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2016.11.14

臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱記念 特別展「禅―心をかたちに―」

Zenns


臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱記念 特別展「禅―心をかたちに―」は、

東京国立博物館 平成館で開催されています。

期間  2016年10月18日(火) ~2016年11月27日(日)
前期展示=10月18日(火)~11月6日(日)
後期展示=11月8日(火)~11月27日(日)


仏教というと、浄土経系の教えに馴染みがあるのが一般的かもしれません。
この展覧会は、禅宗の総体を概観するのには、とても貴重な機会になると思います。

前・後期に分けて、膨大な資料、作品が展示されています。
時間をたっぷりとっての観賞がお勧めです。


達磨がインドから中国に渡来し(6世紀)、その教えは二祖 慧可を経て、 六祖 慧能へと伝えられました。
唐代末期(9世紀)には数多くの高僧が現れ、中国的な禅思想が確立します。

中でも臨済義玄(?-867)を宗祖とする臨済宗は、その下にさまざまな門派が次々と興起し、今日の臨済宗十四派および黄檗宗につながります。

日本においては、鎌倉時代から南北朝時代にかけて、日中の僧の交流も頻繁に行われ、中国からの禅宗導入がきわめて積極的に行われました。

禅宗は、武家のみならず天皇家や貴族の帰依を受け、臨済宗を中心に興隆し、南北朝時代の末頃(14世紀末)には現在の臨済宗の本山十四カ寺がすべて出そろいます。

室町時代、南禅寺を頂点とする五山派が全盛期を迎え、日本の社会に禅宗が定着します。

応仁の乱による、幕府の弱体化は五山派の衰退をもたらし、それ以後、五山派に属さない大徳寺派や妙心寺派が勢力を拡大します。

戦国時代の武将たちは、禅僧に帰依して、様々な場面での繋がりを益々深めていきます。

江戸時代に入ると、新たに中国から臨済宗の一派である黄檗宗が伝わり、日本の禅宗界に大きな影響をもたらしました。

この展覧会には、
中国禅宗の歴代の、そして臨済・黄檗十五派の開祖像、墨蹟、
武将と、禅僧たちの肖像、墨蹟、禅画、
禅宗特有の作風を示す仏像や仏画、さらに茶の湯、茶器、工芸品、水墨画、障壁画など、
国宝22件、重要文化材102件を含む禅宗にまつわる膨大な資料、作品が終結しています。

展覧会の構成は以下の通り。
第一章 禅宗の成立
第二章 臨済禅の導入と展開
第三章 戦国武将と近世の高僧
第四章 禅の仏たち
第五章 禅文化の広がり

Zenn
国宝 慧可断臂図
室町時代・明応5年(1496)
雪舟等楊筆
愛知・齊年寺蔵

Zenn1
臨済義玄像 一休宗純賛 伝曾我蛇足筆 
室町時代 15世紀 京都・真珠庵蔵

Zenn2
無準師範像 自賛 
中国・南宋時代 嘉煕2年(1238) 京都・東福寺蔵


Zenn5
織田信長像 狩野永徳筆
安土桃山時代 天正12年(1584) 京都・大徳寺蔵


Zenn4
達磨像(どふ見ても) 白隠慧鶴筆 
江戸時代 18世紀 東京・永青文庫蔵

Zenn12
国宝 油滴天目
建窯 中国 南宋時代・12~13世紀
大阪市立東洋陶磁美術館蔵


Zenn8
重要文化財 呂洞賓図(部分) 雪村周継筆
室町時代・16世紀 奈良・大和文華館蔵

Zenn6
大仙院方丈障壁画のうち 四季花鳥図
狩野元信筆 永正十年(1513) 京都・大仙院蔵 

本展、特設サイトの解説。

臨済宗(りんざいしゅう)・黄檗宗(おうばくしゅう)の源流に位置する高僧、臨済義玄(りんざいぎげん)禅師の1150年遠諱と、日本臨済宗中興の祖、白隠慧鶴(はくいんえかく)禅師の250年遠諱を記念する展覧会「禅−心をかたちに−」を京都と東京で開催します。
約千五百年前、達磨(だるま)大師によってインドから中国へ伝えられたといわれる禅は、臨済義玄禅師によって広がり、やがて我が国に伝えられ、中世には武家をはじめ、天皇家や公家の帰依を受け、日本の社会と文化に大きな影響を及ぼしました。江戸時代に入ると、白隠慧鶴禅師をはじめとする高僧らにより民衆への普及が進み、現代においても禅は多くの人々の心の支えとなっています。欧米では生活スタイルに「ZEN」の思想を取り入れている人々もいます。
特定の経典を持たない禅宗では、その教えは師の心から弟子の心へと連綿と受け継がれてきました。言葉や文字によらず(=不立文字・ふりゅうもんじ)、経典によることもなく(=教外別伝・きょうげべつでん)、師と弟子との直接的な関わりのなかで自分自身の心そのものをつかみ出し(=直指人心・じきしにんしん)、自分の心のなかの仏性を見出して(=見性成仏・けんしょうじょうぶつ)、直感的な悟りの境地へ至るというものです。理想化された超越的存在としての仏像よりも、歴史上実在した生身の祖師・先師たちの人間味あふれる姿を「かたち」として遺し伝えてきたのです。
本展では、臨済・黄檗両宗十五派の全面的な協力のもと、各本山や末寺、塔頭(たっちゅう=歴代住持の墓をまつる子院、寺院内寺院)に伝わる高僧の肖像や墨蹟、仏像、絵画、工芸など多彩な名宝の数々を一堂に集め、我が国における禅僧たちの足跡や禅宗の教えが日本文化に対し果たしてきた役割を紹介します。禅の真髄に触れる貴重な機会となるでしょう。


IM動画ニュース 「禅 ─ 心をかたちに ─」後期展がスタート



第一章「禅宗の成立」 東京国立博物館
InternetMuseum


第二章「臨済禅の導入と展開」 東京国立博物館
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第三章「戦国武将と近世の高僧」 東京国立博物館
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第四章「禅の仏たち」 東京国立博物館
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第五章「禅文化の広がり」 東京国立博物館
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下記
» 続きを読む
クリックで、展示会場風景(静止画)をご覧いただけます。

展示会場風景。
(内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。スマホで撮影)

第一会場入り口
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第二会場
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後期展示には特別出展もありました。
(特別出展ですから図録に掲載はありません)
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(左) 旭日雄鶏図 伊藤若冲筆 絹本着色 
江戸時代 18世紀 エツコ&ジョー・プライスコレクション

(右) 鷲図 伊藤若冲筆 絹本墨画 
江戸時代 寛政10年(1798) エツコ&ジョー・プライスコレクション

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