問題で、日程変更があるかもしれませんね。

53基の町神輿が『わっしょい!わっしょい!』の掛け声で練り歩きます・・・盛大に水をかけられながら、びしょびしょで!

昔は何処でも『わっしょい!わっしょい!』だったと思うのですが・・・

皆さん和気あいあい、町全体で楽しんでいる祭りです。


永代道り(通行止め)の永代橋付近から富岡八幡宮さらに、その先の神輿渡御最終地点?付近の区間で撮影しました。
(静止画、動画とも、ミラーレス一眼手持ちで撮影しています)


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富岡八幡宮境内

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和太鼓

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水を掛けられて、子供は大はしゃぎ!

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連なる神輿(各町会から53基)

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永代橋に向かう神輿

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消防団による大放水

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放水の下で・・・

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水かけ

4
水かけ

9
水かけ

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富岡八幡宮 ご由緒

御祭神 応神天皇(誉田別命) 外8柱

沿革
 富岡八幡宮は寛永4年(1627年)、当時永代島と呼ばれていた現在地に御神託により創建されました。周辺の砂州一帯を埋め立て、社地と氏子の居住地を開き、総じて六万五百八坪の社有地を得たのです。世に「深川の八幡様」と親しまれ、今も昔も変わらぬ信仰を集める「江戸最大の八幡様」です。

 江戸時代には、源氏の氏神である八幡大神を殊の外尊崇した徳川将軍家の手厚い保護を受け、明治維新に際しては朝廷が当宮を准勅祭社に御治定になり、勅使を遣わされ幣帛を賜り、新しい御代の弥栄を祈念されました。

 また、庶民の信仰は江戸の昔から大きな歴史の変転を経て現代に至まで変わることなく篤く受け継がれ、今も善男善女の参拝は絶えず、特に毎月1日、15日、28日の月次祭は縁日として大変な賑わいを見せています。

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2017.08.12

写真家 チェ・ゲバラが見た世界

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写真家 チェ・ゲバラが見た世界は、
恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンルームで開催されています。
会場は、東京写真美術館の入口手前です。

会期 2017年8月9日(水)〜27日(日)

開館時間は11:00~20:00となっていますが、多数の入場者の為、開館時間を10:30~20:00に変更したようです。行かれる方はHPで確認してください。


ゲバラが被写体になっている写真展ではありません。
写真家としてのゲバラが撮った240点が展示されています。メキシコの風景、登山、スポーツ大会の記録、キューバ、キューバ政府要人としてアジア・アフリカ各地の訪問した時に撮った写真。
日本にも来訪、東京、名古屋、大阪、神戸、広島を視察しています。
本展に広島の平和記念公園を撮った写真も展示されていました。
資料館を訪れたゲバラは「なぜ日本人はアメリカに対して原爆投下の責任を問わないのか」と取材記者に尋ねたといわれています。

最後のコーナーに、キューバと別れて、コンゴ反政府勢力に乞われ、秘密裏に入国した時の自撮り写真が数点展示されていました。全く別人に成済ましたゲバラに感慨深いものがありました。

ジョンレノンが「世界中で、今一番かっこいい男」と言ったとか・・・
「革命か死か」永遠のカリスマ革命家ゲバラは、いまだに人気?があるようで、会場は多くの人で賑わっていました。

会場では、「チェ・ゲバラ写真家としての眼差し」というタイトルのビデオが放映されています。
知人、友人、妻などの証言を含めて、ゲバラの人生を追想することができます。

HPの解説。
2015年、キューバとアメリカの国交が回復し、2016年にはオバマ大統領のキューバ訪問に続き、安倍首相もフィデル・カストロ前国家評議会議長と会談を行った。そしてトランプ氏がアメリカ大統領に就任した2017年、キューバ革命の英雄チェ・ゲバラ没後50年の節目を迎える。
平和と平等をもたらすために戦ったチェ・ゲバラの傍らにはいつもカメラがあった。
彼は何を成し遂げ、何を夢見ていたのか?
世の中が転換期を迎えようとしている今、チェ・ゲバラがファインダー越しに見た世界を体感する展覧会を開催。彼の息子カミーロ・ゲバラ氏の全面協力により「チェ・ゲバラが自身で撮影した写真」、約240点を日本初公開する。

