ルオー財団特別企画展 ジョルジュ・ルオー アイ・ラブ・サーカス展
この展覧会はパナソニック汐留ミュージアムで10月6日~12月16日まで開催されています。
サーカスをテーマにした作品は、ルオーが描いた絵画作品全体の3分の1を閉めるとも言われます。
サーカスをテーマにした作品の描きはじめから晩年の作品まで展示することによって、ルオー自身の人生、心のありようの変遷がよく分かる、そんな展示構成になっています。
周囲から散々な評価をうけたとされる初期の作品に描かれた人物は、自分を取り巻く社会への苛立ち、そして苦悩する自分自身の共感者なのかもしれません。
子供のころに垣間見た旅芸人の記憶とダブらせて・・・・・。
やがて、名声を得たルオーはサーカスのボックス席の常連となりサーカスをテーマにした作品を多産します。
晩年のレリーフのようなマチエール、そして配色の見事さはすばらしい、やはりこの時期の作品は見ていてほっとします。
印刷物では絶対に味わえない魅力ですよね。
3点並べられた、タペストリー用に描かれた大作《傷ついた道化師》《小さな家族》《踊り子》はこの展覧会の白眉かもしれません。
小さな家族 1932年 油彩
その他、ピエロを主人公にしたビデオ、名門劇場のビデオの放映もあって往時を偲び、二重に楽しめる企画展になっています。
この美術館で開催された過去のルオーの企画展の中でも、一番良いのでは、と私は思いました。
「私たちはみな、程度の差こそあれ道化師なのです」 ―ジュルジュ・ルオー
ビデオに登場するサーカス劇場のオーナーが言ってました。
「サーカスは、お祭りなんです。目をあけたまま見る夢なんです。」
展覧会の構成は以下の通りです。
第1幕 悲哀 -旅まわりのサーカス 1902-1910年代
第2幕 喝采 -舞台を一巡り 1929-1930年代
第3幕 記憶 -光の道化師
●パリのサーカス
●バル・タラバン
曲馬団の娘 1905年頃 油彩・グワッシュ・パステル
タバランにて(シャユ踊り) 1905年頃 油彩・パステル
小さな曲馬師 1925年頃 油彩
「自分の顔をつくらぬ者があろうか?」(『ミセーレ』第8図に基ずく類作) 制作年不詳 油彩
貴族的なピエロ 1941-1942年 油彩
青いピエロたち 1943年頃 油彩
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