特別展 「雪村-奇想の誕生-」
特別展 「雪村-奇想の誕生-」展は
東京藝術大学美術館で開催されています。
会期: 2017年3月28日(火)- 5月21日(日)
※会期中、作品の展示替えがあります。
雪村作品一番の魅力 は、動感あふれる作品、ありえない動きですね!
本展での、私のお気に入りは列子御風図です。
列子御風図 紙本墨画
東京・公益法人 アルカンシエール美術財団
もう、身体は宙に浮いちゃってるし、長いひげが強風で水平になびき、袖は千切れんばかり・・・・輪郭線の筆の動き、この勢いは素晴らしい!
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図録巻頭で、辻惟雄氏は語っています。(雪村の奇想から)
東北大学教授福井利吉郎著「雪村新論」を引用して・・・
彼が雪村を"水-滝-雪-自然の威力”の画家と見るくだりである。学者の言としては意外な、このすばらしい、ロマンチックな形容に、私が何かを加えることが許されるならば、”風”と”波”を入れたい。その上でさらに加えたいのは、雪村が鳥羽僧正のような伝統的存在を例外として、日本絵画史上最初に誕生した「奇想の画家」と言うことである。
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雪村は、佐竹氏の一族として常陸の国部番で誕生。
常陸の国時代は、画僧雪村が生まれる第一期の修業時代です。
そして、50歳代半ばに会津へと旅立ち、さらに小田原、鎌倉へと向かい滞在します。
この時代が二期目で、中国の牧谿や玉澗を学んだ飛躍の時期にあたります。
そして、鎌倉を離れた雪村は、会津を経て奥州に向かい、この地で雪村芸術の絶頂期を迎えます。
晩年を三春で過ごした雪村の筆力に、衰えることはありませんでした。
雪村の足跡(公式サイトから)
(「○○か」という表現が多いですね)
1489~1492年(延徳年間)
常陸の国部番で誕生か(本朝画史)
1504~1521年(永生年間)
正宗寺にこの頃入寺か(10代)
1546年(天文15年)
この年までに、常陸を出発し、会津に向かう
会津で蓮な盛ん氏に「画軸卷舒法」を授ける
鹿沼の今宮神社に神馬図を奉納
この後、佐野、足利をまわり、小田原、鎌倉は向かうか
(50代)
1555年(天文24年)
景初周随賛(叭々鳥図)を描く(60代)
1560年(永禄3年)
この頃小田原、鎌倉を離れ、鹿島神宮を廻り、奥州へ向かう
1572年(元亀3年)
常陸に流寓(80代)
1573年(天正元年)
この頃までに、三春」に住す(雪村庵扁額墨書)
1573~1590年(天正年間)
86歳で《瀟湘八景図屏風》を描く
間もなく三春で没するか
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雪村は、出家した正宗寺で、だれを師として(なにを模して)絵画を学んだのか?
鎌倉時代の学んだ牧谿や玉澗に学んだ作品、小田原狩野派からの吸収・・・
そして”禅僧雪村(自分)一人だけの絵画”「奇想の画家」への到達。
雪村の足跡を追いながらの観賞です。
そして、雪村に私淑した光琳、抱一、乾山など後世の画家の作品も含め全体像を検証しています。
展覧会の構成は以下の通りです。
第1章 常陸時代 画僧として生きる
第2章 小田原・鎌倉滞在 独創的表現の確立
第3章 奥州滞在 雪村芸術の絶頂期
第4章 身近なものへの眼差し
第5章 三春時代筆力衰えぬ晩年
第6章 雪村を継ぐ者たち
瀧見観音図 紙本彩色 室町時代 16世紀
茨城 正宗寺
重要文化財《呂洞賓図(りょどうひんず)》 紙本墨画 室町時代 16世紀
大和文華館蔵
山水図 紙本墨画 室町時代 16世紀
群馬県立近代美術館(戸方庵井上コレクション)
《龍虎図屏風》(右隻) 紙本墨画 室町時代 16世紀
根津美術館蔵
重要文化財《呂洞賓図(りょどうひんず)》
紙本墨画 室町時代 16世紀
HPの解説です。
首の骨が折れるくらいに仰ぎ見る顔から、斜め上に向かってピンと伸びる長いヒゲ。足元を見れば、ギョロッとした目つきの龍。「呂洞賓図(りょどうひんず)」に描かれる場面は、何から何までありえません。
この作品を描いたのは、戦国時代の画僧、雪村周継(せっそんしゅうけい)です。武将の子として生まれながら出家して画業に専心した雪村は、故郷である茨城や福島、神奈川など東国各地を活躍の場としました。その生涯は未だ謎に包まれていますが、ひときわ革新的で、また人間味あふれる温かな水墨画を描き続けた、ということだけは確かです。雪村の作品は江戸時代の尾形光琳らを魅了し、狩野芳崖ら近代の画家たちへと受容されたのでした。
この展覧会は、雪村の主要作品約100件と関連作品約30件で構成される最大規模の回顧展です。
雪村の「奇想」はどのようにして生まれたのか、その全貌に迫ります。
東京藝術大学大学美術館「雪村-奇想の誕生-」
InternetMuseum
第1章「常陸時代 画僧として生きる」、第2章「小田原・鎌倉滞在 ─ 独創的表現の確立」
第3章「奥州滞在 ─ 雪村芸術の絶頂期」、第4章「身近なものへの眼差し」
第5章「三春時代 筆力衰えぬ晩年」、テーマ展示「光琳が愛した雪村」、第6章「雪村を継ぐ者たち」
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