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2016.02.27

若林奮 飛葉と振動

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若林奮 飛葉と振動」は府中市美術館で開催されています。
会期:2016年1月9 日~ 2月28日


神奈川近代美術館葉山館から巡回していきた展覧会ですね。
若林作品の鑑賞には解説が役にたつのですが・・・この展覧会でも多くの解説がなされています。
そして、その解説を理解するのにも時間を要するという具合で・・・・

若林作品を観る機会は結構ありますし、とても気になる 作家です。
ということで、作品理解の参考になりそうな言葉を引用してみます。


「外部にある環境世界―大気、水、植物、光や、時間といった非彫刻的なものをも彫刻に取り込もうとする思想があらわれています」

「鉄によて彫刻をつくるのではなく、彫刻によって鉄をつくる」
「私は彫刻に「振動」と言う言葉を考えます。(・・・)私はこの振動の一端しか知らないのです。それは振動と私とが接するところです。振動が充満する空間は狭く小さいことによって成り立っていると思えます。そして次に「所有」という考えが出てきます。彫刻は全体像を明確に獲得するのではなくて、振動を持った曖昧な空間を所有する、と私には考えられます。自分と振動を持った空間との関係が生じて、その関係によって認められ、その接するところが見極められていくと思えるのです。」

「彫刻としてある量を作るときに、紙を重ねてみるということを考えてみたわけです。「振動尺試作」という作品の場合なんですが、ある距離の中での分割、非常に薄いものの重なりとしての分割を考えることがありました。それは距離の問題であるし、時間の問題でもある。」

今回紹介されている、軽井沢のセゾン美術館にも、かつて行ってみましたが、錆びた鉄の門、錆びた鉄の橋などなど広い庭の自然の情景との関係性に満足感とある種の戸惑いを感じたことも確かです。
2011年に行った時の投稿記事。
セゾン現代美術館軽井沢 VERY BEST OF SMMA COLLECTION

いつまでも解き明かせないのがまた若林作品魅力なのかもしれません。
この展覧会のタイトルからして「飛葉と振動」ですからね。

2
「雨-労働の残念」 1971年 武蔵野美術大学 美術館・図書館蔵

3
「Daisy 2-C」 1995年 世田谷美術館


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「67-120」 1967年 東京国立近代美術館蔵

5
「地下のデイジー」 2002年 府中美術館

6
多くの川を渡り再び森の中へ」(部分) 1986年 MIHO MUSEUM蔵

7
「緑の森の一角獣座-カッパー・ペインティングC」 1996年 WAKABAYASHI STUDIO蔵

8
「(無題)」 1968年 WAKABAYASHI STUDIO蔵

HPから引用。

没後13年を迎えた若林奮わかばやしいさむの仕事を振り返るとともに、これまで十分に紹介されてこなかった「庭」をめぐる制作に光をあて、関連資料や新規撮影の写真等、約270点によって、その世界を紹介します。

60年代初め、鉄を直接刻み、溶接する作品で鮮烈なデビューを飾った若林奮(1936-2003)には、「鉄の彫刻家」というイメージがあります。実は、最初期から石や木を用いていたように、石膏、鉛、銅、硫黄など、扱った素材は多様でした。そして若林奮は、「彫刻をつくること」を根幹に据えながら、「彫刻」という形式に限定させることなく、ドローイング(素描、構想画類)、版画、小さなオブジェ、本を数多く手がけました。そこには、外部にある環境世界―大気、水、植物、光や、時間といった非彫刻的なものをも彫刻に取り込もうとする思想があらわれています。展覧会名「飛葉ひよう」と「振動」は、空間を満たすエレメントを指して、作家が選んだ言葉からとっています。

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