もうひとつの川村清雄展 ―加島虎吉と青木藤作 二つのコレクション
この展覧会は目黒区美術館で10月20日~12月16日まで開催されています。
江戸東京博物館の展示は、大量の展示品で歴史における川村清雄の位置づけを試みていますが、目黒は支援者が収集した作品が展示されていて、異なった視点からの企画です。目黒の展示もとてもお薦めです。
江戸東京博物館で11月2日まで開催されている「維新の洋画家 ―川村清雄展」に合わせて開催されている展覧会です。川村清武の歴史的背景等についてはそちらをご参照ください。
以下は目黒美術館HPの解説の一部を引用しました。
「明治以降、海外で学び活躍した作家の初期の作品」を収集のテーマに取り上げている目黒区美術館では、川村清雄のフランス、イタリア時代(1876-1881)の貴重な素描5 点を開館後まもなく入手しています。そして幸運にも2004 年度に、川村の代表作で行方が分からなかった、屏風仕立ての「村上彦四郎」を含む大正時代から昭和にかけての作品33 点を、川村清雄とゆかりのあった加島虎吉ご遺族からご寄贈いただきました。当館では、このコレクションを翌年「川村清雄を知っていますか?」展として初公開し、小規模展ながらもいくつかの話題にも上りました。この展示から7 年経過した現在までに、川村の大型の作品がいくつも発見されるなどさらに川村研究も展開しています。
そうした中、今年の秋に江戸東京博物館(静岡県立美術館に巡回)では大規模な「川村清雄」展が開催されます。当館ではこれに合わせ「もうひとつの川村清雄展」を同時期に開催し、当館のコレクションに加え、さらに栃木県那珂川町馬頭広重美術館に収蔵されている、青木藤作が集めた川村作品もあわせてご紹介します。
江戸東京博物館が川村の全体像を総括することに対して、当館の展覧会では、目黒区美術館と那珂川町馬頭広重美術館の二つのコレクションに合わせ、さらに当館のコレクションが、出版業を営んでいた支援者加島虎吉の旧コレクションという意味から、川村がかかわった書籍や冊子の装丁デザインにも光をあてていきます。こうした当館ならではの展示により、江戸東京博物館とは違う視点からスポットを当て川村清雄の魅力に迫ります。
展覧会の構成は以下の通りです。
Ⅰ加島虎吉と川村清雄
加島コレクション:出版に関する取次業を営む加島虎吉と川村清雄の出会いから、加島が支援し入手した作品を紹介、また、至誠堂を創業し、出版に関わった虎吉を紹介、店のあった日本橋界隈の出版事情にも触れます。
「鸚鵡」 大正~昭和初期 油彩、板、朱漆塗 目黒区美術館蔵
「ベネチア風景」明治中頃~昭和初期 油彩、水彩絵具、板 目黒区美術館蔵
「梅に雀」 大正~昭和初期 油彩、板 目黒区美術館蔵
Ⅱ青木藤作と川村清雄
徳富蘇峰の引きあわせにより川村も青木藤作を知り、交友がはじまり、青木藤作 の元には、比較的晩年に近い時期のよい作品が集まっていきます。青木藤作のコレクションが寄贈されたことにより建設された栃木県那珂川町馬頭広重美術館には、こうした経緯から川村の作品が多数おさめられています。
「鳩図巻」 1928年頃 水彩、紙 那珂川町馬頭広重美術館蔵
Ⅲ川村清雄の装丁意匠
川村清雄は、おもに大正期になると、当時人気のあった『新小説』などの文芸雑誌の表紙のデザインを多く手がけ、はなやかなこうした冊子ともに、「大正名著文庫」などの地味な書籍だが、手の込んだ装丁にも力をふるいました。
「洗心廣録」 幸田露伴 大正15年(1926年) 至誠堂 個人蔵
Ⅳ滞欧作品その他
「幼児石膏習作」 明治6~14(1873~81年 コンテ、紙 目黒区美術館蔵
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