三の丸尚蔵館 第76回展「名所絵から風景画へ-情景との対話」
皇居周辺には沢山の美術館があり、時間の余裕があると東御苑に入って散策、三の丸尚蔵館にも入ります。
東御苑の様子→皇居東御苑2017年4月
2006年の3月~9月にかけて三の丸尚蔵館で開催された、第40回展「花鳥-愛でる心、彩る技 <若冲を中心に>」で「動植綵絵」全30幅が5期に分けて展示されました。
今日の若冲ブームの火付け役になったと記憶しています。
5期に分けて展示したのは、もったいぶって小出しにしたわけではなく、手狭な展示空間もあってのことですね。
ところで、2022年度完成予定で三の丸尚蔵館の増築・改修する基本構想を、宮内庁が発表しています。総床面積は約3倍の約4800平方メートルとなり、皇居の概要や皇室の歴史などを紹介するスペースも新たに設けるそうです。
どの様な展示空間になるのか?楽しみですね。
ということで、
三の丸尚蔵館 第76回展「名所絵から風景画へ-情景との対話」展前期に行ってきました。
開催期間:平成29年3月25日(土)~6月25日(日)
前期:3月25日(土)~4月23日(日)
中期:4月29日(土・祝)~5月21日(日)
後期:5月27日(土)~6月25日(日)
入館無料
展示構成は以下の通りです。
1 歌絵、名所絵、やまとのこころ
2 憧憬の地をえがく――和漢の理想郷
3 真景図――実景描写の試み
4 情趣の景――風景画の誕生
軸絵を中心に巻物、屏風絵、油彩画が展示されています。
前期は、川端玉章、 野口小蘋 、山元春挙 、円山応挙、和田英作、川合玉堂などによる作品13点の展示です。
雨上がりの山間地に虹が出て、何やら作業をする人を小さく配置した玉堂らしい素晴らしい作品がお気に入りでした。
雨後 川合玉堂 大正13年(1924) 絹本着色 1幅 95.1×176.0 前期
海辺図 円山応挙 江戸時代中期(18世紀) 紙本淡彩 1幅 23.3×30.0 中期
唐土名勝図屏風 雲谷派 江戸時代中期(17~18世紀) 絹本墨画着色 8曲1双のうち右隻 108.3×367.8 後期
北海道忍路高島真景 野村文挙 明治43年(1910) 絹本着色 対幅 各167.6×84.9 後期
夾竹桃 山本森之助 大正3年(1914) 油彩・キャンバス 1面 59.4×44.2 後期
HPの解説です。
四季山水に恵まれたわが国では,古来より風光明媚な名所が和歌の歌枕として詠み込まれ,風雅なイメージが形成されていきました。そして名所を題材にした名所絵や歌絵は人々に親しまれ,様々な変遷を遂げて,現在の私たちが親しむ風景画へと発展してきました。本展では日本人の自然観の形成と深く関わる名所絵から,身近な光景に情緒や景趣を見出そうと試みた風景画まで,近世から近代にかけて描かれた作品を中心に紹介します。
名所絵や歌絵を日本の風景画の原点と考えるなら,鎌倉から室町時代にかけて伝来した中国の山水図は,そこに一石を投じ風景描写の幅を広げたと言えます。日本では見られない懸崖な山容や神仙思想に基づく崇高な山水の姿は絵師や文人たちの心を動かし,見ることのかなわない東洋の風景は憧憬の対象となり,一種の理想郷としてわが国でも描き継がれることとなります。
江戸時代に入ると,交通網が整備され,諸国の遊歴が盛んになったこともあり,これらの概念的な名所絵,山水図とは別に実景描写に基づく真景図が登場します。絵師たちは和歌に詠まれた名所を実際に訪ね,また新たな名勝地と遭遇し,写実的で真に迫った描写を行うようになりました。
そして明治時代以降,新たに流入した西洋画を目にした画家たちは伝統的な名所や有名な景勝地でなくても,自然の明暗や大気そのものが十分に画題となり得ることを知り,新たな風景画を展開していきます。
人の心に映る風景,そしてそれを写す人の心情―その景観は,豊かな人間性が培ってきた文化の奥深さの表象とも言えます。本展をご覧いただき,美しい景色に心を託すことの歓びを再認識していただければ幸いです
東御苑散策の折には是非寄ってみてはいかがでしょうか・・・
月・金曜日は休苑日(休館日)ですよ!
こちらもついでに・・・
国立公文書館
近美から北の丸公園に行く途中にあります。
5/7迄「平成 29 年春の特別展「誕生 日本国憲法」」が開催されています。
生み出された新憲法誕生のあゆみをたどります。
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