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2011.11.29

アルプスの画家 セガンティー二 -光と山-

この展覧会は11月23日~12月27日まで損保ジャパン東郷青児美術館で開催されています。
東日本大震災で延期になっていた展覧会です(各地を巡回してようやくやってきました)

セガンティーニは、滞在していた山で急死します、41歳の若さでした。
伝記作家ゼルフェースは、彼の死の瞬間を感動的に記しています。

しかし、天候が再び回復し、大気がほのかに光、きらめき、またたき、輝いて、明るい昼を予告したとき病人は山への憧れに熱くつつまれた。
「我が山を見たい!」と祈るように語り、小さな窓のそばのベッドに寝かせてもらったセガンティーニは、向かい合う山並をじっと眺めていた。それは最後まで彼が描こうとしていた山並みであった」

ジョヴァンニ・セガンティーニ(1858-99年)は、アルプスの風景を描いた画家として知られ、イタリア、スイスを代表する画家のひとりでもあります。
イタリアで生まれ不遇な少年時代を過ごした彼は画家を志し、17歳でブレラ美術学校に入学します。初期はフランスの画家ミレーが描いたような明暗法で農民生活などをテーマにしていました。
フランスで、スーラが点描画を発表したその時期、28歳のセガンティー二は、より明るい光を求めスイス・アルプスへと向かいます。
やがて彼は、分割技法(ディビジョニスム)によって、アルプス山々の風景、空気と光を明晰に描くようになります。
そして晩年は、象徴主義の傾向を示すような作品を描きます。

分割技法(ディビジョニスム)の作品における効果を確認してみるのも楽しいですし、イタリア時代の作品もなかなかですよ。
約60点の展示ですからゆっくり鑑賞したいですよね。
「キャンパスに、アルプスの光と空気を閉じ込める画家」という表現がありましたが、その絵から、家族への、そして共に生きる動物たちへの愛情も伝わります。
参考資料として自筆手紙等の展示もあります。

Ⅰ、ミラノとブリアンツァ:初期

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羊たちへの祝福 1884年頃

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白いガチョウ 1886年頃


Ⅱ、肖像画

Ⅲ、サヴォニン:山の光 1886年

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わがモデルたち 1890年

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アルプスの真昼 1892年

Ⅳ、マロヤ:アルプスの象徴主義

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虚栄 1897年

Ⅴ、自画像

Ⅵ、シャーフベルクでの死、マロヤでの埋葬

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二人の母たち (ジョヴァンニ・セガンティーニ/ジョヴァンニ・ジャコメッティー)  1899-1900年

おまけ
まあ、このようなところでアルプスの画家の作品鑑賞というのも何とも。
拙blogで何度も同じような映像を投稿したような気もしますし、更に手ぶれが烈しいですけどよろしければご覧を。

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2011.11.26

江戸切子 -日本のカットガラスの美と伝統-

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この展覧会は10月8日~11月27日まで町田市立博物館で開催されています。
明日までですね。
江戸切子の展覧会ってあったようななかったような・・・・・

ヨーロッパ、15世紀ヴェネチアがガラス製造の中心であった、「クリスタッロ」無色透明ガラスが発明されその技術は秘密とされた。しかし、模倣したガラス製品がボヘミヤ、そしてイギリスでも作られるようになった。日本ではデザインはイギリス・アイルランドのカットガラスを手本に、ガラス製造は中国伝来の技法を取り入れて作られるようになった。

以下はHP解説の引用です。
 

ヨーロッパからもたらされたカットガラスを手本として、日本で切子が作られるようになったのは、江戸時代後期の天保5年(1834)頃のこととされています。当時の切子制作は、金属製の棒状工具などに金剛砂を水でつけ、手動でガラスを削って行われていたと考えられています。明治に入ると、ヨーロッパから技術者エマニエル・ホープトマンが招かれ、日本にも回転工具によるカットの技法が伝えられます。ホープトマンの弟子の中からは、その後の日本の切子産業を支える職人たちが育っていきました。
 大正・昭和の時代になると、技術革新や産業構造の変化にともないカットガラスの生産は一段と拡大します。昭和前期には、アール・デコ様式を思わせるモダンなデザインの色被せカットガラスの食器類が人気を博すようになりました。
 「江戸切子」は、昭和60年(1985)に東京都伝統工芸品として指定され、また平成14年(2002)には国の伝統工芸品に指定されました。現在でも、ホープトマンの流れを汲む職人たちが、江東区を中心に、伝統と革新の間で魅力的な製品を作り続けています。
 本展覧会では、江戸時代から現代にいたる日本の切子とその源流にあたるヨーロッパのカットガラス約250点に加え、現代の切子の工具もあわせてご紹介します。カットガラスの技と美を、この機会にどうぞご堪能下さい。

