操上和美 時のポートレイト ノスタルジックになりかけた時間
この展覧会は東京都写真美術館で9月29日~12月2日まで開催されています。
広告写真界の鬼才といわれる操上和美(1936~)の展覧会です。
日産「フェアレディZ」、ソニー「ジャッカル」、サントリー「オールド」、ブリジストン「レグノ」、NTTデータ通信「ホーキング博士」等のCMは鮮明な記憶として残っています。井上陽水、笠智衆、ロバート・フランク、キース・リチャード、大江健三郎等のポートレートも手掛けています。
この展覧会では、1970年代から現在まで、自らの作品として撮りためてきた作品を展示し、操上和美と言う写真家の真髄に迫ろうとしています。
新聞記事の引用です。
写真はもう一つの時間であると。
と言う問に答えて
ええ。自分の肉体が持つ時間と引き換えに、写真と言う新たな時間を生み出している気がするんです。だから、いい写真を撮りたいというより、いい時間に触れたいという思いの方が強jくなってきたし、その瞬間が感じられなくなったら、僕はもう写真家ではないと思うんです。
シャッターを切る瞬間があるでしょう。それは、頭で考えているわけではないんです。被写体が放つ一瞬の輝きに体が反応し、反射的にシャッターを切っているんです。微妙な影の揺らめきやわずかな心の動き、あるいは激しく生きてきた体に刻まれたシワや傷に僕の何かが反応している。これまで撮った写真はほとんど、いつどこで撮影したかを覚えています。そのくらい写真を撮る瞬間は体に深く刻まれるんです。
展示構成は以下の通りです。
●シリーズ 「陽と骨 HITOHONE」
1970年代から撮り続けているシリーズ。日常をみつめる作家の鋭い感性を世に知らしめた代表作。モノクロ作品はすべてオモチャカメラで、カラー作品は35mmフィルムで撮影されている。
《無題》1981、ブラジル 発色現像方式印画
《夢を見る猫》1979、へブリティーズ諸島、スコットランド 発色現像方式印画
《氷河》1974、アラスカ、アメリカ ゼラチン・シルバー・プリント
《明日を見る家族》1974、ロサンゼルス ゼラチン・シルバー・プリント
●シリーズ 「NORTHERN」
1994年の実父の他界をきっかけに、作家の故郷である北海道への幾度かの旅をまとめたシリーズ。ロバート・フランクを伴った電車の旅や、父母への想いを辿る風景など、全編モノクロの作品は、日常や風景に垣間見える死生観を静かにとらえている。
《冬の庭》2012.1 富良野 ゼラチン・シルバー・プリント
《ノバスコシア》1992.6 ノバスコシア、カナダ ゼラチン・シルバー・プリント
《夏の庭》1999.6 北海道 ゼラチン・シルバー・プリント
《無題》2011.8 北海道 ゼラチン・シルバー・プリント
●『Diary 1970-2005』 2005年 エディション2/5
操上が日常的に撮りためたスナップショット数万点から357点を選び、コピー複写で制作したポートフォリオ。
●『陽と骨II』 2011年 エディション6/35
1970年から2011年までポラロイドカメラSX-70で撮影した作品をスキャンし、インクジェット・プリントで制作したポートフォリオ。全120点。
| 固定リンク
コメント