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2013.09.29

国宝 興福寺仏頭展

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この展覧会は東京藝術大学大学美術館で9月3日~11月24日まで開催されています。

今年、都内最大級の仏像展覧会との事ですが、振り返って見ると、確かに今年は仏像の大規模展覧会は少なかった様な気がします。
何しろ、国宝25点、重要文化財31点という豪華さですからね。

仏頭を真ん中に、左右に木造十二神将立像が並ぶ展示空間はとても魅力的です。
十二神将の木彫の素晴らしさは勿論ですが、十二神将の頭部に乗る干支を確認しながら見て回るという楽しみもあります。

1187年に山田寺から移送されて東金堂の本尊となった巨大な白鳳時代の仏像(現仏頭)は1411年に火災で胴体を失って所在不明となり、500年の時を経て1937年に再び発見されました。
所在不明となってから仏像(現仏頭)と十二神将立像は今日までそろって並ぶことはなく、今回の展覧会での展示が、実に約600年ぶりの再会の場となります。

また、我が国の浮き彫り超像屈指の名品とされる国宝板彫十二神将像は厚さ3センチのヒノキ板に掘られていて、豊かな表情、たくましい姿は見飽きない魅力があります。
(永承元年(1046)に火災があり本尊が焼失し、仏像彫刻の巨匠、定朝が再興した際には、東金堂本尊薬師如来像の台座に張り付けられていた可能性があるとの解説にあり)

HPの紹介文

奈良・興福寺の創建1300年を記念して「国宝 興福寺仏頭展」を開催します。展覧会では現存する東金堂をテーマとし、同寺の代表的な名宝である国宝「銅造仏頭」(白鳳時代)をはじめ、東金堂ゆかりの名品を展示します。「仏頭」の守護神として造られた国宝「木造十二神将立像」(鎌倉時代)、浮彫の最高傑作として有名な国宝「板彫十二神将像」(平安時代)の各12点、計24点が初めてそろって登場するほか、法相宗に関わる至宝も展示。「仏頭」と同じ白鳳仏として、東京・調布の深大寺所蔵の重要文化財「銅造釈迦如来倚像」も特別陳列され、国宝25点、重要文化財31点など約70点の至宝が集う豪華な展示となります。ヴァーチャル・リアリティー(VR)技術を使って、仏頭頭部の復元に挑むとともに、同寺で進む中金堂再建事業についても紹介します。

展覧会の構成は以下の通りです。
第1章 法相の教えと興福寺の絵画・書跡
第2章 国宝 板彫十二神将像の魅力国宝「迷企羅大将像(板彫十二神将)
第3章 国宝 銅造仏頭と国宝 木造十二神将立像
第4章 特別陳列 深大寺釈迦如来倚像

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国宝「銅造仏頭」 白鳳時代

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重要文化財「厨子入り木造阿弥陀如来半跏像」 鎌倉時代 興福寺蔵

厨子と別々に展示。


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重要文化財「持国天像」(部分) 鎌倉時代 興福寺蔵 


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奈良文化庁財「法相曼荼羅図」 室町時代 興福寺蔵


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重要文化財「鋳造釈迦如来倚像」白鳳時代 深大寺蔵


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国宝 板彫十二神将像 毘羯羅大将像

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2013.09.22

米田知子 暗なきところで逢えれば

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この展覧会は東京都美術館で7月20日〜9月23日まで開催されています。


個々人の生きてきた上での経験が、見方を大きく変えるかもしれません、この展覧会。
伊藤博文が暗殺された中国のプラットホーム、ゾルゲ事件の密会場所を追った写真、台湾、サハリン、マハトマガンジーの眼鏡で最後のノートを見る等々、そして福島の写真に終わります。

このこの展覧会を見ていると、自分史を思い返すことになります。
自分が生きてきた土地、その歴史を考えたりもします。

米田さんは言います。

「写真のイメージと言語の関係に興味がある。表現だけではなく、歴史性や社会性、さらには受け止める人によって『見えること』は変わると」

HPの紹介文。
日本を代表する写真家の一人である米田知子の個展を開催します。米田の作品は“記録”という写真の根本的な役割をベースにしながら、現実に見えているものだけではなく、そこにある記憶や歴史を背景に投影しています。初展示となる「サハリン島」や映像作品、そして近年の代表作より、日本やアジアの近代化における記憶や歴史をテーマに構成しました。いま存在する風景や建物に、過去にどのような出来事が起こったのか。写真を見る側はその事実を知った途端に、見えているイメージが別のものに見えてくる錯覚を覚えます。米田の作品は写真というメディアの持つ特質を最大限に生かしながら、鑑賞する側に見えているものの本質を、あらためて問いかけています。