サントリー美術館で「あこがれのヴェネチアン・グラス 時を超え、海を越えて」というタイトルで大規模な展覧会が行われましたが、良い展覧会でしたよね。こちらの展覧会は、こじんまりとですが、粋な感じの江戸切子が素晴らしいです。
サントリー美術館からの出展も数点ありました。
図録が完売になっていましたが・・・・・・あまり刷らなかったのかな?

構成は以下の通りです。
Ⅰ江戸から明治へ;日本の切子の黎明期
Ⅱヨーロッパのカットガラス
Ⅲ大正・昭和のカットガラス
Ⅳ現代の江戸切子

現代の江戸切子の製造工程、製造に使われる工具・用具の展示もあります。


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岡本一太郎  切子緑被鉢


Suda
須田富雄   花緑籠目二魚子文パンチボール

Tumbler

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2011.11.24

南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎

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この展覧会はサントリー美術館で10月26日から12月4日まで開催されています。
開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」も第四回という事で記念展としては最後になります。
見ごたえのある天覧会が続きましたよね。
国立新美術館のモダンアート・アメリカンと同じ日に行った展覧会。

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泰西王侯騎馬図屏風 四曲一隻 神戸市立博物館 桃山時代(17世紀)

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泰西王侯騎馬図屏風  四曲一隻 サントリー美術館 桃山時代(17世紀)

神戸市立博物館のいざ闘わんとする図とサントリー美術館の馬上に佇む図17世紀に日本人が描いた?堂々たる屏風、一緒に並ぶのは今後ないのかもしれませんね。(神戸市立博物館巡回)


展覧会のタイトルに光と影、謎とあります。
16世紀半ばから17世紀初頭にかけて、ポルトガルやスペインからいわゆる南蛮船が来航し、西欧の地や、中継の港で荷積みされた貴重な文物を日本にもたらします。また南蛮船に乗船した宣教師がキリスト教を日本に伝え、いわゆる南蛮美術や文化が花開きました。
信長、秀吉、家康での治世下、受容から鎖国へとリシタンや南蛮人をとりまく環境は変化していきます。
神戸市立博物館とサントリー美術館が分蔵する泰西王侯騎馬図屏風が展示され焦点が当てられた展覧会ですが、歴史の中での位置づけを十分に意識した重みのある展覧会になっています。
画面の光学調査を実施し、その調査結果も展示解説されています。
遠近法、グラデーションによる陰影表現に見られる西洋画の影響、そして絵の具の種類等々から描いたのはイエズス会の神学校であるセミナリオにおいてキリスト教とともに西洋画法を学んだ日本人の絵師と推定されています。
しかし、何のために描かれたのか、位置づけ等の謎はまだまだ残ります。
狩野派の描いた南蛮屏風の変遷、キリシタンにまつわる品々、十字架、踏み絵、書見台、螺鈿工芸品、聖人像、殉教図等々により、当時の南蛮人、隠れキリシタン、為政者の光と影に思いを馳せる、ある意味重たい展覧会です。キリシタンに興味をお持ちの方にもお薦めです。

展示構成は以下の通り。
第1章 遥かなる西洋との出会い
第2章 聖画の到来
第3章 キリシタンと輸出漆器
第4章 泰西王侯騎馬図の誕生と初期洋風画
第5章 キリシタン弾圧
第6章 キリシタン時代の終焉と洋風画の変貌
第7章 南蛮趣味の絵画と工芸


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聖フランシスコ・ザビエル像 江戸時代(17世紀)

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四都図・世界図屏風 八曲一双 江戸時代(17世紀) 左隻

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四都図・世界図屏風 八曲一双 江戸時代(17世紀) 右隻

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南蛮屏風 六曲一双  右隻  桃山時代(17世紀)

