生誕110年記念 荻須高徳展 ~憧れのパリ、煌きのベネチア~
この展覧会は2011年12月27日から2012年1月16日まで日本橋三越本店7階ギャラリーで開催されています。
東京美術学校を卒業後、25歳で渡仏。第二次世界大戦の一時期を除いて、84歳で亡くなるまでパリに住み、パリで最も成功した画家の一人ともいわれる荻須高徳の作品90点で、生涯の画業をたどります。
佐伯祐夫妻との関係から云々する向きもあるようですが、以下荻須の残した言葉から・・・・
パリの下町を描いたのは、そこでは裸の生活がのぞけたからです。(略)家の中の生活が、いわば道にまであふれ出て街自体が生活の場でした。
私の描く壁のある風景には人間がさほど登場しない。(略)だが人間がいない建造物を描いたからといって、人間がそこに存在しないのではない。壁、そこに人間がしみでているのだ。(略)私が好んで描くのは人間の体臭が色濃く現れている壁だ。
霧のたなびく不透明な日本の風景は私を感動させない。透明な空気の中に現れる色彩豊かな土とまったくみずからをかまわないフランスの田舎が私には美しいのである。
パリの灰色の家並みと夏の緑の対照よりは、グレーと黒の冬の調子がもっとも好きなので、私の絵には冬景色が多い。枯れ木の枝をいっきに描きまくるときなどは、まさによろこびである。
戦後の一時期、抽象画家にあらざれば画家にあらずという風潮の中で、そこから学びとることは必要だが、自分を見失ってはいけないというようなことも後輩には語っていた、と。
展覧会の構成は次の通りです。
・PARIS
・VENEZIA
・PORTRAIT NATURE MORTE
パリ《広告のある街角》1937年
パリ《果物屋》1930年
ベネチア《リオ・デ・レ・ベカリエ》1935年
ベネチア《サン・マルコ広場》1935年
《青い着物の美代子》1959年
《黄色い壺のリラ》1976年
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