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2013.01.28

エル・グレコ展

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この展覧会は、東京都美術館で1月19日〜4月7日まで開催されています。

スペインから 世界から 待ちわびた 傑作が東京に。

一度見上げたら、忘れられない。

国内史上最大の回顧展 開催!

いずれもチラシのコピーです。


この表現、あながちオーバーとも言えません、私はとても良い展覧会だと思いました。

この美術館は、エレベータ-を二度乗りながら展示会場を見て回るので、あまり?どうかな?と思う展覧会だと何となくエレベーターで昇る時に気が重いのですが、この展覧会では、最後の展示コーナーにある「無原罪のお宿り」が楽しみで、何度も降りて、昇っての繰り返しでした。

没後400年を迎えるスペイン絵画の巨匠、エル・グレコの大回顧展です。 プラド美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館など、世界の名だたる美術館やトレドの教会群から油彩およびテンペラ画51点が集結。高さ3メートルを超える祭壇画の最高傑作の一つ《無原罪のお宿り》も初来日し、国内史上最大のエル・グレコ展となります。

展覧会の構成は以下の通りです。

Ⅰ-1 肖像画家エル・グレコ
ギリシャでイコンの画家としてスタートしたエル・グレコはイタリアに渡り、その地で活躍していた時代から、肖像画を得意としていた。そしてトレドにおいても、エル・グレコが評判を呼んだのは、まず肖像の分野においてでした。
このコーナーでは同時代人を描いた肖像画を特集しています。

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修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像 1611年 ボストン美術館 

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ディエゴ・デ・コパルービアスの肖像
左の作品
エルグレコ 1586-1600年頃

右の作品(参考出品)
サンチェス・コエーリョ、アロソン 1572-73年頃

エル・グレコの感情表現の巧みさを実証する目的で、並べて展示されています。(この画像は図録から)


Ⅰ-2 肖像画としての聖人像
十二使徒像連作など、聖書物語に登場する聖人を同時代人が肖像画を描かれるためにポーズをとったかのごとく描かれています。


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福音書記者聖ヨハネ 1607年頃 エル・グレコ美術館、トレド

このヨハネは今風で新鮮。

Ⅰ-3 見えるものと見えないもの
見えるもの(周囲の人々や諸聖人を生きた肖像として描く)と見えないもの(天上世界や内的幻視など架空の世界を目に見えるイメージを介して描く)を一画面に描くことで信仰の世界をうまく表現している。

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聖アンナのいる聖家族[メディナセリ侯爵家財団タペラ施設院、トレド、スペイン/1590-1595年頃]

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悔悛するマグダラのマリア [ブタペスト国立西洋美術館1576年頃 ]

Ⅱ クレタからイタリア、そしてスペインへ
キリスト物語で、とてもドラマチックな場面(羊飼いの礼拝、盲人を癒すキリスト、受胎告知、神殿から商人を追い払うキリスト)等が展示されているコーナー、見応えありです。
エル・グレコの宗教画、それは、当時のカトリック社会において最も求められた絵画のジャンルであると。

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盲人を癒すキリスト 1571-72頃 パルマ国立美術館


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受胎告知[ティッセン=ボルネミッサ美術館、マドリード/1576年頃]

Ⅲ トレドでの宗教画:説話と祈り
個人が祈りを捧げるための祈念画を紹介しています。
聖フランチェスコはよく描かれる主題ですね、これだけを集めた展覧会というのも面白いかもしれませんね。
オリーブ山のキリストはとてもいい作品ですね、西洋美術館の「ゲッセマネの祈り」でしたっけ、ついでに見てくるのもいいかもしれません。

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オリーブ山のキリスト 1605年頃 リール美術館

Ⅳ 近代芸術家エル・グレコの祭壇画:画家、建築家として
祭壇画として制作された作品群を中心にご紹介しています。
エル・グレコは、祭壇画を取り付ける衝立も自ら設計し、絵画、彫刻、建築が一体となった総合芸術を目指しました。

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無原罪のお宿り[サン・ニコラス教会聖堂(サンタクルス美術館寄託)、トレド、スペイン]1607-1613


この作品を観に行くだけでも価値ありですよ。
しゃがみこんで見ている方多いです。
「マリアは聖母アンナの体内に宿った時から原罪をのがれていた」という教義を 、まさに見えないものを幻視させてくれるような作品。
デフォルメされ躍動感あふれる画面からは、ある種感動を覚える。
散りばめられた寓意もじっくり鑑賞したい。

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