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1959年 日本
広島の平和記念公園ですね。

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1959年 キューバ

201704
1959年 キューバ

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1955年 メキシコ

201706
1959年 キューバ



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余談

ゲバラ映画は沢山ありますが・・・過去に、私が見た映画は以下の3作品で、学生時代の友人との南米バイク旅行メキシコでのカストロとの出会い、キューバ革命、キューバを離れ、ボリビアでの死まで、ゲバラの人生を時系列で回想できます。
(DVDで観たのですが・・)

映画 モーターサイクル・ダイアリーズ
Photo
キャスト
ガエル・ガルシア・ベルナル
ロドリゴ・デ・ラ・セルナ
ミア・マエストロ
監督: ウォルター・サレス
脚本: ホセ・リベラ
製作総指揮: ロバート・レッドフォード
製作総指揮: ポール・ウェブスター
製作総指揮: レベッカ・イェルダム
製作年:2004年/製作国:イギリス=アメリカ合作


映画 チェ28歳の革命
20081027005fl00005viewrsz150x
原題:Che: Part One
監督・撮影:スティーブン・ソダーバーグ
製作:ローラ・ビックフォード、ベニチオ・デル・トロ
製作総指揮:アルバロ・アウグスティン、アルバロ・ロンゴリア、ベレン・アティエンサ、フレデリック・W・ブロスト、グレゴリー・ジェイコブズ
脚本:ピーター・バックマン
美術:アンチェン・ゴメス
音楽:アルベルト・イグレシアス
製作国:2008年スペイン・フランス・アメリカ合作映画
上映時間:2時間12分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ、日活


映画 チェ39歳別れの手紙
20081027006fl00006viewrsz150x
製作年 : 2008年
製作国 : スペイン=フランス=アメリカ
配給 : ギャガ・コミュニケーションズ
上映時間 : 133分
監督・脚本・撮影 : スティーヴン・ソダーバーグ
出演 : ベニチオ・デル・トロ 、 カルロス・バルデム 、 デミアン・ビチル 、 ヨアキム・デ・アルメイダ 、 エルビラ・ミンゲス

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2017.08.11

JAXA相模原キャンパス 特別公開2017開催概要公開

Jaxa2017

JAXA相模原キャンパス 特別公開2017

開催日 2017年8月25日(金)〜26日(土)

今年の開催概要が公開されています。
毎年、豊富な内容で多くのブースが展開されます。

整理券が必要なブースもあります。
予め訪問ブースを計画しておくことをお勧めします。
効率よく見学できますよ。

JAXA相模原キャンパス 特別公開2017のHPはこちら

宇宙科学セミナーは充実した内容でお勧めです。
こちらは、JAXA 正門前でセミナーごとの整理券が配布されますが、人気セミナーには長い行列ができます。
暑さ対策を忘れずに!

食堂、売店はありますが、屋台の出店もありますので、屋外で軽食をとることもできます。

毎年親子で楽しんでいる方が多いですが、大人だけでも勿論楽しいですよ!

横浜線淵野辺駅下車、大野北公民館付近から無料バスが運行されます。
歩いて行っても20分程度ですが、暑い日は、バスですね。
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2017.08.08

生誕140年 吉田博展 山と水の風景

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生誕140年 吉田博展 山と水の風景は、
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開催されています。

会期 2017年7月8日(土)~8月27日(日)

千葉市美術館に始まり、各地の美術館を巡回してようやく新宿にやってきました。
多くのメディアで取り上げられてきた評判の展覧会です。

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旧久留米藩士の次男として生まれた吉田博(1876‐1950)は、若くして福岡から、京都そして東京の画塾不同舎へと移ります。
不同舎時代の吉田は「絵の鬼」といわれたほど研鑽を重ねました。
同時期、フランスから凱旋帰国した黒田清輝、久米桂一郎らは、熱狂的な歓迎を受け、新しい仲間も加えて「白馬会」を創設すます。
吉田が所属した不同舎は「旧派と呼ばれ」ようになります。

新設された東京美術学校の西洋画家では、黒田、久米等が教授となり、その門下生がフランス留学生に選ばれることになり、吉田らは「留学は絶望」と感じるようになります。

吉田は意を決して、片道切符とわずかな資金を手にアメリカに出発します(親友の中川八郎と二人で)。
ここで幸運が訪れます。
デトロイトに到着後、東京で知り合った東洋美術収集家のチャールズ・フリーア氏を訪ねるも出張中で不在。
恐る恐るデトロイト美術館を訪れ、彼らの作品を見せると、グリフィス館長はその作品の素晴らしさに驚き、直ちに展覧会の開催を申し入れてくれました。