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南蛮屏風 六曲一双  右隻  桃山時代(17世紀)

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花鳥螺鈿蒔絵聖龕(聖母子像)桃山時代(16~17世紀)


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2011.11.23

モダン・アート,アメリカン展-珠玉のフィリップス・コレクション-

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この展覧会は国立新美術館で9月28日から12月12日まで開催されています。

投稿が遅くなってしまいました。
始まって直ぐ行ってきたのですがが、驚いたのはその観客の少なさです、その後、数週間後に再訪した時にはそこそこの入りでした。残りの会期が数週間になりましたが今はどんな状況なんでしょうか。

チラシのコピーはホッパーが描いた都会の憂愁、オキーフが描いた自然の官能と・・・・・

オキーフの写真はこちらにありますユーサフ・カーシュが撮ったジョージア・オキーフ
マネやルノワールら印象派をはじめとする西欧絵画の大規模なコレクションを誇る一方、アメリカ人画家の作品を積極的に購入し、同時代の若い芸術家を支援したフィリップス・コレクション から110点の作品を集め、19世紀後半からアメリカン・モダニズムの時代を経て、ポロック、ロスコに代表される戦後のアメリカ絵画隆盛期にいたるアメリカ美術の軌跡をたどります。 

展示されている作品の作者の中で知っていたのはポロック、オキーフ、ロスコ、フランシス、ホイッスラーぐらいですかね、他の作家の方は殆んど知りません。
という事もあって、かえって新鮮。
ヨーロッパ近代絵画の影響ととアメリカの個性とが絡み合って、とても面白いと思いました。
そして、底流にあるアメリカ社会の変遷も感じながら。
画像はチラシから。

第1章 ロマン主義とリアリズム
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《平和な王国》 エドワード・ヒックス 1845-46 年

第2章 印象派
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《パッリア橋》 モーリス・プレンダーガスト 1898-99年

第3章 自然の力
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《ウィーホーケン連作、No.30》 ジョン・マリン 1916年頃

第4章 自然と抽象
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《ランチョス教会、No.2、ニューメキシコ》 ジョージア・オキーフ 1929年

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《赤い太陽》 アーサー・G.ダヴ 1935年

第5章 近代生活
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《日曜日》 エドワード・ホッパー  1926年


第6章 都市
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《冬の6時》 ジョン・スローン 1912年

第7章 記憶とアイデンティティー
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《大移動》シリーズ、パネル No.3 ジェイコブ・ローレンス 1940-1941年


第8章 キュビズムの遺産
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《卵泡立て器、No.4》 スチュアート・デイヴィス 1928年

第9章 抽象表現への道
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《コンポジション》 ジャクソン・ポロック 1939-41年頃
エド・ハリス拘りの映画ポロック二人だけのアトリエも良い映画でした。
第10章 抽象表現主義
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《キャニオン》 ヘレン・フランケンサーラー1965年

  
  

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2011.11.20

川合玉堂展-描かれた日本の原風景-

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この展覧会は10月22日から11月23日まで神奈川県立近代美術館葉山で開催されています。

川合玉堂は円山四条派と狩野はを融合し、日本画壇において新たな境地を開拓したとされています。
私のイメージとしては、懐かしい日本の原風景に点在する人々の生活を描いたその作風です。
この展覧会は、川合玉堂にこんな作品もあったのかと思わせる作品も含めて、画業全般を概観できるとても良い展覧会です。残りわずかな日程になりましたが、時間が許す方は是非行かれると良いと思いますよ。 

第一章 「山水画」の時代(~明治30年代)

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桜花小禽 1890年

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鵜飼 1895年

このような作品に出会えるとは思いませんでした。


第二章 「風景画」の時代(明治40年代~昭和前期)
山水画から風景画への転換期、玉堂も近代的「風景画」の確立を目指して・・・・・

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ニ日月 1907年
水墨のぼかしとグラデーション、霞の中の人影、詩情に溢れたこの作品にくぎずけ。

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鵜飼 1931年
鵜飼は、沢山描いています、比較してみるのも面白いですよね。

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行く春 1916年 六曲一双屏風
長瀞に取材した絵画です。川浪、岩盤、散る桜。近づいて、少し離れてじっくり楽しみました。

