« 2013年4月 | トップページ | 2013年6月 »

2013.05.25

ラファエロ展

Photo

この展覧会は国立西洋美術館で3月2日~6月2日まで開催されています。
混雑が予想されたので開催直後に行ってきた展覧会です。
怪我をして手術をした後で、右手を三角巾でつっての鑑賞でした、そんなことも思い出になりそうです。

この展覧会で、私が特に良いなと思った作品は《大公の聖母》と《無口な女<ラ・ムータ>》です。
殆どの方々と同じかと思いますがいかがでしょうか?

そして、丁度、アッシジの聖フランチェスコ関連の本を数冊読んでいた時期でしたのでラファエロのフランチェスコ作品に出会えたのは幸運でした。
右脇腹の服が裂け、聖痕の一つが露出していますが両手足のそれは、見られません。
経年劣化か、不適切な修復の結果ではと、解説されていますが、想像が膨らみますね。
フランチェスコの肖像はは展覧会によく出展されていますが、比較してみるのも面白いですよね。

腰の荒縄はフランチェスコの象徴のようなものですが、その三つの結び目は清貧、貞潔、従順を示しているとの事です。
作家の塩野七生が「ルネッサンスとは何であったのか」でフランチェスコをルネッサンス人の一人しかもその最初のひとりであったという指摘をされています。
0002
ラファエロ・サンツィオ  アッシジの聖フランチェスコ 1504-1505年頃 油彩・板

展覧会の構成は以下の通りです。

画家への一歩
00015
ペルジーノ 聖ジェスティーナ  1495-1499年頃 テンペラ・板


フィレンツェのラファエロ ―レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロとの出会い
0003
ラファエロ・サンツィオ 大公の聖母 1505-1506年 油彩・板

フェルナンド三世は、この板絵をとりわけ大切にして、生涯にわたって自身の寝室に飾っていたとされる。
黒の背景は当初の背景の保存状態の悪さゆえに商品価値を上げるためになされたとされ、検証結果が詳しく解説されています。
聖母子の表情、穏やかな色彩の調和は本当に観あきることはありません。

00011
ラファエロ・サンツィオ  無口な女<ラ・ムータ  1507年 油彩・カンヴァス 
図録から

無口な女には実際、以前の作品には見られない顔貌表現が見られる。レオナルドのモナリザのように軽く斜めになった姿勢をとり、頭は鑑賞者の側に向けれる。右腕は胸の前を斜めに横切り、体の正面に作られた奥行きを強調している。レオナルドの影響は、両手のポーズで作られた微妙なバランスにも表れている。

00016
ラファエロ・サンツィオ  聖家族と仔羊 1507年 油彩・板

ローマのラファエロ ―教皇をとりこにした美
00013
ラファエロ・サンツィオ エゼキエルの幻想 1518年頃 油彩・板

00014
ラファエロ・サンツィオ  友人のいる自画像 1518-1519頃 油彩・カンヴァス


ラファエロの継承者たち
0004
ジュリオ・ロマーノ  聖家族 1512年頃 油彩・板


HPの紹介文

ルネサンスを代表する画家ラファエロ・サンツィオ(1483-1520年)。ルネサンス絵画を完成させ、後の画家たちの手本となったラファエロですが、作品の貴重さゆえに展覧会の開催はヨーロッパにおいてもきわめて難しいとされています。本展はヨーロッパ以外では初となる大規模なラファエロ展です。
本展にはペルジーノらの影響が色濃く残る修業時代の作品から、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロに触発されたフィレンツェにおける作品、そして1508年にローマへ上京し、教皇のもとで数々の大規模プロジェクトに携わった晩年の作品まで、20点以上のラファエロ作品が集結します。特に《大公の聖母》はラファエロの描いた数ある聖母子像の中でも、最も有名なもののひとつです。さらにラファエロの周辺で活動した画家たちや、彼の原画による版画、それを図案化した工芸品等に至るまでを合わせ、計約60点が会場に並びます。以後の美術表現に絶大な影響を与えた画家ラファエロの全貌を知る、絶好の機会となるでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013.05.21

フランシス・ベーコン展

Photo_2

この展覧会は東京国立近代美術館で3月8日~5月26日まで開催されています。

いよいよ、会期末が迫ってきました 、見逃さない方がいいと思いますよ。
私は、開始早々に行ってきたのですが、なかなか投稿できませんでした。


フランシス・ベーコンの作品は国内に5点しかないそうで、私は、横浜美術館と竹橋の近代美術館所蔵品を見ていて、ある種のインパクトを感じて記憶に残っていました。

ただそれだけで、まったく予備知識なしの状態で観に行きました。

下記に図録から引用しますが、このあたりをキーワードに、あまり予備知識を持たないで、先ず鑑賞し、その後、生い立ち、画法等を参考に再度見直すと面白いかもしれませんね。
勿論、展覧会場には拘りの解説もありますので参考になります。

