ユベール・ロベール―時間の庭―
この展覧会は上野の国立西洋美術館で3月6日~5月20日まで開催されています。
ポンペイやヘルクラネウムの遺跡発掘に沸いたいた18世紀、「廃墟のロベール」として名声を築いたフランスの風景画家ユベール・ロベール。
一方「国王の庭園デザイナー」の称号も持つ。
本展は、世界有数のロベール・コレクションを誇るヴァランス美術館が所蔵するサンギーヌ(赤チョーク)素描を中心に、油彩画・素描・版画など130点を展示。纏めての展示は日本初とのことです。
あくまでも素描中心です。
ところで、今回、この展覧会の展示リストが無かった。
私の見過ごしだったのだろうか?(HPには載っていますが)
常設展示室企画展のピラネージ『牢獄』展も忘れずに。
ピラネージ作品は以前から度々観ていて、その作品のスケール感は魅力です。
以下に展示構成を記します。
(本展パンフレットの解説を引用しています)
Ⅰ.イタリアと画家たち
ロベールは11年にわたりイタリアに滞在し研鑽を積み、その絵画語彙を育みます。
この章では理想的な風景画の範例を作り上げた17世紀の画家たちの作品を紹介し、更に初期のロベールが影響を受けたパニーニらによる、古代建築の廃墟やモニュメントを自由に組み合わせて描いた空想的な風景画、カプリッチョも紹介しています。
Ⅱ.古代ローマと教皇たちのローマ
制作年代を追いつつ、フォロ・ロマーノ周辺の古代遺跡の数々から、ローマ教皇が座す大聖堂の内外を描いた連作まで、ローマの名所旧跡ごとに初期のロベール作品をたどります。
セプティミウス・セウェルス門のヴァリエーション 1756年
Ⅲ.モティーフを求めて
ロベールにとって古代遺跡や教会建築ばかりでなく、郊外の半ば見捨てられていたヴィラの庭園も重要なモティーフとなった。ローマに集まった画家フラゴナール、アンゴの作品も展示されています。
ティヴォリの滝 1776年
Ⅳ.フランスの情景
イタリア滞在を終えて帰国したロベールは王立絵画彫刻アカデミーへの入会を許され、サロンでも成功を収める。この章では順風満帆な画家の道を歩み始めたパリでの暮らしの情景を伝える作品が紹介されている。
サン=ドニ教会建築を描いた作品は革命前のフランスの風景を今に伝えてくれる。
サン=ドニ教会の内部 1770‐74年
Ⅴ.奇想の風景
古代の存在が日常生活の中に溶け込んでいたイタリア時代の思い出は、さまざまな古代遺物を自在に組み合わせた奇想の風景を生み出し、「廃墟のロベール」の名を世に知らしめて行く。
凱旋橋 1782‐73年
Ⅵ.庭園からアルカディアへ
庭園デザインの世界でもロベールは才能を発揮し、庭園史に名を残す。そして自らが関わった庭園の眺めをしばしば 絵筆で描き出し、庭に作り上げた「絵のような」趣のの眺めを再び絵の中の理想郷へと変貌させている。
ヴェルサイユのアポロンの水浴の木立 1803年
アルカディアの牧人たち 1789年
廃墟の中の水飲み場 1774年
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