第三章 「情景画」の時代(昭和後期)
戦時中奥多摩御獄に疎開、戦後も都内の自宅に戻らず、御獄の自然の中で創作活動を続けました。
この展覧会でも、その生活ぶりが放映されています。
私も、数十年前御獄の玉堂美術館へは行ったことがあります。
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春光 1948年
このような作品も好きです。

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月天心 1954年

御獄山にレンゲショウマの花が咲く頃、玉堂美術館を再訪してみようかと思ったりしながら観てきました。

おまけ
美術館の庭からの眺望。富士山見えますか・・・

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2011.11.18

池大雅―中国へのあこがれ

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この展覧会は11月20日までニューオオタニ美術館で開催されています。
開館20周年記念展 第4弾です。
第3弾 北斎とリヴィエール 三十六景の競演もとても良い展覧会でしたよね。

《洞庭赤壁図巻》(重要文化財)修理後初披露です。
会場内には修理作業過程のスライドが放映されていました。

京都銀座役人の下役の子として生まれ父を早くに亡くし経済的には困難の中 、7歳から本格的に唐様の書を学び始め、習い始めたばかりの頃、萬福寺で書を披露し、その出来栄えに僧たちから「神童」と絶賛されたといいます。
まー天才児ですね。
書を読むこと、旅をすることが文人画を志す者にとって重要な理念とした大雅は江戸から日光、松島、奥州までの旅、北陸地方や紀州への旅と共に富士山や白山に登るなど沢山の景色に接し、雄大な光景を体感しています。
鎖国の中、中国へのあこがれ、そして文人画家の理想「詩書画三絶」の実現を標榜した池大雅の作品約13点でその画業を概観します。
雄大な景色の中に描き込まれた人物を探してみるのも楽しいですよ。
指墨水墨画(指や爪に墨を付けて描いた)なども面白い。
描かれたこのような雄大な景色の中で静かに生活してみたいなんて・・・・・

構成は以下の通りです。
「若き日の試み」
「禅僧との交流」
「文人生活への憧れ」
「大雅の詩書画三絶」
「中国の名景を描く」

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《洞庭赤壁図巻》 1771年
書に、この作品が続きます。実際はもう少しくすんだ感じです。

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《雲林清暁図》 1758年

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2011.11.15

鎌倉海蔵寺201109

古い話で恐縮ですが・・・・

この日(九月下旬)は大船に用事があったので早目に家を出で、鎌倉に寄り道、鏑木清方記念美術館に行って、それでも時間の余裕があったので「今どんな花が咲いているのかな~」と、海蔵寺へ。鎌倉へ行くと必ずと言っていいほど寄ってみる花の寺です。手入れのいきとどいた庭と、こじんまりとした佇まいが好きです。
今年も残り一ヶ月半。
正月の賑やかな鎌倉も良いものですが、師走に年明けの準備をする街の風情も良いものです。
年末の晴れた日に鎌倉を歩くのも楽しいものです。
この日はイチデジは持っていかなかったので、写真はあまりとりませんでした
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鏑木清方記念美術館

臨済宗建長寺派 扇谷山海蔵寺
もと真言宗の寺跡であるこの地に、1253年六代将軍宗尊親王の命により藤原仲能が七堂伽藍を再建したが、1333年の鎌倉幕府滅亡時に焼失
1394年、鎌倉公方足利氏満の命により上杉氏定が心昭空外(源翁禅師)を開山に招いて再建
1577年に臨済宗建長寺に属した。
江戸時代に建てられた茅葺きの庫裡(くり)は、鎌倉の寺院の庫裡建築の代表で歴史的価値が高い。

山門脇に鎌倉十井のひとつ「底脱の井」、薬師堂裏に「十六の井」がある
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底脱の井
秋田城介安達泰盛(陸奥太守平泰盛[1231-85])の娘で北條顕時(金沢;1248-1301)の千代能(無著如大)が夫の死後に無学祖元(仏光国師[1226-86])に師事し修行中にここへ水を汲みに来た時に水桶の底がすっぽり抜け、

