『写真家ソール・ライター展』
ニューヨークが生んだ伝説
『写真家ソール・ライター展』 は、
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されています。
会期 2017年4月29日(土・祝)~6月25日(日)
*5/9(火)、6/6(火)のみ休館
83歳にして「衝撃の世界デビュー」を飾った写真家ソール・ライター(1923-2013)の全貌を明らかにする展覧会がいよいよ日本で開催される。2006年、ドイツのシュタイデル社が出版した作品集『Early Color』は写真界にとって「事件」といっても良い出来事だった。1940年代から50年代に撮影されながら長い間、光を見ることがなかったカラー写真の作品群は、写真界にとどまらず各界に大きな驚きをもたらした。その後、世界各地で展覧会の開催や作品集の出版が相次ぎ、2012年にはトーマス・リーチ監督によるドキュメンタリー映画「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」が制作される。本作は、2015年に日本でも公開され、独自の哲学に満ちたライターの人生観と作品が多くの人々の共感を呼んだ。(HPから)
《足跡》は、印象的な作品です。
雪の路面と赤い傘・・・・柿右衛門の余白と赤を思い浮かべる方もいるかもしれません。
また、浮世絵によく見られる俯瞰の構図。
ソール・ライター 《足跡》
1950年頃 発色現像方式印画
ソール・ライター財団蔵
ソール・ライターは、浮世絵、墨書、ナビ派の画家(ヴイヤール、ボナールなど)にシンパシーをもっていた写真家、画家だそうです。
観に行かれる方は、最初から意識して鑑賞・・・というのも良いかもしれません。
ソール・ライターが写真家としてたどった人生は「伝説」と呼ぶにふさわしい。1923年、ペンシルバニア州ピッツバーグに生まれたソール・ライターは、ユダヤ教の聖職者ラビであった父親の跡を継ぐべく、幼いころから神学校で教育を受けるが、宗教的生活に情熱を見出せないソール少年は、独学で絵を描くことに没頭していった。1946年、息子の芸術的関心にまったく無関心だった両親の反対を押し切り、大学を退学したライターは真夜中に家を出てニューヨーク行きのバスに乗る。それは、家と宗教的生活への決別だった。
1940年代後半のニューヨークは、アメリカが初めて世界に影響を及ぼす芸術運動となった抽象表現主義が頭角を現わした時代だった。ソール・ライターはニューヨークへ着いて間もなく、抽象表現主義の画家リチャード・プセット=ダートと出会う。暗室で様々な実験を試みた写真を使い作品を創作していたプセット=ダートとの親交を通じて、ライターは写真術を学んで行く、この友情がソール・ライターの写真の隠れた才能を引き出す重要な引き金になった。
同時代のニューヨークは、ロバート・フランク、ウィリアム・クライン、ダイアン・アーバスら「ニューヨーク・スクール」と呼ばれる写真家たちを多く生み出した(のちにソール・ライターもその一人とみなされるようになる)写真表現にとっても重要な街だった。しかし、より内省的で、一般的には日常の中で見過ごされる一瞬のきらめきをとらえた「都会の田園詩」ともいえるライターのスタイルは、他の写真家たちと一線を画す。「写真は、しばしば重要な出来事を取り上げるものだと思われているが、実際には、終わることのない世界の中にある小さな断片と思い出を創り出すものだ」、というソール・ライターの言葉は、その写真哲学を端的に表している。ライターが敬愛したピエール・ボナールやヴュイヤールといったジャポニスムに影響を受けたヨーロッパの画家たちの、近代社会に対するロマンティックで繊細な感性と共通するものも見受けられる。(HPから)
ソール・ライターは、
「神秘的なことは馴染み深い所で起きると思っている。何も世界の裏側に行く必要はない」
「写真を撮らなかったら、もっといい画家になっていた」
と言っていたそうです。
ニューヨーク、イーストビレッジの街をいつもの様に歩いて、街中にある色彩の対比、バランスを探していたのかもしれません。
赤色系の色を中心に、その周辺の色彩のバランスを・・・・”カシャ”っと。
「ソール・ライターはニューヨークのナビ派であった」とも・・・
この展覧会で、展示されているカラー作品に新鮮な驚きを感じました!
この展覧会は以下パートに分けての展示です。
ファッション
ストリート
カラー
絵画
ヌード
ソール・ライター 《床屋》
1956年 発色現像方式印画
ソール・ライター財団蔵
ソール・ライター 《赤信号》
1952年 発色現像方式印画
ソール・ライター財団蔵
ソール・ライター 《カルメン、『Harper's Bazaar』》
1960年頃 発色現像方式印画
ソール・ライター財団蔵
ソール・ライター《看板描き》1954年
ソール・ライター財団蔵
ソール・ライター《雪》
1960年 発色現像方式印画
ソール・ライター財団蔵
ソール・ライター《タクシー》
1957年 発色現像方式印画
ソール・ライター財団蔵
ソール・ライター 《ジェイ》
写真 1950年代・描画 1990年頃
印画紙にガッシュ、カゼインカラー、水彩絵具
展覧会紹介動画(Bunkamuraザ・ミュージアム)
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