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《帝政ロシア時代、囚人が掘ったトンネルの入り口、”3人兄弟の岩”をながめて、アレクサンドロフスク・サハリンスキー》「サハリン島」より


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《道―サイパン島在留邦人玉砕があった崖に続く道》「Scene」より 2003 

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《日本統治時代に設立された台湾銀行の寮、後の中華民国中央銀行職員の家「Japanese House」より2010


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《平和記念公園・広島「積雲」より 2011

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《東京宝塚劇場(クラウゼン ヴトケヲッチ) 「パラレル・ライフ」より 2008

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《マハトマ・ガンジーの眼鏡『沈黙の日』の最後のノートを見る》
『Between Visiblie and invisible』より 2003

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《Kimusa9》 「Kimusa」より 2009


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2013.09.17

ルーブル美術館展 地中海四千年の物語

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この展覧会は、東京都美術館で7月20日~9月23日まで開催されています。
もうすぐ終了ですね。

この展覧会には、始まってすぐと最近の2度見てきましたが、ショーケースに収められた展示品には列ができます、これが苦手なんですよね、でも仕方ありませんよね。
1808年にルーヴルに収蔵されて以来、初めて館外に出品されるという、チラシに使われている「ギャビーのディアナ」が展示されているフロアは意外と混んでませんでした。(私が行ったときは、ですよ)
他にもすばらし彫刻が展示されています、見応えという意味ではこの辺りでしょうか?

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「アルテミス、通称”ギャビーのディアナ”」14~37年頃

地中海4000年の歴史と文化を概観する展覧会です。
会場の数か所で、地中海地域の風景、デザイン、工芸、建築等々の紹介映像が流されています。
この展覧会を見て、どれだけ、発想の展開ができるか?
そんな感じの展覧会かもしれませんよ。

「今まで見聞きした事柄が頭の中が整理できた?」なんていう方もおられるかもしれません。


展覧会の構成は以下の通りです。
(画像はチラシの切り取りです)
序章 地中海世界―自然と文化の枠組み
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第一章  地中海の始まり―紀元前2000年紀から前1000年までの交流
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第二章 統合された地中海―ギリシャ、カルタゴ、ローマ
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第三章 中世の地中海―十字軍からレコンキスタへ(1090‐1942年)
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第四章 地中海の近代―ルネサンスから啓蒙主義の時代へ(1490‐1750年)
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第五章 地中海紀行(1750‐1850年)
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HPの紹介文です。

本展はルーヴル美術館の全8美術部門が総力を挙げて「地中海」をテーマに企画し、西洋と東洋を結ぶ地中海世界の四千年におよぶ歴史的・空間的な広がりを、ルーヴルが誇る200点を超える収蔵品で展観するものです。

西洋と東洋の出会いの地で誕生した作品群は、多彩かつ個性的であると同時に、地中海を舞台に生み出された諸文化の影響関係を生き生きと伝える魅力あふれるものです。

注目すべきは、清楚な容貌と自然なたたずまいが美しい古代彫刻の傑作「アルテミス、通称 ギャビーのディアナ」。また、ロココ美術の華麗な作品やフランスの画家シャセリオーによるオリエンタリズムあふれる絵画など、多くの貴重な文化財が特別出品され、地中海の魅力にせまります。

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2013.09.15

モローとルオー 聖なるものの継承と変容

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この展覧会は、パナソニック汐留ミュージアムで9月7日〜12月10日まで開催されています。


子弟を超えた、魂の絆。
19世紀パリ、美しき師弟愛の物語。


見どころ
1、師モロー、弟子ルオー、世界初の二人展
2、来日する作品の半数以上が初公開
3、ギュスターヴ・モロー美術館長渾身の作品コレクション
(以上、チラシから)

アット、驚くような作品が展示されているわけではありません。
師モローと弟子ルオーの関係に焦点を当てた展覧会です、
「納得、”なっとく”そして新たな発見」があるかもしれませんよ。