千代能が いただく桶の 底ぬけて 水たまらねば 月もやどらじ

と歌ったのが井戸の名の由来。



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2011.11.14

中国書画精華(前期)東博本館特別1室企画展示

引き続き東博です。
東博に行く時は何時も特別展と総合文化展で2日連続です、それでも観あきません。
流石に連続3日間通うのは無理。
中国書画展は、現在改装中の東洋館でよく企画されていた展覧会で私もよく通いました。
中国憧憬という言葉が頭に浮かぶのですが、絵画・書を観ていると大陸的な懐の深さを感じます。
前期では絵画は宗・元の名画、書跡は宗・元時代から明・清時代の書の流れを代表する作品が展示されていました。(前期の展示は11月13日で終了しています)

後期日程は以下で、明清名画の展示です。
2011年11月15日(火) ~ 2011年12月11日(日)

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2011.11.13

法然と親鸞 ゆかりの名宝展

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法然上人八百回忌・親鸞聖人七百五十回忌に際して、東京国立博物館で10月25日~12月4日まで開催されています。

人気の東博企画展ですから、この企画展も混んでいました。
どうしても、書の展示コーナーと音声解説のマークがある所は渋滞になります。
午前中の第一会場は、何時も通り列に並んで牛歩での鑑賞になります。
私は、いつも第Ⅱ会場から鑑賞、合間を見て第Ⅰ会場です。

さて、第一会場入り口は二河白道図を模した構成で左右に色分けされた真ん中に細い白線が引かれ、正面には浄土を表した図が掲げられています。そして会場を一巡すると、閉めは第二会場の最終コーナーに展示されている早来迎図(国宝 阿弥陀二十五菩薩来迎図)です。(早来迎図は前期のみの展示ですから見逃すと残念かも)

平安末期から鎌倉時代という時代背景、浄土三部経、法然、親鸞の生涯、この辺の予備知識があるとさらに興味が増しますし、その辺がこの会場でもある程度で理解できるような展示にもなっています。(私はその辺りの知識に関しては自信ありませんが)
東博の今までの企画展で見られた超メジャー級の仏像が展示されていた展覧会をイメージして観に行くとがっかりするかもしれませんが、立派な仏像も勿論展示されています。
法然上人、親鸞聖人の肖像、書、著作、言行録、絵伝等の展示品を鑑賞することで今まで、おぼろげにイメージしてきた教えが更に身近に感じることが出来ます。
親鸞聖人影像(鏡御影)、教行信証(坂東本)観無量寿経註(親鸞筆)、法然上人行状絵図、阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎図)当麻曼荼羅縁起他の国宝、重要文化財90点を含む180点の展示です。
ちなみに、遠い昔学生時代に真継伸彦の著書「親鸞」「教行信証」を読んだのがまともに読み始めた端緒というと世代が分かってしまうかもしれません。


展覧会の構成は以下の通りです。
第一章 人と思想
第二章 伝記絵にみる生涯
第三章 法然と親鸞をめぐる人々
第四章 信仰のひろがり

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二河白道図 兵庫・香雪美術館


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阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎図) 京都知恩院


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法然上人像(隆信御影)京都知恩院

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親鸞聖人影像(熊皮御影) 奈良国立博物館

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教行信証(坂東本)第二冊顕浄土真実信文類序(別序) 東本願寺

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選択本願念仏集 冊首 京都慮山寺

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阿弥陀如来立像 奈良 興福寺

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錦織寺絵伝 滋賀錦織寺 


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2011.11.10

根付 高円宮コレクション(東博)


根付とか香合とかの収集家も結構おられますよね、見るだけでも楽しい物です。
東京国立博物館で本館で11月1日(火) ~ 2011年12月25日まで展示されています。
東博に行ったらご覧になるのも良いかと・・・・総合文化展(以前は常設展と)にも根付のコーナーはありますね。

東博HPから引用。 

高円宮殿下が妃殿下とともに蒐集された、現代根付を展示します。現代根付には象牙や黄楊などの伝統的な素材の他にさまざまな材料が用いられており、一つ一つに斬新な創意と工夫が凝らされています。主だった作家や素材を網羅する殿下のコレクションを公開し、現代根付の多様なすがたを紹介します。

「展示された根付の温かみ優しさやユーモアを通して宮様のお人柄を偲んでいただければ嬉しく存じます」久子さまがお言葉を寄せています。

50点の展示です。

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2011.11.08

東博秋の庭園開放2011

平成館では「法然と親鸞ゆかりの名宝展」が10月25日から12月4日まで開催されています。
この企画展も充実していて楽しめます。
そして毎年恒例の春・秋庭園開放、今年の秋は10月29から12月11日まで行われます。

展覧会鑑賞でチョット疲れたら、庭に出て休憩するのも楽しいものです。陽射しがあると有難い季節になりましたが。


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売店は毎回出店されてましたっけ?