抽象から出発しているように見えるかもしれないが、実際のところ関係が無い。具体的なものを、神経組織にたいして、より暴力的に、そしてより鋭くもたらそうという試みだ。

不随意性をもつ神経組織に対して、意味や言葉を介在させることなく、直接、暴力的に働き掛けるベーコンの作品・・・・

最終コーナーでは、ベーコンに影響を受けたクリエイターとして、ペーター・ヴェルツのインスタレーションと土方巽の舞踏公演の記録映像が展示されています、(関連資料の展示もあります)こちらは私の世代にとっては懐かしい。


展覧会の構成は以下の通りです。
Ⅰ 移りゆく身体 1940s-1950s

00015
人物像習作Ⅱ  1945-46年 


00012
スフィンクスの習作 1953年

00014
叫ぶ教皇の頭部のための習作   1969年

ベーコンは「独自のリアリティー」を生み出した「偉大なヒーロー」とファン・ゴッホを称えていたそうです。
Bekon
ファン・ゴッホの肖像の為の習作 1957年


Ⅱ 捧げられた身体 1960s

00013
ジョージ・ダイアの三習作  1969年

Ⅲ 物語らない身体 1970s - 1992

00011
三副対 1991年


Ⅳ エピローグ:ベーコンに基づく身体


HPの解説

アイルランドのダブリンに生まれたフランシス・ベーコン(1909-1992)は、ロンドンを拠点にして世界的に活躍した画家です。その人生が20世紀とほぼ重なるベーコンは、ピカソと並んで、20世紀を代表する画家と評されており、生誕100年となる2008年から2009年には、テート・ブリテン(英国)、プラド美術館(スペイン)、メトロポリタン美術館(アメリカ)という世界でも主要な美術館を回顧展が巡回しました。
主要作品の多くが美術館に収蔵されており、個人蔵の作品はオークションで非常に高値をつけているため、ベーコンは、展覧会を開催するのが最も難しいアーティストのひとりだと言われています。そうしたこともあってか、日本では、生前の1983年に東京国立近代美術館をはじめとする3館で回顧展が開催されて以来、30年間にわたり個展が開催されてきませんでした。
今回、没後20年となる時期に開催する本展は、ベーコンの「世界」を、代表作、大作を多く含むベーコン作品33点により紹介するものです。そのうち、ベーコンを象徴する作品のフォーマットである三幅対(トリプティック)も、大きなサイズが4点、小さなサイズが2点と多数含まれているので、実際にはもっと多く感じられることでしょう。
企画内容は完全に日本オリジナルで、単なる回顧展ではなく、ベーコンにとって最も重要だった「身体」に着目し、その表現方法の変遷を3章構成でたどろうとするテーマ展でもあります。また、ベーコンが「同時代」のアーティストに与えた影響を確認しようとするパートも、エピローグとして用意しています。
このように、日本はもとよりアジアでも没後初となるこのベーコン展は、さまざまな意味で画期的だと言えるでしょう。その趣旨に賛同する形で、日本に所蔵が確認されている5点はもちろん、テート、ニューヨーク近代美術館、ハーシュホン美術館(ワシントン)、ヴィクトリア国立美術館(オーストラリア)、ヤゲオ・ファウンデーション(台湾)など世界各地の重要なコレクションから作品が日本にやってきます。

00016
レインコートを着たフランシスコ・ベーコン  1976年頃

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013.05.18

源氏絵と伊勢絵  描かれた恋物語

Photo

この展覧会は出光美術館で4月6日~5月19日まで開催されています。

土佐光吉没後400年記念展です。

室町から安土桃山時代の絵師、土佐光吉は狩野山楽・永徳らから上洛を促されるが、終生堺に住み続け中世から近世に大和絵を橋渡しする役を果たした人物と言う事です 。

源氏物語絵は考えて見れば一年中と言っていいほど、どこかの美術館の企画展で展示されているような気がします。
なんとなく観続けてきましたが、この展覧会、私に新たな視点を提示してくれたような気がします。

「源氏物語」と「伊勢物語」の相関がとても興味深い展示です。

狩野派の作品との比較展示で、土佐派の作品の特徴がよくわかるようになってもいます。

土佐光吉と言う絵師の仕事と時代の空気が伝わってくる良い企画展です。


展覧会の構成は以下の通りです。
1貴公子の肖像 ―光源氏と在原業平
Ariwara
在原業平図 岩佐又兵衛 江戸時代

0001
源氏物語 野々宮図 岩佐又兵衛 江戸時代

2源氏絵の恋の行方 ―土佐派と狩野派
3伊勢絵の展開 ―嵯峨本とその周辺
4物語絵の工作 ―土佐光吉の源氏絵と伊勢絵
Mitu
源氏物語手鑑 須磨第1段 土佐光吉 慶長17年(1612)


