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2016.08.13

From Life―写真に生命を吹き込んだ女性 ジュリア・マーガレット・キャメロン展

Photo

From Life―写真に生命を吹き込んだ女性
ジュリア・マーガレット・キャメロン展

三菱一号館美術館
開催されています。

会期 2016年7月2日(土)~9月19日(月)

写真草創期の英国で活動したジュリア・マーガレット・キャメロン(1815〜1879年)の生誕200年を記念してロンドンのビクトリア&アルバート博物館が企画した世界巡回展で、国内では初の回顧展です。
三菱一号館美術館での本格的な写真展も珍しいですね。

キャメロンは娘夫婦から、さみしい時にでも写真をやってみたらとカメラを送られます。1863年、48歳の時でした。
独学で写真技術を身に着け、「写真を芸術に高めたい」という志のもと、制作活動に取り組みます。
そして一年半後にはヴィクトリア・アンド・アルバート博物館の前身である サウス・ケンジントン博物館に114点の作品が買い上げられます。


キャメロンは父が東インド会社の職員であった為、インドで生まれ、フランスで教育を受け、インドに戻り。
その後、家族とともに英国に移り住みます。

写真機を持つこと自体一般的にはあり得ない時代ですから、キャメロンは上流社会での生活を謳歌していた人です。

キャメロンが追及した主題は「肖像」「聖母群」「幻想主義(ファンタジー・サブジェクト)」です。

肖像は、妹夫婦が主催するサロンで交流した著名人や家族をモデルにして撮影しました。

敬虔なクリスチャンで6人の子供の母親であったキャメロンにとって聖母子のモチーフは特別な意味を持っていました。
ルネサンス絵画の構図にならい撮影しました。

そして詩や物語などのワンシーンを写真で表現し、寓意性に富む絵画的作品をつくりました。

ソフトフォーカスを多用した作品は抒情性豊かです。

これらの写真は、湿板写真で撮影されたものだそうです。
ガラス板に下処理を行ったのち感光材を塗り、乾かないうちに、カメラにセットして撮影→現像→定着まで行い、ネガ原板をつくります。
引伸機は無いですから、ネガ原板と最終作品は同寸です。

制作方法(制作過程)を想像しながら鑑賞するのも面白いと思います。
映画、TVドラマなどに登場する、レンズキャップを外して露光(撮影)している・・・あの光景?

展覧会の構成は次の通りです。

第一章 最初の成功からサウス・ケンジントン博物館へ

第二章 痺れさせ驚嘆させる

第三章 名声だけでなく富も

第四章 失敗は成功だった


1
五月祭 1866年頃 

2
ハーバート・ダックワース夫人 1872年

3
ポールとヴェルジニー 1864年

4
ミューズの囁き 1865年

TVCM

ジュリア・マーガレット・キャメロン展|三菱一号館美術館|プレス発表会


HPの展覧会概要

1863年末に初めてカメラを手にしたジュリア・マーガレット・キャメロン(1815-79)は、記録媒体にすぎなかった写真を、芸術の次元にまで引き上げようと試みた、写真史上重要な人物です。インドのカルカッタに生まれ、英国の上層中流階級で社交生活を謳歌していた彼女は、48歳にして独学で写真術を身につけ、精力的に制作活動を展開します。そして、生気あふれる人物表現や巨匠画家に倣った構図を追求するなかで辿りついたのは、意図的に焦点をぼかし、ネガに傷をつけ、手作業の痕跡をあえて残す、といった革新的な手法でした。
本展は、キャメロンの生誕200年を記念し、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館が企画した世界6カ国を回る国際巡回展であり、日本初の回顧展です。キャメロン絶頂期の極めて貴重な限定オリジナルプリント(ヴィンテージプリント)をはじめ、約150点の写真作品や書簡などの関連資料を通じて、キャメロンの制作意図を鮮やかに際立たせつつ、彼女が切り拓いた新たな芸術表現の地平を展覧します。

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