展覧会は大成功のうちに終わり、後のデトロイト開催も含めて莫大な資金を手にします。
その資金を基に二人は最終目的地のヨーロッパに向かいます。

ロンドン、パリ、ドイツ、スイスを廻り、展覧会開催の為一時アメリカに戻ってから・・1年9か月ぶりに帰国します。

帰国した吉田は、白馬会に対抗すべく仲間たちと太平洋画会を結成します。
第1回太平洋画会展を開催、翌年第2回を開催したその年に、16歳になったばかりの義妹ふじ(後の妻)を伴って2回目の渡米をはたします。
ヨーロッパにも移動、長期にわたって滞在し、沢山のスケッチを行っています。

4年間の海外滞在から帰国した吉田は、帰国早々、東京府勧業博覧会の運営、選考過程を巡っての白馬会との確執で大騒動となり、黒田清輝を殴った男と噂されます。
東京美術学校とその出身者への宣戦布告でした。

ふじと東京に居を構えた博は第1回文展で水彩画が入賞、その後も入賞を重ね、やがて文展の審査員も務めるようになり若くして日本洋画界に一方の雄として地位を固めていきます。

第6回太平洋画会には博とふじ夫婦の滞欧米作品の大量展示が評判になり。
夏目漱石の小説「三四郎」にも登場します。(本展に詳しい解説あり)

博の後半生は、木版画の制作を抜きにしては語れません。
切っ掛けは、粗悪な浮世絵が高値で取引されていることが恥ずかしいと感じたから。日本人ならではの新しい木版画を自らの手で作らなければならないと強く思ったからです。

50歳を前にして、吉田博は本格的に版画作品に取り組みます。夏は日本アルプスなどへの登山や日本各地へのスケッチ旅行で木版画のための題材の仕込み、秋の終わりから春までの時期に木版画創作に打ち込むという生活パターンが出来上がっていきます。

ダイアナ妃の執務室や精神医学者フロイトの書斎にも飾られていたといわれる吉田博の木版画は、世界中に愛好家を魅了し続けています。


大版といわれる大作版画に取り組み・・・・。
平均30回以上重ねるという他に類を見ない摺数の多さで木版画とは思えないような精緻な写実性を生み出します。
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日本アルプス十二題 劔山の朝  大正15(1926)年 木版、紙 個人蔵


また、同じ版木による色替え摺り技法で光、空間の変化を見事に描き分けています。
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帆船 朝日 渡邊版 大正10(1921)年 木版、紙 東京国立近代美術館/個人

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帆船 日中 渡邊版 大正10(1921)年 木版、紙 東京国立近代美術館/個人

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帆船 夕日 渡邊版 大正10(1921)年 木版、紙 東京国立近代美術館/個人

なんといっても吉田博の原点は山の風景です。

自然の中に溶け込み自然と一体になり自然の中に自らを沒することで初めて人を感動させ得る風景画が描けるのだとするす信念を生涯持ち続けました。

毎夏1ヵ月から3ヶ月山にこもるのが年中行事となっていました。移ろいゆく山岳風景の一瞬の美を捉えるために納得がいくまで何日も野営し、心に留まる風景を見つけると独特の早描き方法を駆使して一気に描き上げる。

山岳の美に魂を打たれつつその美を画布の上に再現すると言う事は私にとっては無常の喜びなのであると述べています。

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渓流 昭和3(1928)年  木版、紙  千葉市美術館蔵

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雲海に入る日 大正11(1922)年  油彩、カンバス  個人蔵


展覧会の構成は以下の通りです。
第一章 不同舎の時代:1894-1899 
第二章 外遊の時代:1900-1906 
第三章 画壇の頂へ:1907-1920 
第四章 木版画という新世界:1921-1929
第五章 新たな画題を求めて:1930-1937 
第六章 戦中と戦後:1938-1950

(本展HPの開催概要から)

「絵の鬼」と呼ばれ、水彩で、油彩で、木版画で世界に挑み続けた画人。ダイアナ妃や精神医学者フロイトも魅了した。

明治から昭和にかけて風景画の第一人者として活躍した吉田博(1876‐1950)の生誕140年を記念する回顧展です。
福岡県久留米市に生まれた吉田博は、10代半ばで画才を見込まれ、上京して小山正太郎の洋画塾不同舎に入門します。仲間から「絵の鬼」と呼ばれるほど鍛錬を積み、1899年アメリカに渡り数々の作品展を開催、水彩画の技術と質の高さが絶賛されます。その後も欧米を中心に渡航を重ね、国内はもとより世界各地の風景に取材した油彩画や木版画を発表、太平洋画会と官展を舞台に活動を続けました。
自然美をうたい多彩な風景を描いた吉田博は、毎年のように日本アルプスの山々に登るなど、とりわけ高山を愛し題材とする山岳画家としても知られています。制作全体を貫く、自然への真摯な眼差しと確かな技量に支えられた叙情豊かな作品は、国内外の多くの人々を魅了し、日本近代絵画史に大きな足跡を残しました。
本展では、水彩、油彩、木版へと媒体を展開させていった初期から晩年までの作品から200余点を厳選し、吉田博の全貌とその魅力に迫ります。

