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2016.10.14

鈴木其一 江戸琳派の旗手

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鈴木其一 江戸琳派の旗手

サントリー美術館で開催されています。

会期 2016年9月10日(土)~10月30日(日)

作品の展示期間が4期に分かれていて、10月5日から大幅な展示替えが行われました。
ということで、前期、後期と観てきたのですが、19日からも数点の展示替えがあります。
もう一度ですね・・・・・

どちらかというと、其一の作品は「江戸琳派の祖・酒井抱一の一番弟子の其一」というとらえ方での展示が多かったように思います。
待望の鈴木其一大回顧展ということで、展示会場は結構混んでいます。

以下の画像作品の中には、行く日によっては展示替えで観られない作品もあります。

展覧会は、
序章で 師匠酒井抱一、兄弟子鈴木蠣潭の作品数点から基一画の土壌を探ります。
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白蓮図
酒井抱一 
江戸時代後期 細見美術館


第1章では、基一が抱一に師事した期間の作品を中心に取り上げています。
18歳で抱一に入門した基一は、その4年後に兄弟子鈴木蠣潭の急死を受け、その姉(妹説も・・)と結婚して鈴木家の家督を継ぎます。抱一の隠居所「雨華庵」に集う多くの弟子の中でも、抱一の厚い信頼を得て、重要な仕事を任されるようになり、幅広い画題を手掛けていくことになります。

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蝶に芍薬図
鈴木基一画 北村季文賛
江戸時代後期 板橋区立美術館


第2章では、基一様式を確立していく過程の作品を展示しています。
33歳の時に師匠を失い、抱一の養子で雨華庵を継いだ12歳年下の酒井鶯蒲(おうほ)を支えつつ次第に抱一画法を離れ、独自の画風を展開していきます。

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風神雷神図襖 
鈴木其一筆 八面 江戸時代 19世紀 東京富士美術館
©東京富士美術館イメージアーカイブ/DNPartcom

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夏秋渓流図屏風 
鈴木其一筆 六曲一双 江戸時代 19世紀 根津美術館


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水辺家鴨図屏風
鈴木其一筆 六曲一隻 江戸時代 19世紀 細見美術館

第三章、40代後半で家督を息子守一に譲った基一はさらに多彩な作風への挑戦を続けます。
菁々(せいせい)と号した晩年の15年間、そして、63歳(安政5年(1958))で亡くなるまで、大名家や豪商に愛され、思いのままに描き続けました。
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朝顔図屏風
鈴木其一筆 六曲一双 江戸時代 19世紀 アメリカ・メトロポリタン美術館
©The Metropolitan Museum of Art. Image source: Art Resource, NY

この咲き乱れる朝顔、見たことのない様な蔦の広がり、見事なデザインと唸ってしまいますが・・・風神雷神図襖の風神、雷神のフォルムが当てはまる、というのですが、なるほど〜と思ってしまいますね。


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藤花図
鈴木其一筆 一幅 
江戸時代 19世紀 細見美術館


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鶏に菊図
鈴木基一
江戸時代後期 個人蔵

そして、最終章(4章)で、基一が育て明治期にも伝えられた、「基一派」とも称される勢力の画家たちの作品が展示されています。

展覧会の構成。
第1章 抱一門下の秀才
第2章 其一様式の確立
第3章 絢爛たる軌跡
第4章 其一派と江戸琳派の展開 

各章には、つぎのコーナーがあります。

・月次絵の扇と画帖
11
鏡餅と鼠図扇面
鈴木基一 鴻池合資会社資料室

・掌中の愉しみ

・能絵の舞姿

・華麗なる仏画
9
虚空蔵菩薩像 鈴木基一 
江戸時代後期 ファインバーグ・コレクション

・節句掛と描表装

・基一をめぐる諸相


HPの解説。

鈴木其一(すずききいつ・1796~1858)は江戸時代後期に、江戸琳派の優美な画風を基盤にしながら、斬新で独創的な作品を描いた画家として近年大きな注目を集めています。その其一の画業の全容を捉え、豊穣な魅力を伝える初の大回顧展を開催します。
江戸時代初期の京都で俵屋宗達(たわらやそうたつ・17世紀前期に活躍)が創始した琳派は、尾形光琳(おがたこうりん・1658~1716)により、さまざまな流派が活躍した江戸時代絵画の中で最も華麗な装飾様式として確立されました。光琳が活躍した時期の約100年後に、江戸の地で琳派の再興を図ったのが酒井抱一(さかいほういつ・1761~1828)です。抱一は京都の琳派様式からさらに写実的で洗練された画風を描くようになり、その新様式はのちに、京都に対して「江戸琳派」と呼ばれています。
そのような江戸琳派の祖・抱一の一番弟子が其一です。其一は寛政8年(1796)、江戸中橋に誕生しました。文化10年(1813)、数え年18歳で抱一に入門。4年後に兄弟子で姫路藩酒井家家臣の鈴木蠣潭(すずきれいたん・1792~1817)の急死を受け、養子に入り鈴木家の家督を継ぎました。
文政11年(1828)、其一33歳の時に抱一が没して以降は、一門の中でも圧倒的な存在感を示し、その作風は次第に師風を超え、幕末期にかけて大きく変容を遂げます。とくに30代半ばから40代半ばにかけてはダイナミックな構成や明快な色彩を多用し、新たな其一様式が築かれました。さらに晩年にはより挑戦的で自由な作風を開き、近代を予告するような清新な作品も少なくありません。
このように、抱一の実質的な後継者としての自負、光琳に連なる琳派画家としての誇り、さらに酒井家家臣という立場が上質で機智に富む画風を育み、多くの其一画が大名家や豪商の厚い支持を得ました。
本展では抱一画風を習得する門弟時代、躍動感溢れる作風を次々と手掛けた壮年期、息子・守一(しゅいつ)に家督を譲った晩年と、其一の生涯と画風の変遷を丁寧に追います。また其一は多くの弟子を育成して江戸琳派の存続に大きく貢献しており、近代まで続くその系譜も辿ります。まさに「江戸琳派の旗手」として目覚ましい活躍をみせた其一。広く知られた其一の名品や新出作品など、国内外からかつてない規模で作品が一堂に揃うこの展覧会は、江戸の画壇を豊かに彩った其一画の魅力とその展開を、存分に堪能していただける貴重な機会となります。

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