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2011.12.16

長谷川等伯と狩野派展

Itoutira

この展覧会は10月29日~12月18日まで丸の内の出光美術館で開催されています。
会期末が近づいてきましたね、等伯と狩野派についてはよく語られてきましたが、真正面から取り上げた展覧会って意外と少なかったような気もします。
所蔵品のみの展示でこれだけの展覧会を開けるって流石ですよね。
結構混んでいますので、そのつもりで出かけた方がいいと思います。
矢張り狩野派、等伯というと人気があるんですね。

狩野派は始祖の正信(1434~1530)が室町幕府の御用絵師となって以来次代の元信が強固な流派体制を築き画壇の一大勢力となっていきました。そしてあの迫力満点の巨木表現で桃山時代の画壇に君臨していた永徳(1543~90)率いる狩野派、そこに能登国七尾(現石川県七尾市)の地方絵師長谷川等伯が上洛、規模は小さいながら、確実に実力をつけて狩野派に、警戒心を持たせるまでになっていきます。

この展覧会では、
Ⅰ章で狩野派全盛と題して狩野松栄、永徳親子、長信等々の作品を展示。
Ⅱ章では能阿弥、牧谿等長谷川派が手本にした画家の作品と等伯、狩野探幽等の作品を展示してその系譜を分かりやすい解説と共に見せてくれます。
Ⅲ章では、狩野派、長谷川派が互いに競う中で、その作風を学び合い夫々の作品へと昇華させていく中での均質性と異質性を比較検討しています。
最後のⅣ章では、大和絵への傾倒と題して柳橋水車図、扇面屏風を展示し解説しています。

牧谿に学んだ大気表現、長谷川等伯の作品全般を特徴づけていますよね、等伯の作品はもちろん素晴らしいのですが、展示されている牧谿2点そして玉澗の1点、小品ですがこちらも素晴らしいですよね。

チラシに使われている「竹虎図屏風」の探幽紙中極の謎鑑定書き、竹虎図屏風の一双は周文の真筆である云々は祖父永徳とのライバル関係にあった長谷川等伯への感情が如実に表出されていて面白いですよね。
そしてコラムの「長谷川派と狩野派の確執 ―対屋事件」なんかも・・・・

過去にこの美術館で観てきた作品でも、このようなまとめ方で見せてくれると分かりやすくて楽しいですね。

Taketuruhi
竹鶴図屏風左隻(六曲一双) 長谷川等伯 桃山時代 


Torazuhi
竹虎図屏風左隻(六曲一双) 長谷川等伯 桃山時代 


Torazumi
竹虎図屏風右隻(六曲一双) 長谷川等伯 桃山時代 

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