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皆さん売店で買った飲み物をもってのんびり。

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紅葉はまだまだ。

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2011.11.06

版画でつくる 驚異の部屋にようこそ!展

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町田市立国際版画美術館で10月8日~11月23日まで開催されています。

2009年に同館で同じテーマで開催された展覧会の拡大版です。
この展覧会はいくら観ても観あきないほど面白いですよ。
荒俣宏さんがビデオメッセージを寄せています(休憩室で放映)
ブンダーカマ-(ルネサンス期からバロック期にかけて王侯や富裕な市民が珍しいものの収集に熱を入れ部屋に陳列していた)それは、やがてヨーロッパの博物館、美術館に繋がっていくんですね。
この展覧会の最初に展示されているのがナポリの薬種商で博物学者でもあったフエッランテ・インペラートの陳列室を描いた版画です。
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インペラート 『博物宝典』より「陳列室」 1599年 木版

残念ながら当時「驚異の部屋」は残されていません、当時を伝える版画はまさに記録マシーンであった。
「いい意味での知の見世物小屋」
私も、何かびっくりするものがあるのではないかと期待に胸ふくらませて、時間の都合をつけては、せっせと美術館、博物館に通っているわけです。
植物学、動物誌、建築、人体解剖学、地誌、科学、エジプト誌の博物編、考古編(ナポレオンがエジプトに遠征した時の調査成果を纏めたもの)、暗喩的な作品、所謂学術書でありながら、ユーモアたっぷりだったり、美術書としても立派に通用する作品だったり、チョト気持ち悪くなる人もいるかもしれないかな?なんて作品もあります。
子供の骸骨がハンカチで顔を拭いてるなんて場面も・・・・・まー上手く説明できませんが、以下の展示会の構成、画像を見て想像してください。
ルーペを覗きながら丹念に観て回ると結構な時間をとられてしまいます。
好奇心旺盛にして観に行かないと、何これ?で終わってしまうかもしれませんが。 

展覧会の構成は次の通り。
第Ⅰ部 版画でつくる驚異の部屋
 Ⅰ-1 驚異の部屋への誘い
 Ⅰ-2 驚異の人、キルヒャーの世界
 Ⅰ-3 異郷への旅、時空を超えて
第Ⅱ部 かつて驚異の版画があった
 Ⅱ-1 版画が描く自然
 Ⅱ-2 怪物の系譜
 Ⅱ-3 装飾デザインの中の怪物たち
 Ⅱ-4 踊る骸骨インペラート

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セバ「植物宝典」より「やもり類」 1734年刊

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キルヒャー「光と影の大技術」 1671年刊


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《眼鏡絵「シナ広東の凱旋門」》 18世紀末

Kyoui0001toubu
ゴーティエ・ダゴティ「頭部の解剖図集」 1748年刊

Kyoui0001jinntai
アルビヌス「人体の筋肉と骨格の構造」 1749年刊

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ヨンストン「動物図譜」1660年刊


下記にHP解説から一部を引用させて頂きます。
 

はるか昔、珍しいもの、不思議なものをたくさん集めて一堂に並べたい!そんな欲求を抱いた人々がいました。その飽くなき好奇心を満たすべく作られた部屋が「驚異の部屋」。珍しい動物の剥製や貝殻、鉱物や植物から宝石や美術品まで、あらゆるものを競うように集めたその陳列室は博物館や美術館の始まりでもありました。本展では15~18世紀にヨーロッパで流行したこの「驚異の部屋」の精神にならい、その雰囲気を版画で構築します。もちろん版画だけで往時の「驚異の部屋」が作り出せるわけではありません。その代わり、版画の世界の広さ、奥深さを垣間見せてくれる変り種を多く展示します。解剖図や動物図譜などの自然の驚異、怪異な空想の生き物など、あっと驚くような版画や書籍約200点が大集合します。