モロー教室の優等生ルオーとモローの師弟関係を超えた絆は、生涯続きます。
自作展示のために自宅を美術館にしたモロー、その美術館の初代館長はルオーです。

この展覧会では、モローとルオーの往復書簡(1892〜1897、98)全22通の中の数点が紹介されていて、その絆の一端を垣間見ることが出来ます。

この美術館での過去の展覧会でもルオーの初期の作品は展示されていましたが、今回もかなりの絵画、習作が展示されていて、その卓越した技量が分かります。
所謂ルオーらしい作品?への変遷を考えたりもしました。
また、モローの油彩下絵(エボーシュ)が数点展示されていて興味を持ちました。
モローが強調した「色彩の開放」「美しい材質感」のエッセンスですね、ルオーの作品絵の投影を考えたりしました。

HPの紹介文です。

象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モロー(1826−1898)。国立美術学校の名教授としてマティス やマルケなど多くの画家を育てたモローが最も愛した生徒がいました。後に20世紀最大の 宗教画家と呼ばれるジョルジュ・ルオー(1871−1958)です。モローはルオーの才能を見抜き、 熱心に芸術上の助言を与えました。ルオーはマティエールや内的ヴィジョンへの感覚を師から 受け継ぎ、やがて自身の作品の中で我がものとしていきます。
「我が子ルオー」「偉大なる父」と彼らの往復書簡の中で呼び合う二人の間には、師弟を超えた 特別な絆がありました。モローは遺言によりルオーをモロー美術館初代館長に任命し、自分 亡き後も愛弟子を導き続けます。ルオーはモローへの感謝を生涯忘れることはなく、精神的な 父としてのその存在は彼の芸術と人生に深い影響を及ぼしたのです。
汐留ミュージアム開館10周年を記念する本展は、ギュスターヴ・モロー美術館館長監修により企画 され、パリに先駆けて開催される世界初の二人展です。モロー晩年の未公開作品やルオーの美術学校時代の作品など日本初公開を多く含む作品がフランスからやってきます。油彩画、素描、 書簡など約70点を通して、モローとルオーの芸術と心の交流の軌跡をたどる貴重な展覧会です。

展覧会の構成は以下の通りです。

・ギュスターヴ・モローのアトリエ
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ジョルジュ・ルオー 《トュリウスの家におけるコリオラヌス》 1894年

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ジョルジュ・ルオー 《夜の風景または作業場での乱闘》 1897年

・裸体表現

・ルオーとモローの往復書簡

・聖なる表現
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ジョルジュ・ルオー 《聖顔》 1993年


・マティエールと色彩

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ギュスターヴ・モロー 《パルクと死の天使》

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ジョルジュ・ルオー 《我らがジャンヌ》 1948-49年

・特別セクション 幻想と夢

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ギュスターヴ・モロー 《一角獣》 1885年頃 

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ギュスターヴ・モロー 《ヘラクレスとレルネのヒュドラ》 

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2013.09.07

フランシス・アリス展

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この展覧会は、2期に分けて東京都現代美術館で開催されています。
第1期 メキシコ編 4月6日~6月9日(既に終了しています
第2期 ジブラルタル海峡編 6月29日~9月8日(明日で終了です

第1期のメキシコ編は作品分量的にも多く、内容が多岐にわたっていました、2期の展示は点数的には少な目で1期を見た方には物足りなさをチョット感じるかもしれません。
1期の作品には、本人が頻繁に登場しますが、2期では、あまり登場しません。
作品に取り込む姿勢の変化なのかもしれません。

アートは社会においてどのような役割を担う事が出来るのか?
寓意に満ちた、あるいは、意表を突く表現で、我々にも社会に、政治に目を向けさせ、考えさせてくれます。


HPの紹介記事です。

砂塵を巻き上げる竜巻の中へカメラ片手に突入する。朝から晩まで、メキシコシティの街なかで巨大な氷を溶けるまで押し続ける。こうしたフランシス・アリスの行為は、一見すると無謀で滑稽なものに映るかもしれません。しかし、その一つ一つの行為は私たちが生きる社会の寓意として、決して見過ごすことのできない現実を浮かび上がらせます。
 メキシコ在住のアーティスト、フランシス・アリス(1959-)は、都市の中を歩きまわり、そこから見えてくる日常に潜む問題をとらえて、作家が街なかで行うアクションから数百人の参加者をともなった大規模なものまで、さまざまなプロジェクトを世界各地で行ってきました。そうした行為は、記録映像や写真、物語性をもった魅力的な絵画、ドローイング、ときにはポストカードまで、多様な形で展開していきます。
 アリス作品の多くは、作家が生活するメキシコの社会的、政治的問題を扱っていますが、詩的でウィットに富んだ表現によって、特定地域の問題さえも誰もが共有できるものにしてしまうその卓越した表現力は、国際的に高く評価されています。