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2017.08.06

没後40年 幻の画家 不染鉄展

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暮らしを愛し、世界(コスモス)を描いた
没後40年 幻の画家 不染鉄展は、
東京ステーションギャラリーで開催されています。

会期 2017年7月1日(土)~8月27日(日)


若く不遇のときを回想して不染鉄は次の様に記しています。
「(略)お金もなくなり自信もなく、人の画を見てとてもあんなにはかけない。夜なぞ一人になると心細くさびしくなる。とても一人前の画家になれる気がしない。どーうせだめなら此の心持ちを淋しいのを心細いのを涙が出そうなのを画にかいてやろう。きれいでなくても小さくても。立派でなくても。淋しいいんだから淋しい。一人で眺める画をかこうと思った。淋しい、心細い、なきそうになる。静かな。心の画をかこうと思ふ。野心作だの大努力作よりも小さい眞実を書こう。」

「野心作だの大努力作よりも小さい眞実を書こう。」
この思いは不染鉄の作品全般に通底しているようです。


行き詰った不染鉄は20代前半、伊豆大島に旅行しますが、三年間にわたり、ここで漁師のまね事をしながら絵を描くことになります。

その後京都に移り、京都市立絵画専門学校を首席で卒業。
学生時代から度々帝展に入選を重ねました。

京都時代に、中国絵画や一遍上人絵伝の模写などを行っています。
作品「思い出の記(田圃)」などに結実します。

京都から奈良へ、さらに神奈川へ移り済んだ不染鉄は、戦前の不穏な社会状況の中、中央画壇から遠ざかっていきます。この時期に、画材が手に入らないこともあってか、山水画(水墨画)を描いています。

戦後は、奈良で中学、高校で校長などを務め教育者としても活躍し、政治家も志しますが・・・
生涯仮住まいで過ごした不染鉄は、妻の死後、奈良に小さなあばら家を建てて住まい兼画室とし、訪れる近くの大学の学生たちの良き相談役となっていたそうです。
この地の美術団体、工芸協会とも交流し、纏わる作品も本展に展示されたいます。

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俯瞰する風景にリズミカルに建ち並ぶ古民家、日本の原風景のような作品。
俯瞰と接近の相まった視点、海間に描かれた魚、ユーモア・・・おとぎの国のような、箱庭のような・・・

薬師寺東塔など奈良の寺を描いた作品。
富士山の威容と街並みの対比。

寂寥感、懐かしさ、ユーモア、意外性・・・不染鉄の作品の楽しさです。

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展覧会の構成は以下の通りです。

第1章 郷愁の家
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暮色有情 大正期頃  個人蔵

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秋色山村 昭和初期頃 奈良県立美術館蔵

第2章 憧憬の山水
9
冬 昭和初期頃 星野画廊蔵

第3章 聖なる塔・富士
5
薬師寺東塔の図  昭和45(1970)年頃 個人蔵

6
不二之図  昭和初期頃 個人蔵

1
山海図絵 大正14(1925)年 第6回帝展
公益財団法人 木下美術館蔵

第4章 孤高の海
7
思い出の伊豆大島岡田村
昭和30(1955)年頃 星野画廊蔵

2
廃船 昭和44(1969)年頃 京都国立近代美術館蔵

第5章 回想の風景
8
古い自転車 昭和43(1968)年 個人蔵


HPの解説。

不染鉄(ふせん てつ)を、ご存じですか。

不染鉄(本名哲治、のち哲爾。鐵二とも号する)は、稀有な経歴の日本画家です。日本画を学んでいたのが、写生旅行先の伊豆大島・式根島で、なぜか漁師暮らしを始めたかと思うと、今度は京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)に入学。才能を高く評価されながら、戦後は画壇を離れ、晩年まで飄々と作画を続けました。これまで美術館で開かれた回顧展は、21年前の唯一回だけ。画業の多くは、謎に包まれてきました。

