« 絵が歌い出すワンダーランド コドモノクニへようこそ | トップページ | 奈良美智:君や僕にちょっと似ている »

2012.08.11

中国山水画の20世紀―中国美術館名品選

0008


この展覧会は、東京国立博物館  本館特別5室で7月31日~8月26日まで開催されています。
総合文化展のチケット購入でこの展覧会も見られますよ。
15ページの立派なリーフレットも無料で配布されていました。


日中国交正常化正常化40周年、東京国立博物館140周年の記念展です。

中国の現代アートの作品展は最近よく開催されています。
中国憧憬という言い方がありますが、かつての日本は憧れの中国文化に長い間倣ってきました。
そして、中国の近代は、辛亥革命、新中国の成立、改革開放と大きな変革を経験しました。
その中で中国の画家達は、古典絵画の復興を志す一方、日本、欧米との接触の中で、新たな表現を模索してきました。
リーフレットの解説に「悠久の時を経た中国の伝統文化と現代中国のアートシーンとの結節点を示す名品」という表現がありますが、この視点での企画展、私にとってとても新鮮でした。
中国美術館(北京市)のコレクションの中から20世紀山水画の代表作50件を集めて展示しています。

展覧会の構成は以下の通りです。

1章 伝統の継承と発展
この章では中国の画家たちがいかに伝統絵画の表現を取り込んで創作をおこなっていたかを紹介しています。

0007
秋江雨渡図 陳少梅 1941年
日本の出版物「審美大観」掲載の明代作品を模写しています。
古画の研究は近代画家たちの絶えざる創作の源であり、日本の出版物の影響は大きかった。

0003
錦繍河山図 賀天健 1952年

青緑山水は唐代から存在していたが、賀天健は、この技法の復興こそが西洋の油画に匹敵するものだと考えていた。

2章 西洋画法との競合
この章では海外の美術に強い影響を受けた画家たちの作品を紹介しています。

0004
秋山雨後図 金城 1924年
水彩画を想起させる作品で、西洋画法の積極的受容が認められる。

Photo
水上魚鷹 林風眠 1961年

伝統的国画の「筆墨」の底辺とポスト印象派をはじめとする施用芸術思潮の融合がある。


0002
漁港雨色 高剣父 1935年

日本に留学し、竹内栖鳳、山元春挙ら京都画壇の影響を受けた。
 

3章 社会・生活への挑戦
新中国成立以後、画家たちの創作には多くの変化が生じます。伝統的な文人画から離れて、人民と社会の為に絵画を描く事が求められるようになり、画家たちは社会の変化に合わせた新しい山水画を模索していきます。あわせて、中国の伝統がいかに再解釈されていったかを紹介しています。

0005
黄河清 傅抱石   1960年

帝国美術学校(現・武蔵野美術大学)に学んだこともある画家。
三門峡の建築現場に取材した作品。


0006
護林 黎雄才 1959年

火災を防ぐ軍の活躍を描いた作品。
東京美術学校で学んだ画家のひとり。

0001
逍遥遊 呉冠中 1997年

殆どの方がポロックの作品を思い浮かべるかもしれませんね。
 

|

« 絵が歌い出すワンダーランド コドモノクニへようこそ | トップページ | 奈良美智:君や僕にちょっと似ている »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 中国山水画の20世紀―中国美術館名品選:

« 絵が歌い出すワンダーランド コドモノクニへようこそ | トップページ | 奈良美智:君や僕にちょっと似ている »