本展は二期にわたって、初期作品から新作までアリス作品の全貌を明らかにするものです。第1期では、メキシコで行った約15のプロジェクトを、映像を中心に写真や絵画、彫刻を通して紹介し、作家のこれまでの表現活動を概観します。一方、第2期では、ジブラルタル海峡で行った大規模な新作プロジェクト《川に着く前に橋を渡るな》 に焦点をあてて、その記録映像、絵画、ドローイング、インスタレーション、彫刻、写真など約100点を発表します。

社会が大きな変化を迎えている今、アートは社会においてどのような役割を担うことができるか問われています。そうした中、寓意に満ちた物語の力によって現実と向き合うアリスの姿勢は、現実社会に対するアートの可能性をあらためて提示することになるでしょう。

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実践のパラドクス1 ときには、何にもならないことをする 1997年 メキシコシティ アクションの記録映像
メキシコシティの街中で巨大な氷を溶けてなくなるまで押し続けます。


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観光客 1994年 メキシコシティ アクションの記録写真

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愛国者たちの物語 1997年 ラファエル・オルティガとのコラボレーション アクションの記録映像

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眠る者たち 1999年現在 メキシコシティ スライド・プロジェクションン 

アフリカとヨーロッパを隔てるジブラルタル海峡、両岸から草履で作った船を持った子供達が、海に出て行きます。
相対するスクリーンにその様子が映されますが、結末はありません、思考に余白が残されます。
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川に着く前に橋を渡るな 2000年 ジブラルタル海峡

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無題 「川に着く前に橋を渡るな」の為の習作 

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無題 「川に着く前に橋を渡るな」の為の習作

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2013.09.04

アンドレアス・グルスキー展

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この展覧会は国立新美術館で9月16日まで開催されています。

グルスキーの作品は過去の展覧会にも単品で展示されたことも多く、この展覧会を見に行った方の中にも、
「あ〜この作品見たことある」と感じた方も多くおられたのではないでしょうか?

ドイツの写真家グルスキ-、日本初の個展です。
あらためて個展という形でみると、説得力が増しますね。

巨大な作品が多数展示されていて、迫力満点。
取材対象は多岐に渡ります。
カミオカンデ、ピョンヤンのマスゲーム、自動車レースのコックピット、証券取引所、99ドルショップ、バンコクの川面、極地航空写真等々、どれもこれもデジタル技術で加工された、魅力的な画面に圧倒されます。
作品を前にしたとたん、圧倒的な印象を受ける、これってとても重要な要素だと思います。
写真という概念を、また一つ大きく発展させてくれた、そんな展覧会です。
過去もっとも高く作品が売れた写真家だそうです。

HPの紹介文です。

ドイツの現代写真を代表する写真家、アンドレアス・グルスキー(1955年–)による日本初の個展を開催します。 ドイツ写真の伝統から出発したグルスキーは、デジタル化が進んだ現代社会に相応しい、すべてが等価に広がる独特の視覚世界を構築し、国際的な注目を集めてきました。

本展覧会には、1980年代の初期作品に始まり、《99セント》(1999年)、《ライン川II》(1999年)、《F1ピットストップIV》(2007年)、《ピョンヤンI》(2007年)、日本に取材した《東京証券取引所》(1990年)や《カミオカンデ》(2007年)といった代表作から、最新作《カタール》(2012年)にいたるまで、グルスキー自身が厳選した約65点の作品が一堂に会します。衛星からの画像を基にした「オーシャン」シリーズ(2010年)や、川面を写す「バンコク」シリーズ(2011年)など、その作品は近年ますますコンセプチュアルな様相を強めています。同時に、まるで抽象絵画のような写真は、写真を使った画家とも言えるグルスキーが開拓した新たな境地を伝えています。

展示会場は、初期から今日までを回顧する年代順ではなく、独自の方法にしたがって構成されます。 初期作品と新作、そして、大小さまざまな写真を並置する斬新な展示は、個々の写真を際立たせるとともに、展示室全体を一つの完璧な作品のようにも見せることでしょう。この比類のない展示により、グルスキーの写真世界の魅力を余すところなくご紹介します。


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アミオカンデ 2007年

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バンコク 2011年

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V&R 2011年

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ピョンヤン 2007年

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99Cent 1999年


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ライン川 1999年

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