源氏絵と伊勢絵 描かれた恋物語
この展覧会は出光美術館で4月6日~5月19日まで開催されています。
土佐光吉没後400年記念展です。
室町から安土桃山時代の絵師、土佐光吉は狩野山楽・永徳らから上洛を促されるが、終生堺に住み続け中世から近世に大和絵を橋渡しする役を果たした人物と言う事です 。
源氏物語絵は考えて見れば一年中と言っていいほど、どこかの美術館の企画展で展示されているような気がします。
なんとなく観続けてきましたが、この展覧会、私に新たな視点を提示してくれたような気がします。
「源氏物語」と「伊勢物語」の相関がとても興味深い展示です。
狩野派の作品との比較展示で、土佐派の作品の特徴がよくわかるようになってもいます。
土佐光吉と言う絵師の仕事と時代の空気が伝わってくる良い企画展です。
展覧会の構成は以下の通りです。
1貴公子の肖像 ―光源氏と在原業平
在原業平図 岩佐又兵衛 江戸時代
源氏物語 野々宮図 岩佐又兵衛 江戸時代
2源氏絵の恋の行方 ―土佐派と狩野派
3伊勢絵の展開 ―嵯峨本とその周辺
4物語絵の工作 ―土佐光吉の源氏絵と伊勢絵
源氏物語手鑑 須磨第1段 土佐光吉 慶長17年(1612)
HPの解説です。
2013年は、桃山時代に源氏絵をリードした絵師・土佐光吉(1539~1613)の没後400年にあたります。そこで、この展覧会では光吉とその時代の源氏絵を、源氏絵に近接する物語絵画、とりわけ伊勢絵との比較によってとらえなおします。
11世紀はじめに成立した『源氏物語』は、そこからほとんど時を経ずに絵画化されるようになったといわれます。成立からおよそ1千年を経過した今なお、金銀や極彩色によって飾られた王朝の恋模様は、多くの人々を魅了してやみません。
ところで、『源氏物語』が、登場人物の設定や各帖の内容において、先行するいくつかの文学作品に着想を得ていることはよく知られます。在原業平と目される「男」の一代記『伊勢物語』も、その重要な発想源のひとつでした。それぞれの物語の主人公・光源氏と業平は、互いに天皇の血を引く生い立ちや、知性と美貌をかねそなえるところを通わせるほかにも、ヒロインの立場や恋の顛末など、物語の筋にもよく似た部分がいくつも見られます。
今回は、テキストに認められる密接な関係をそれぞれの絵画にも当てはめ、光吉を中心とする17世紀の源氏絵と伊勢絵との間に、図様や表現を通わせている例を見出します。その上で、当時の公家たちの注釈理解などを手がかりに、このような交響の理由を探ります。
この展覧会は、これまで別々に展示されることの多かった源氏絵と伊勢絵を一望のもとにとらえ、それぞれの新鮮な見方を紹介するものです。
| 固定リンク
コメント