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2013.06.01

牧野邦夫 ―写実の精髄―展

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この展覧会は練馬区立美術館で4月14日~6月2日まで開催されています。
明日までですね。

数年前に茅ヶ崎美術館の講演会で牧野邦夫を知りました。
牧野邦夫は茅ヶ崎美術館の開設に関わっています。
それ以来、何時か企画展覧会が開催されるといいなと思っていました。
今回、練馬美術館で大規模な回顧展が開催され、早速行ってきたのですが、今頃の投稿です。

会場にこんな言葉が展示されていました

絵を描く時、一番強い表現は写実だと思っています。写実とは大体ドラクロア以前の描き方の事を私は言っています。それが感動するのです。で、私はこの表現方法を学ぼうとしています。

レンブラントに憧れ、師に「一日12時間以上描かなければ歴史に残る画家にはなれない」と言われ、画壇の潮流に流されることなく写実を追求した牧野にとって、絵を描く事が生きることだった。

レンブラントが自画像を多く残したように、牧野も自画像を多作した。
そこには、やがて細密描写に幻想的なモチィーフが加わっていきます。

そして、レンブラントに30年遅れをとっていると思っていた牧野は50歳の時、未完の塔の制作に取り掛かる。
十年に一層づつ描き90歳で完成させるという・・・・・しかし61歳の時、病にたおれます。
キャンバスから突き出た先頭は石膏と油絵具で出来ているそうです。

展覧会の構成は以下の通りです。
Ⅰ自我の中の夢想 ―牧野レンブラントを目指す(1950~1965年)
Ⅱ滞欧以後の牧野 ―透徹した写実と幻想(1966から1975年)
Ⅲ官能と霊魂 ―精密描写は止まらない(1975~1986年)

HPの紹介記事

牧野邦夫(1925~86年)は、大正末に東京に生まれ、1948年に東京美術学校油画科を卒業しますが、戦後の激動期に次々に起こった美術界の新たな潮流に流されることなく、まして団体に属して名利を求めることなどからは遠く身を置いて、ひたすら自己の信ずる絵画世界を追求し続けた画家です。
高度な油彩の技術で、胸中に沸き起こる先鋭で濃密なイメージを描き続けた牧野の生涯は、描くという行為の根底に時代を超えて横たわる写実の問題と格闘する日々でした。レンブラントへの憧れを生涯持ち続けた牧野の視野には、一方で伊藤若冲や葛飾北斎、河鍋暁斎といった画人たちの系譜に連なるような、描くことへの強い執着が感じられます。また、北方ルネサンス的なリアリズムと日本の土俗性との葛藤という点では、岸田劉生の後継とも見られるでしょう。
生前に数年間隔で個展を開くだけだった牧野の知名度は決して高いものではありませんでしたが、それは牧野が名声を求めることよりも、自分が納得できる作品を遺すことに全力を傾注した結果でしょう。
本展は、1986年61歳で逝去した牧野の30余年にわたる画業から生み出された珠玉の作品約120点を紹介するものです。


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未完の塔

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海と戦さ 1975年

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武装する青年 1972年

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雑草と小鳥 1986年

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