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2012.01.07

フェルメールからのラブレター展

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この展覧会は渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで2011年12月23日~2012年3月14日まで開催されています。

展覧会のコンセプトは「コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ」です。
恋文を主題にしたフェルメールの作品3点と共に、17世紀のオランダにおけるコミュニケーションの様々なあり方を紹介するというものです。

展覧会の構成は以下の通りです。

1、人々のやりとり--しぐさ、視線、表情
2、家族のきずな、家族の空間
3、職業上の、あるいは学術的コミュニケーション

さて、私は展覧会場に入って、いきなりフェルメールの3作品が展示されているコーナーに直行しました。幸いなことにこの日は空いていて、ひとつの作品に4,5人程度の鑑賞者でした。単眼鏡を使いながら最前線でじっくり鑑賞してきました。大作(大きな作品)は無いですから、混んでいると楽しい気持ちも半減ですよね。

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ヨハネス・フェルメール〈手紙を書く女》 1665年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー

「テーブルに置かれた真珠の首飾りや、背後の壁に掛けられた楽器のある静物画は、ともに手紙が恋文であることを示している」そうです。
真珠の輝き、女性を照らすやわらかい光、その表情、アーミン毛皮で縁取りされた柔らかな黄色いモーニング・コートの質感はフェルメールの魅力そのものですね。

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ヨハネス・フェルメール〈手紙を読む青衣の女》 1663-64年頃 アムステルダム国立美術館

こちらは、修復完了後、世界初の展覧会出展とのことです。
会場では、スライド放映とパネルで修復について解説しています。
天然のウルトラマリンを使って描いた上着と椅子のカバーの美しい青色が再現されています。
手紙を読む女がそこにはいない恋人の言葉に夢中になっている静かな瞬間を捉えています。
壁に掛けられているのはオランダの地図で、人影のいない椅子とともに愛する人の不在をほのめかしています。

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ヨハネス・フェルメール〈手紙を書く女と召使》1665年頃 アイルランド・ナショナル・ギャラリー、ダブリン

一心不乱に手紙を書いている女性と口をあけて窓の外に視線を向け、心ここにあらずという風情の召使が好対照ですね。床にはしわくちゃの手紙や封印用の蜜蝋が落ちていて、いかにも女性の激情を思わせます。それにしてもカーテンを透過した光の、そして壁面にあたる柔らかい光の表現は魅力があります。背後の壁に描かれた絵は《モーセの発見》で、この物語は、人間の心を鎮めるためのメタファーと解釈されたとのことです。

この展覧会では、フェルメールの3点が主役なのでしょうが、展覧会の構成そのものが物語性を持っていて、ある時代のオランダの風俗を描きこんだ画家の意図が上手く纏められています。作品のレベルの高さも含めてとても楽しめる、お勧めの展覧会です。

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ヘラルド・テル・ボルフ《眠る兵士とワインを飲む女》 1660年頃 個人蔵

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ヤン・ステーン《生徒にお仕置きをする教師》 1663~65頃 アイルランド・ナショナル・ギャラリー、ダブリン


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フェルディナント・ボル《本を持つ男》 1644年 個人蔵

視点を変えてみると、これだけワンちゃんが描きこまれた作品が多い展覧会も珍しいのではないかと思いましたが・・・・展示作品約40点のうち10点ほどあっと思います。
象徴的ですよね。
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トマス・ウェイク《宿屋の室内》 1660年頃 オランダ文化遺産庁


以上、展覧会図録の解説を参考にしています。

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