HPの解説です。

2013年は、桃山時代に源氏絵をリードした絵師・土佐光吉(1539~1613)の没後400年にあたります。そこで、この展覧会では光吉とその時代の源氏絵を、源氏絵に近接する物語絵画、とりわけ伊勢絵との比較によってとらえなおします。
11世紀はじめに成立した『源氏物語』は、そこからほとんど時を経ずに絵画化されるようになったといわれます。成立からおよそ1千年を経過した今なお、金銀や極彩色によって飾られた王朝の恋模様は、多くの人々を魅了してやみません。
ところで、『源氏物語』が、登場人物の設定や各帖の内容において、先行するいくつかの文学作品に着想を得ていることはよく知られます。在原業平と目される「男」の一代記『伊勢物語』も、その重要な発想源のひとつでした。それぞれの物語の主人公・光源氏と業平は、互いに天皇の血を引く生い立ちや、知性と美貌をかねそなえるところを通わせるほかにも、ヒロインの立場や恋の顛末など、物語の筋にもよく似た部分がいくつも見られます。
今回は、テキストに認められる密接な関係をそれぞれの絵画にも当てはめ、光吉を中心とする17世紀の源氏絵と伊勢絵との間に、図様や表現を通わせている例を見出します。その上で、当時の公家たちの注釈理解などを手がかりに、このような交響の理由を探ります。
この展覧会は、これまで別々に展示されることの多かった源氏絵と伊勢絵を一望のもとにとらえ、それぞれの新鮮な見方を紹介するものです。


 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013.05.03

山口晃展 付り澱エンナーレ 老若男女ご覧あれ

Photo


この展覧気は横浜そごうで4月20日〜5月19日まで開催されています。

毎度お馴染み、超絶技巧で時空を超えたワンダーランドを描いた作品に加え、「山愚痴屋澱エンナーレ2013ついに横浜で開催」ということになっています。

会場内には、掲示板が設置されていて、感想を書いた付箋が貼られています。
「京都からきて満足」とか
「裏を見て」と書いてある付箋をはがすと「まだまだだな」なんて書いてあるのもありました。


それにしても、見ていていやになてしまうほど?絵が上手い、もうこれは単純に脅威ですよね。
単眼鏡で熱心に見ておられる方もいました、正解かもしれません。
なかにはCADで描いたと見間違えるような作品もあり、ちょっと微妙。
千躰佛造立乃図に始まり、当世おばか合戦、自由研究柱華道、東京図広尾‐六本木図、百貨店図三越など何度も見てきた作品も展示されています。
何度見ても飽きないですよね。

0001
Tokyo山水(東京図2012)部分 2012年

00011
携行y折畳式喫茶室  2002年

00012
厩図2004  2004年


挿絵の展示コーナーもあり、こちらも楽しいですよ。
00013
ドナルド・キーン作「私と20世紀のクロニクル挿絵より 2006年

「澱エンナーレ2013」は今一つかな〜
勿論楽しめますが・・・・

00021


00031


00041


私が行った日は「リヒターシステム」が調整中で係りの方3名が故障個所を調査中、半田付け箇所が外れていたみたいで、台車で移動、しばらくして戻ってきました。
その後は観客がスイッチONする度に工事現場のような騒音でした。

それにしても、休日の午後にしては空いていたのが意外でした。


HPの紹介文

山口晃は、浮世絵や大和絵をはじめ、西洋美術、漫画など、時代も分野も越えた様々なイメージをベースに、古今東西あらゆるモチーフを緻密な描写で巧みに再構築する作風で知られています。馬型のバイクにまたがる武士、宇宙船と化したリモコン、居住スペースの付いた電柱、古今の人々と事物が共存する都市景観。一見ユーモラスでありながら、現代の日本や美術が抱える矛盾と問題を鋭い眼差しで捉えた山口の作品は、国内外で人気を集めており、その繊細で芯の強い描画技術には定評があります。近年は小説の挿画やCDジャケット、パブリックアート、CMの原画を手がけるなど、ますます活躍の場を広げ、2012年秋には平等院の養林庵書院へ襖絵を奉納し話題となりました。
横浜初の個展となる本展覧会では、ドローイングや油絵、立体作品、挿画を一挙に展覧し、山口晃の多彩なる画業をご紹介します。さらに現代アート国際展の開催地である横浜にちなんで、<一人国際展>の最新作「山愚痴屋澱エンナーレ2013」を会場内に設けるほか、ドナルド・キーン作「私と20世紀のクロニクル」の挿画全点を特別展示する予定です。老若男女、誰しもを惹きつける作品の数々をこの機会にぜひご覧ください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年4月 | トップページ | 2013年6月 »