茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術
茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術は、
東京国立近代美術館で開催されています。
会期 2017年3月14日~5月24日
千利休の求めに応じて、初代長次郎が制作した茶の湯の茶碗。
手捏ねの筒状、高台から見込みまで、艶なしの釉薬で覆った、その景色は、楽茶碗の原点ですね。
利休の茶室「待庵」と黒楽茶碗、侘びを象徴する景色[利休の愛した美]です。
初代長次郎から一子相伝15代樂吉左衛門、その子篤人迄、450年にわたる、楽家の歴史を辿る展覧会です。
450年伝わるのは、土のみです。器の景色を作るのは15代にわたるそれぞれ個性です。
彫刻を学んだ15代樂吉左衛門は茶器を越えた様々な造形作品も生んでいます。
吉左衛門がまだ初々しいと評する、子の篤人の作品のこれからは・・・・?
初代 長次郎 黒楽茶碗 銘 大黒 桃山時代(16世紀)個人蔵
初代 長次郎 赤楽茶碗 銘 太郎坊 桃山時代(16世紀)裏千家今日庵蔵
長次郎が利休から依頼され、制作し始めたころの素朴な作風。
3代 道入 黒楽茶碗 銘 青山 (ノンカウ加賀七種の内) 江戸時代(17世紀)樂美術館蔵
艶のある釉薬と白。
道入作品の斬新でモダンな作品。導入の作品は多くの展覧会で展示されてきましたね。
本阿弥光悦 赤楽茶碗 銘 乙御前 江戸時代(17世紀)個人蔵
樂家と姻戚関係にあった光悦。
薄造りで、蕾から花開いた様な光悦の美意識を感じさせる器形。
後の、樂家の茶陶にも影響を与えたとも・・・
14代 覚入 色釉流水紋赤樂平茶碗 銘 綵衣 昭和38年(1963)樂美術館蔵
楽家歴代の中でも斬新な、モダンな作品を残した覚入。
その豊かな感性は、15代に引き継がれた?
15代 樂吉左衛門 焼貫黒楽茶碗 銘 暘谷 平成元年(1989)個人蔵
15代 樂吉左衛門 焼貫黒楽茶碗 銘 砕動風鬼 平成2年(1990)
焼貫・・・高温で焼くことで独特の荒々しい景色が現れます。
15代 樂吉左衛門 焼貫黒楽茶碗 銘 厳裂は苔の露路 老いの根を噛み 平成16年(2004)樂美術館
銘は自作詩から採ったもの。
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(以下はHPから)
茶碗の中の宇宙とは、全ての装飾や美しい形を捨て、手捏ねによる成形でさらに土を削ぎ落としながら造形を完成させていった茶碗を用い、その茶碗によって引き起こされる無限の世界、正しく宇宙のように果てしなく広い有機的空間のことと捉えています。
つまり、一服の茶を点てます。相手は、その茶を飲みます。その行為により二人の関係の全てが茶碗の中を巡ります。その茶碗の中を見つめながらの人間の思いは、他に想像もできないほどの大きく深い意味を有し、まさに宇宙と呼ぶべき無限の世界が広がるのです。
今から450年前、長次郎という人物によって創造された樂茶碗は、一子相伝という形態で現在まで続いています。一子相伝とは、技芸や学問などの秘伝や奥義を、自分の子の一人だけに伝えて、他には秘密にして漏らさないことであり、一子は、文字通り実子でなくても代を継ぐ一人の子であり、相伝とは代々伝えることです。
この様な考え方で、長年制作が続けられている樂焼は、長い伝統を有していますが、しかし、それらは伝統という言葉では片付けられない不連続の連続であるといえます。長次郎からはじまり15代を数える各々の代では、当代が「現代」という中で試行錯誤し創作が続いています。
本展では、現代からの視点で初代長次郎はじめ歴代の「今―現代」を見ることにより一子相伝の中の現代性を考察するものです。正しく伝統や伝承ではない不連続の連続によって生み出された樂焼の芸術をご覧いただけます。
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樂焼とは
樂焼は、織田信長、豊臣秀吉によって天下統一が図られた安土桃山時代(16世紀)に花開いた桃山文化の中で樂家初代長次郎によってはじめられました。
樂焼の技術のルーツは中国明時代の三彩陶といわれています。この時代には京都を中心に色鮮やかな三彩釉を用いる焼きものが焼かれはじめていましたが、長次郎もその技術をもった焼きもの師の一人であったと考えられています。
長次郎の残した最も古い作品は、本展に出品される二彩獅子、天正2年(1574)春につくられました。おそらく樂茶碗がつくられるのはそれより数年後、天正7年(1579)頃ではないかと考えられています。
東京国立近代美術館 茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術
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