印象派を超えて点描の画家たち ―クレラー=ミュラー美術館所蔵作品を中心に
この展覧会は10月4日〜12月23日まで開催されています。
ファン・ゴッホの優れたコレクションで知られるオランダのクレラー=ミュラー美術館の所蔵作品を中心に構成された展覧会です。
因みに《第1章印象派の筆触》に出展されている作品は、全て国内の美術館からです、何故?なのでしょうね。
「点描作品は好きですか?」と訊かれると、はっきり答えられないでいましたが、この展覧会で、ちょっと見直したかもしれません。
印象派に始まり、スーラの分割主義がフォーブへそして抽象絵画への先駆けとして位置づけられているという、そのことがよく解る展示構成になっています。
この展覧会、矢張りゴッホの個性が際立つのですが、《第4章 ベルギーとオランダの分割主義》《第5章 モンドリアン ―究極の帰結》こちらも注目です。象徴主義、抽象との関係性も見るのも面白いと思いました。
過去に青森県立美術館で筆触分割に注目した展覧会《光を描く 印象派展 −美術館が解いた謎−》
が開催され、旅行のついでに観てきましたが、こちらは技術的な説明にこだわった感がありました。
今回の展覧会でも、映像等での解説があり鑑賞の助けにはなりますが、あくまでも基本的な説明です。
近寄って、筆触分割の技術的な確認をするもよし、全体を見渡して、その空間の色彩を楽しむもよし、楽しめる展覧会だと思います。
HPの解説から
19世紀末から20世紀前半のヨーロッパ絵画において色彩は、外界の事物を再現するという役割から次第に解放され、ひとつの表現として自立していきます。色彩の独立は、印象派の筆触分割に、その萌芽を見出すことができます。新印象派の代表的な画家であるスーラは、印象派の感覚的な筆触分割には飽きたらず、科学的な知識をもとに独自の点描技法を開拓しました。色彩を純色の小さな点に分解して描く分割主義は、フランスを超えてヨーロッパ各地に瞬く間に広がります。そして、シニャックによる理論化にも後押しされて、抽象絵画の創設にも大きく貢献しました。オランダからパリに出たファン・ゴッホは、新印象派の技法に大きな着想を得て色彩を探求し、やはり点描を通過したモンドリアンは後年、三原色に分割された宇宙的な調和に満ちた抽象絵画へと到達したのです。本展は、ファン・ゴッホの優れたコレクションで知られるオランダのクレラー=ミュラー美術館の特別協力のもと、スーラ、ファン・ゴッホ、モンドリアンを中心にした、フランス、オランダ、ベルギーの画家たちによる色彩の探求を検証するものです。国内の所蔵機関の協力も得て一堂に展示される、油彩画、水彩画、素描、約90点にも及ぶ珠玉の作品を通じ、絵画の真髄ともいえる色彩の輝きを新たな目で捉えなおします。
展覧会の構成は以下の通りです。
第1章 印書派の筆触
クロード・モネ 《サンジェルマンの森の中で》 1882年 油彩・カンヴァス
カミーユ・ピサロ 《エラニーの牛を追う娘》 1884年 油彩・カンヴァス
第2章 スーラとシニャック ―分割主義の誕生と展開
ジョルジュ・スーラ 《ポール=アン=ベッサンの日曜日》 1888年 油彩・カンヴァス
ポール・シニャック 《コリウール、鐘楼作品164》 1887年 油彩・カンヴァス
第3章 ゴッホと分割主義
フィンセント・ファン・ゴッホ 《種まく人》 1888年 油彩・カンヴァス
フィンセント・ファン・ゴッホ 《レストランの内部》 1887年 油彩・カンヴァス
アンドレ・ドラン 《コリウール港の小舟》 1905年 油彩・カンヴァス
第4章 ベルギーとオランダの分割主義
ヤン・トーロップ 《夕暮れの光あるいは誘惑》 1888-1889年頃 油彩・カンヴァス
テオ・ファン・レイセルベルヘ 《読書する女あるいは青い帽子の女あるいは青い帽子》 1900年 油彩・カンヴァス
第5章 モンドリアン ―究極の帰結
ピート・モンドリアン 《砂丘》 1909年 油彩・鉛筆・厚紙
ピート・モンドリアン 《赤と黄と青のあるコンポジション》 1927年 油彩・カンヴァス
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