町田市立国際版画美術館開館25周年記念 版画の冒険―ミレー、ドガ、そしてムンクへ
この展覧会は4月14日から6月17日まで開催されています。
初日に行ってきました。
展示替えがあります。
版画の魅力を存分に楽しませてくれるとても良い展覧会です。
作者は表現における微妙なニュアンスにこだわています、矢張り印刷物では味わえない魅力は是非実物で。
気が早いような気もしますが、今年の展覧会ベストテンに入るかもしれないと....。
写真の登場や印刷技術が飛躍的に発展した19世紀後半のヨーロッパ、存続の大きな岐路に立たされた版画は、時代遅れの技術として消えていくのか、美術表現の一つとして自立するのか、生き残りを懸けてさまざまな挑戦が行われた。その中で、自由な発想で版画を制作した「画家にして版画家」であるミレーやピサロ、ドガやルドンらが美術表現としての版画の道を切り開き、新しい時代に適応していきます。
19世紀、版画は未来を賭けた冒険にのりだす。
出品作品は国内とフランスの機関が所蔵する優れた版画と、関連する油彩や水彩などを合わせた約200点です。
(チラシなどの解説を引用しています)
天覧会の構成は以下の通りです。
第I部 広めるための版画
1、19世紀の複製版画―ミレーを中心に
2、 優れた芸術をすべてての人に―出版者カダールの活動
第II部 美しい刷りへの挑戦
第III部 画家たちの実験。
エドガー・ドガ
カミーユ・ピサロ
ポール・ゴーギャン
オディロン・ロドン
エドヴァルド・ムンク
何回かに分けて投稿してみようと思います。
まずは、ドガとルドン。
ドガの版画の大きな特徴はステートの多さにある。だがステートごとに大きな違いはなく、場合によっては、以前のステートで加えた効果を再び元に戻したりもしている。『昼と夜』の計画を除けば、ドガの版画制作はあくまでも個人的な実験や楽しみという性格が強かった。気が済むまで版に手を加え、刷っても仕上がりを確認するだけなので、各ステートの刷り部数はごくわずかである。ピサロとも共通するこの特徴は技法の効果を試すとともに、対象の変化をステートを重ねて迫っていくためとも考えられ、実際にドガとピサロは異なるステートを並べた展示を行っている。(図録から引用しています)
自画像 1857年 エッチング、ドライポイント
浴槽の裸婦 1885年 木炭
ルーヴル美術館のメアリー・カサット、絵画ギャラリーにて 1879-80年
エッチィング、ソフトグランド・エッチング、アクアチント、ドライポイント
客待ち
原画 1876-77年 黒インクによるモノタイプにパステル
ルドンは印象派の画家として活躍したモネやルノワールと同世代にあたる。彼らが自然のなかで刻々と変わる光と色彩の表現に没頭していた頃、ルドンはフローベル、ボードレール、マラルメ、ポーなどの文学作品に源泉を求め初期には木炭画や版画などの「黒い」作品群に取りくんでいた。時代の趨勢とは一線を画し、黒一色による光と闇、影などの表現にとりつかれていたのであるが、やがて明るく華麗な色彩表現へと移行した。。(図録から引用しています)
沼に咲く花、悲しそうな人間の顔
『ゴヤ頌』1885年 リトグラフ
陰気な景色の中の狂人
『ゴヤ頌』1885年 リトグラフ
不思議な吟遊詩人
『ゴヤ頌』1885年 リトグラフ
光の横顔 1886年 リトグラフ
とらわれのペガサス 1889年 リトグラフ
ゆらめく光、無限に吊るされた永遠なるひとつの顔
『夢想』(わが友アルマン・クラヴォーのために) 1891年 リトグラフ
日の光
『夢想』(わが友アルマン・クラヴォーのために) 1891年 リトグラフ
ペガサスに乗るミューズ 1904-10年 油彩、カンヴァス
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