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2011.11.24

南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎

Nannbann

この展覧会はサントリー美術館で10月26日から12月4日まで開催されています。
開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」も第四回という事で記念展としては最後になります。
見ごたえのある天覧会が続きましたよね。
国立新美術館のモダンアート・アメリカンと同じ日に行った展覧会。

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泰西王侯騎馬図屏風 四曲一隻 神戸市立博物館 桃山時代(17世紀)

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泰西王侯騎馬図屏風  四曲一隻 サントリー美術館 桃山時代(17世紀)

神戸市立博物館のいざ闘わんとする図とサントリー美術館の馬上に佇む図17世紀に日本人が描いた?堂々たる屏風、一緒に並ぶのは今後ないのかもしれませんね。(神戸市立博物館巡回)


展覧会のタイトルに光と影、謎とあります。
16世紀半ばから17世紀初頭にかけて、ポルトガルやスペインからいわゆる南蛮船が来航し、西欧の地や、中継の港で荷積みされた貴重な文物を日本にもたらします。また南蛮船に乗船した宣教師がキリスト教を日本に伝え、いわゆる南蛮美術や文化が花開きました。
信長、秀吉、家康での治世下、受容から鎖国へとリシタンや南蛮人をとりまく環境は変化していきます。
神戸市立博物館とサントリー美術館が分蔵する泰西王侯騎馬図屏風が展示され焦点が当てられた展覧会ですが、歴史の中での位置づけを十分に意識した重みのある展覧会になっています。
画面の光学調査を実施し、その調査結果も展示解説されています。
遠近法、グラデーションによる陰影表現に見られる西洋画の影響、そして絵の具の種類等々から描いたのはイエズス会の神学校であるセミナリオにおいてキリスト教とともに西洋画法を学んだ日本人の絵師と推定されています。
しかし、何のために描かれたのか、位置づけ等の謎はまだまだ残ります。
狩野派の描いた南蛮屏風の変遷、キリシタンにまつわる品々、十字架、踏み絵、書見台、螺鈿工芸品、聖人像、殉教図等々により、当時の南蛮人、隠れキリシタン、為政者の光と影に思いを馳せる、ある意味重たい展覧会です。キリシタンに興味をお持ちの方にもお薦めです。

展示構成は以下の通り。
第1章 遥かなる西洋との出会い
第2章 聖画の到来
第3章 キリシタンと輸出漆器
第4章 泰西王侯騎馬図の誕生と初期洋風画
第5章 キリシタン弾圧
第6章 キリシタン時代の終焉と洋風画の変貌
第7章 南蛮趣味の絵画と工芸


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聖フランシスコ・ザビエル像 江戸時代(17世紀)

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四都図・世界図屏風 八曲一双 江戸時代(17世紀) 左隻

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四都図・世界図屏風 八曲一双 江戸時代(17世紀) 右隻

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南蛮屏風 六曲一双  右隻  桃山時代(17世紀)

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南蛮屏風 六曲一双  右隻  桃山時代(17世紀)

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花鳥螺鈿蒔絵聖龕(聖母子像)桃山時代(16~17世紀)


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