その作品も、一風変わっています。富士山や海といった日本画としては、ありふれた画題を描きながら、不染ならではの画力と何ものにもとらわれない精神によって表現された作品は、他のどの画家の絵とも異なり、鳥瞰図と細密画の要素をあわせ持った独創的な世界を作り上げています。不染は「芸術はすべて心である。芸術修行とは心をみがく事である」とし、潔白な心の持ち主にこそ、美しい絵が描けると信じて、ひたすら己の求める絵に向きあい続けました。

東京初公開となる本展では、代表作や新たに発見された作品を中心に、絵はがき、焼物など約120点を展示し、日本画家としての足跡を、改めて検証するとともに、知られざる不染鉄作品の魅力を探ります。


不染鉄展 第1章「郷愁の家」、第2章「憧憬の山水」
InternetMuseum


不染鉄展 第3章「聖なる塔・富士」
InternetMuseum


不染鉄展 第4章「孤高の海」、第5章「回想の風景」
InternetMuseum

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2017.08.03

観てきた展覧会備忘録 2017年7月

巨匠が愛した美の世界 川端康成・東山魁夷コレクション展
会期 7月1日(土)〜8月20日(日)
萬鐵五郎展示室
松本竣介・舟越保武展示室
常設展示室
岩手県立美術館


山梨県立美術館 コレクション展
コレクション展Aミレー館
ジャン=フランソワ・ミレーの生涯
バルビゾンの画家たち
展示期間:2017年6月6日(火)~2017年9月10日(日)
※季節に合わせて年4回展示替えを行っています。
山梨県立美術館


特別展「富士に挑んだ北斎」
会期 2017年7月1日(土)~8月28日(月)
北斎唯一の立体構造物 祭屋台(常設展示)
信州小布施 北斎館


郷土の作家シリーズ(21) 榊原澄人展
会期 2017年7月1日(土)~8月29日(火)
常設展示室
おぶせミュージアム・中島千波館

紙の上のいきものたち!!
会期 2017年7月29日(土)〜9月24日(日)
町田市立国際版画美術館


特別展 地獄絵ワンダーランド
前期:7月15日(土)~8月6日(日) 後期:8月8日(火)~9月3日(日)
三井記念美術館


ベルギー 奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで
会期 2017年7月15日(土)〜 9月24日(日)
Bunkamura ザ・ミュージアム


アルチンボルド展
会期 2017年6月20日(火)~9月24日(日)
国立西洋美術館


AMBIENT 深澤直人がデザインする生活の周囲展
会期 2017年7月8日(土)~ 10月1日(日)
パナソニック汐留ミュージアム


日タイ修好130周年記念 特別展「タイ〜仏の国の輝き〜」
東京国立博物館 平成館 
会期 2017年7月4日(火)~8月27日(日)
東京国立博物館 平成館 


親と子のギャラリー びょうぶとあそぶ 高精細複製によるあたらしい日本美術体験
会期 2017年7月4日(火) ~ 2017年9月3日(日)
東京国立博物館 本館 特別4室・特別5室


世界報道写真展
会期 2017年6月10日(土)〜08月06日(日)
東京写真美術館


総合開館20周年記念TOPコレクション「コミュニケーションと孤独」
平成をスクロールする 夏季
会期 2017年7月15日(土)~9月18日(月、祝日)
東京写真美術館


2017年07月04日(火)〜08月06日(日)
2017年NHK大河ドラマ 「おんな城主 直虎」特別展
戦国!井伊直虎から 直政へ
会期 2017年07月04日(火)〜08月06日(日)
江戸東京博物館


【祝 世界遺産登録】沖ノ島 神宿る海の正倉院 ―撮影 藤原 新也―
会期 2017年7月19日(水)~8月1日(火) (会期終了)
日本橋高島屋8階 ホール

総合開館20周年記念
ダヤニータ・シン  インドの大きな家の美術館  (会期終了)
会期  2017年5月20日(土)~7月17日(月・祝)
東京写真美術館


クエイ兄弟 ―ファントム・ミュージアム― (会期終了) 
会期 2017年6月6日(火)〜7月23日(日) 
渋谷区立松涛美術館


東京墓情 荒木経惟×ギメ東洋美術館  (会期終了)
会期 2017年6月22日(木)~ 7月23日(日)
CHANEL NEXUS HALL


「第11回 shiseido art egg」展
沖潤子展 <刺繍>  (会期終了)
会期 2017年6月30日(金)~7月23日(日)
資生堂ギャラリー


田原圭一 「Les Sens」
会期 2017年6月9日(金)~7月9日(日) (会期終了) 
ポーラミュージアムアネックス


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2017.08.01

ジャコメッティ展 一部展示替え(7/19~)

