原安三郎コレクション 広重ビビッド
原安三郎コレクション 広重ビビッドは
サントリー美術館で開催されています。
会期 2016年4月29日(金・祝日)〜6月12日(日)
今年は、浮世絵企画展の当たり年だと思っています。
この展覧会も素晴らしい。
初摺りの素晴らしい発色、藍の深さ、朱色の紅色の艶やかさ、グラデーションの美しさ、想像していた以上です。
〈六十余州名所図会 江戸 浅草市〉では初摺りと後摺りが並べて展示されていて、ひと目でその違いがわかります。
後摺では雲母摺りの手抜き、グラデーションの手抜き等々が見られて、初摺りの価値が理解できます。
(丁寧な解説と共に・・)
それぞれの作品には現在の写真と解説が添えられていて、比較できるようになってます。
わたしが住んでいた場所に江戸末期に広重が出向き、写生し、作品に仕上げたと思うと、あまりの変容にタイムマシンに乗った気分?不思議な気持ちになりました。
解説を丹念に読みながら鑑賞していると、結構な時間が掛かります。
葛飾北斎の〈千絵の海〉が10図すべて揃って展示されていて、こちらも、保存状態がよく、見ものです。
六本木に行くたびに、この企画展に寄り道するつもりです(そんな気持ちにさせてくれる展覧会)あと何回いけるか?
ということで、まだ図録は買っていません。
(図録でこの色の深みは再現できませんね。)
HPの解説。
日本財界の重鎮として活躍した日本化薬株式会社元会長・原安三郎氏(はらやすさぶろう・1884~1982)の蒐集した浮世絵コレクションのうち、歌川広重(うたがわひろしげ・1797~1858)最晩年の代表作である〈名所江戸百景(めいしょえどひゃっけい)〉、および〈六十余州名所図会(ろくじゅうよしゅうめいしょずえ)〉を中心にご紹介いたします。前者は江戸名所、後者は五畿七道(ごきしちどう)の68ヶ国の名所を題材としており、とくに前者は当時からたいへんな人気を博していました。需要の増加とともに、摺りの手数を簡略化した「後摺(あとずり)」が複数制作されるようになりますが、本コレクションのものは、貴重な「初摺(しょずり)」のなかでもとくに早い時期のもので、国内にも数セットしか存在しません。初摺の行程では、広重と摺師が一体となって色彩や摺りを検討しながら進めており、広重の意思が隅々まで込められています。また、版木の線が摩滅せずシャープなため、美しい彫りの線が確認できます。つまり本展では、広重が表現しようとした形や、生涯を通じて追い求めた色彩および彫摺技法の粋を見ることができます。さらに、保存状態が極めて優れているため、制作当初の「試し摺」に近い初摺の姿が鑑賞できる、またとないチャンスです。このふたつの揃物(そろいもの)を全点公開するのは、本展が初めてのこととなります。開催に際し、〈名所江戸百景〉ならびに〈六十余州名所図会〉について、描かれた場所の現地取材を行ないました。広重の作品と現在の写真を、展示および図録で比較していただくことができるのも本展ならではです。〈名所江戸百景〉に関しては、江戸在住の広重が実際に足を運び、写生したものが基になっていると考えられています。一方、〈六十余州名所図会〉については、その大半が典拠資料を参考にしていますが、画面構成に広重の心象風景による表現を加え、オリジナリティーを出しています。また江戸や旅先で実景を目にした体験が反映されていると思われる描写もあり、シリーズのなかでも一際優れた作品となっています。あわせて、本展では葛飾北斎(かつしかほくさい・1760~1849)や歌川国芳(うたがわくによし・1797~1861)の名所絵なども展示いたします。とくに、現存数の少ない北斎の〈千絵の海(ちえのうみ)〉が10図すべて揃うのも見どころのひとつです。国内外でも稀に見る名品の数々をぜひお楽しみください。
展覧会の構成は以下の通りです。
第1章 初公開 歌川広重〈六十余州名所図会〉
六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波 歌川広重
大判錦絵 安政2年(1855)
六十余州名所図会 美作 山伏谷 歌川広重
大判錦絵 嘉永6年(1853)
第2章 最晩年の傑作 歌川広重〈名所江戸百景〉
名所江戸百景 大はしあたけの夕立 歌川広重
大判錦絵 安政4年(1857)
名所江戸百景 王子装束ゑの木 大晦日の狐火 歌川広重
大判錦絵 安政4年(1857)
名所江戸百景 亀戸梅屋舗 歌川広重
大判錦絵 安政4年(1857)
名所江戸百景 深川萬年橋 歌川広重
大判錦絵 安政4年(1857)
第3章 幻のシリーズ 葛飾北斎〈千絵の海〉
千絵の海 五島鯨突 葛飾北斎
中判錦絵 天保3年(1832)頃
第4章 名所絵の名品――葛飾北斎、歌川国芳とともに
冨嶽三十六景 凱風快晴 葛飾北斎
大判錦絵 文政末~天保初期(1829~32)
冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏 葛飾北斎
大判錦絵 文政末~天保初期(1829~32)
近江の国の勇婦お兼 歌川国芳
大判錦絵 天保2~3年頃(1831~32)
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