松井冬子展 世界のなかの子と友達になれる
この展覧会は2011年12月17日から2012年3月18日まで横浜美術館で開催されています。
この展覧会の副題<世界中の子と友達になれる>は藝大の卒業制作だそうですが、自らこう解説しています
この絵の題名とした「世界中の子と友達になれる」という絶対的に実現不可能な狂気のイデアを私は幼児期に確信したことを記憶している。誇大妄想に等しい全能的思い込みではあるが、今でも私の心的窮状を鎮める呪文、琴線を震わす言葉としてあてはめた。
以前から、単品で作品自体は何度も見ていて、直ぐに名前を覚えてしまうほどの個性を感じていました。
先ずは、洋画から日本画に転身して研鑽を積んできた、その描くことの、表現することの力量は素直に、この天覧会で数多くの作品を纏めて鑑賞して、あらためて感心してしまいました。
「女、メス、リアリティーのあるものしか描きません」と松井さんは言います。
展覧会の構成からみて分かるように、死、狂気、に連なる人間の痛みを描き続けています。
「痛みは孤独な感覚で、他人には伝わらない。でも(絵という)視角から得られる情報で、その痛みを共有できたら」とも語っています。
その作品に描きこまれた素材は、人体の内臓であったり、咲き誇り、やがて朽ち果てていく花々であったり、体にまとわりつく蛆であったりします。その表現の方法は、また、作品に付けられた哲学的?タイトルには少々馴染めないものを感じたのも確かです。
作品そのものが、相当雄弁なのに加えて、更に、多くの作品に自らの解説が添えられています。
若い写真家の展覧会なんかによく見られる、解説のその難解さ、を思い浮かべてしまいました。
観る人の年齢差、性差による、作品に対する感性の違いも結構あるかもしれない、そんな感じもしました。
この画家の作品世界が、これからどんな展開していくのかとても楽しみです。
展覧会の構成は以下の通りです。
第1章 受動と自殺
<盲犬図>2005年
第2章 幽霊
<夜盲症>2005年
第3章 世界中の子と友達になれる
<世界の子と友達になれる>2002年
第4章 部位
第5章 腑分
第6章 鏡面
<この疾患を治癒させつために破壊する>2004年
第7章 九相図
<浄相の持続>2004年
第8章 ナルシズム
<終極にある異体の散在>2007年
第9章 彼方
<喪の寄り道>2010年
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コメント
美輪さん、コメントを頂き有難うございます。
矢張り行かれたのですね。
私も以前から数点ずつは観ていましたが、これだけの作品を纏めて観たのは初めてです。画力は抜群ですよね。
チョット解説の難解さには閉口しましたが・・・
『世界中の子と友達になれる』が私も一番好きです。
とても充実した展覧会で楽しかったですよね。
横浜は楽しめるスポットが沢山ありますね、時間を見つけて散策するのも良いと思いますよ。
投稿: 美輪さんへ | 2012.03.31 07:47
会期ギリギリで、やっぱりどうしても観たくて行ってきました。初めて実物を観ることが出来てその緻密さと繊細さ、そして描き込みに驚きました。私の一番好きな作品はタイトルにもなっている『世界中の子友達になれる』と子牛(←字が出て来なくて、この字でごめんなさい)世界中~は作品もさることながらそのコンセプトもとても好きでした。図録も買い、横浜もほんの少しだけフラフラ出来て楽しい一日でした。
投稿: 美輪 | 2012.03.31 02:04
美輪さんコメントを頂き有難うございます。
>是非行きたいと思っていますが、ちょっと遠くて行けるかどうか‥‥。
そうですよね、確かに遠いかもしれませんね。
去年、青森美術館日帰りってやりましたけど、矢張り考えてしまいますよね。いい展覧会ですけど、またの機会に、という事もあると思うので、無理していかなくても。
投稿: 美輪さんへ | 2012.02.16 09:19
是非行きたいと思っていますが、ちょっと遠くて行けるかどうか‥‥。好きだから観たいんですけどね。
投稿: 美輪 | 2012.02.14 17:53