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ジャコメッティ展は、
国立新美術館で開催されています。

会期 2017年6月14日(水)~9月4日(月)

ジャコメッティ展の公式サイトはこちら

ジャコメッティ展 拙ブログの投稿記事はこちら 
(6月訪問)

展示替え情報がHP、公式サイトの開催概要には書かれたいなかった?ので、うっかりしていましたが・・・展示作品リストには表記がありました。
7月19日以降に12点の展示替えがあるんですね。

この展覧会の特徴として、ジャコメッティの個性的な立体作品の他に、大量の素描などが展示されていることが挙げられます。これらの作品がジャコメッティの作品制作姿勢を特徴づけているような気もします。

展示替えを機会に今一度鑑賞に訪れるのもいいかもしれません。

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ジャコメッティ展の公式サイトに次の記事がありましたよ。

2017.7.18付け新着情報
7月21日(金)からジャコメッティ展夏休みフェア開催!

ご案内
ジャコメッティ展夏休みフェア開催!
7月21日(金)から、ジャコメッティ展の図録を含むグッズ3,000円以上(税込)お買い上げの方に、B3ポスター(非売品)をプレゼントするフェアを開催します!
ポスターはなくなり次第終了となりますので、お早めにご来館ください。

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蒸し暑い日々が続きますが、涼しい美術館で過ごすのはお勧め・・・長時間鑑賞には、長袖のシャツが必要かもしれませんね。

 

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散策中に見かけた草花 (2017年7月)

7月に咲いている花、咲き始める花って意外と多いですね・・・・
華やかに咲き誇る大賀蓮は人気で多くの鑑賞客を集めますが、そっと咲く可憐な花も味わいがありますね。
(スマホで撮っています。)

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おおがはす(大賀蓮)
2017
蓮田

201707
のこぎりそう(鋸草) きく科
標高1000メートル以上の高地に分布。
たまたま、バッタがとまっていました。
虫を見かける機会が少なくなってきたので、見かけると嬉しくなります。

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ちだけさし(乳茸刺) ゆきのした科
乳茸を刺して持ち帰ったことに由来。

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おみなえし(乎美奈弊之)  おみなえし科
高圓(たかまと)の  宮の裾みの  野司に  今咲けるらむ  女郎花(おみなえし)はも
大伴宿祢家持(おおとものすくねやかもち) 萬葉集 20巻4316
(口譯)高円の宮の裾まわりの野の丘には今頃咲いているだろう、おみなえしの花が。

201707_4
わすれくさ(萱草)
萱草  吾が紐につく  香具山の  ふりにし里を  忘れむが爲
帥大伴卿(旅人) 萬葉集3の334
(口譯) わすれぐさをわたしの紐に付ける。 香具山の懐かしい故郷を忘れらるようにする為に。

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むくげ(木槿) あおい科 ふよう属

201707_7
やぶみょうが(藪茗荷) つゆくさ科
名前の由来は、藪地に自生して葉が茗荷に似ているところから付けられた。
Hana7
やぶみょうが の群生

201707_8
しりくさ(知草 ) さんかくい かやつりぐさ科
港葦(みなとあし)に  交れる草の  しり草の  人皆知りぬ  吾が下思(したも)ひを
作者不詳 萬葉集 巻11の2468
(口譯)河口の葦にまじっている草の知り草のようにみんなが知ってしまった私の心の中に秘めた貴女への思いを。

201707_9
つちばり(土針) めはじき しそ科
吾やどに  生(お)ふる土針  心ゆも  思はぬ人の  衣(きぬ)に摺(す)らゆな
作者不詳 萬葉集 巻7の1338
(口譯)私の家の庭先に生えている土針よ。心から想ってもいない人の衣に染められないでくれ。

20170710
あさかほ(朝杲) ききょう ききょう科
朝露負ひて  咲くといへど  夕かげにこそ  咲きまさりけれ
作者不詳 萬葉集 巻10の2104
(口譯)朝顔は朝露を受けて咲くというけれども、夕方の光の中でこそ、なお一層その美しさが際立つものだ。

万葉集で詠まれている朝顔は桔梗のことだそうです。

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ひめひおうぎずいせん(姫檜扇水仙:モントブレチア) あやめ科

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おにゆり(鬼百合)  ゆり科

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