難波田史男の15年展
この展覧会は、東京オペラシティーアートギャラりーで1月14日~3月25日まで開催されています。
何年か前に、世田谷美術館の常設展示室で特集していて、強く印象に残っていました。
難波田史男は抽象絵画家、龍起の、次男として生まれ、高校時代は音楽に親しむことが多かったようですが、やがて文学に傾倒し、高校を卒業するころには学問にむなしさを感じ画家への道を選択します。文化学院美術科に通いますが石膏デッサン等の授業に関心が持てず、神田で古本屋巡りやスケッチをして過ごします。そして文化学院を中退、この時期、池田満寿夫に銅版画制作の指導を受けています。24歳の時に早稲田の美術専攻科入学し束の間の学園生活を楽しみますが、学園紛争の高まりのなかで学生同士の対立の間で苦悩します。はじめての個展を開催し、その後孤独のなかで制作を続けますが、兄との旅行中フェリーから転落し帰らぬ人となてしまいます。32歳という若さでした。
本展に展示されている作品の中では、矢張り初期のころの作品が良いですね、好きです。
線描に勢いがあるし、色彩も個性的で、描くことへの旺盛な意欲を感じます。
個展を開いた頃から、逆に内面の発散から収束へ向かってしまったようで、総じて重い作品になってきたような気がします。
2000点近い作品を遺した難波田史男、この展覧会でも多数の作品が展示されています。じっくり観ていると結構な時間を要します、私は前期の作品が好きですが、いやいや後半の作品が良いといわれる方もおられるでしょうね。
展覧会の構成は以下の通りです。
(画像はチラシからです、もっと良い作品が沢山あったのに、と私は思っています)
1、たたかいの日々 思春期 ─ アドレッセンスのころ
《ニコライ堂》1960年 油彩、段ボール
2.無意識の深みから 初期のドローイング
《彩色画7》1963年 水彩、インク、紙
3.コスモスへの旅
《無題》1961年 インク、紙
4.線と色彩の融合
5.失われた太陽
《太陽の賛歌》1967年 水彩、インク、紙
6.色彩の深まり
《円のある風景》1971年 水彩、インク、紙
7.幾何学と生命の表現
《無題》1970年 水彩、インク、紙
8.自己と他者の物語
《少女と秋》1972年 水彩、インク、紙
9.生と死の彼方へ
銅版画集『ある日の幻想』より
これが結構良かったですよ。
資料展示
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