常設展では「チベット密教版画 その未知なる世界」を開催中

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2011.11.05

生誕100年記念 瑛九展

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この展覧会は埼玉県立近代美術館とうらわ美術館の共催で、9月10日~11月6日まで開催されています。

瑛九というとこの作品、というイメージがなかなか浮かんでこなかったのですが、この展覧会でしっかり確認できました。
主催者の気持ちのこもったとても良い展覧会です。

瑛九(本名・杉田秀夫)は眼科医の次男として生まれ文化的にも恵まれた環境に育ちます。14歳で東京の美術学校に入り、19歳で写真学校にも通います。
14歳で描いた「秋の日曜日」という油彩画が展示されていますが、その横には「赤い帽子」という竹下夢二の影響がもろに反映したような作品もあります。
瑛九は絵画の勉強をしながら10代のころから美術評論や写真評論を発表するかたわら、フォトグラムの制作を始めます。そして、印画紙に光で描くデッサンという意味でフォトデッサンと定義した作品を発表します。この頃から瑛九という名前を使い始めます。マン・レイ、モホイ=ナジのフォトグラム作品も参考展示されています。
やがて28歳頃からもう一度印象派からやり直すと言って油彩画に取り組みますが、その後の作風のめまぐるしい変遷は観ていて驚くばかりです。「誰からも影響されない精神の自由」といったように、時代の潮流に敏感に反応しながらも自分のオリジナリティーへと昇華させていく精神はその作品の素晴らしさに現れています。
印象派→フォービズム→キュビズム→シュルレアリズム→抽象そして、あの微細な色の点で心の風景を描く作品に辿りつきます。
迷った時期には、水墨画を描き、8年間にわたり独学で習得した多量の版画作品も残しています。
フォトグラム、フロッタージュ、オートマティズム、エアブラシ、油彩、ガラス絵、版画、水墨画、夫々の表現方法で同じテーマが繰り返し描かれたりもします。
若き日のエスペラントとしてのエピソードも含め瑛九大全集の趣、観ることが出来て大収穫の一日でした。

次のような事も言っています。
「長谷川三郎の作品が一番よくわかる」
三岸好太郎に対し「芸術上の親身をしみじみと感じる」
「古賀春江は好きな作家だ」
「クレーの詩情を楽しむ」

展示構成は以下の通りです。
Topic 1   文筆家・杉田秀夫から瑛九へ――――うらわ美術館
Topic 2  エスペラントと共に――――――――埼玉県立近代美術館
Topic 3  絵筆に託して―――――――――――うらわ美術館
Topic 4  日本回帰―――――――――――――うらわ美術館
Topic 5  思想と組織 ―――――――――――埼玉県立近代美術館
Topic 6   転位するイメージ―――――――――埼玉県立近代美術館
Topic 7   啓蒙と普及――――――――――――うらわ美術館
Topic 8   点へ・・・――――――――――――埼玉県立近代美術館

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『眠りの理由』より フォト・デッサン 1936年  

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海 油彩 1911~1960年 

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空の目 油彩 1957年

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旅人 リトグラフ 1957年

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つばさ 油彩 1959年

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2011.11.03

生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌 

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10月10日から11月13日まで千葉市立美術館で開催されています。

約一カ月の短めな展示期間に膨大な展示品を三期に分けて入れ替え展示されています。
何とも贅沢な展覧会、我が家から如何にも遠いのが難点。
先月行ってきたのですが、意外と混雑はありませんでした、これからは分かりませんが。

これほど大規模に総括的に酒井抱一を見せてくれる展覧会は私は初めて観ました。
まさに、見逃せない展覧会の一つです。

展覧会公式図録兼書籍も好評のようで、わが町の大型書店の美術書コーナーに平積みされてましたが、残り後一冊になったので、これは大変、と思って購入しました。

藩士の家に生まれ、遊興し、出家した奔放な貴公子が花咲かせた美の世界。
育った環境から、絵師になるため家督を譲っての出家、吉原での遊興、花魁の身請け、浮世絵から琳派への傾倒、そして江戸琳派としての再興、鈴木基一に代表される弟子たちの仕事そして、その琳派遺伝子の継承まで見せてくれます。
是非、空いている日(無いかも?)を狙って「十二ヶ月花鳥図」の前に座ってゆっくり時間を過ごしてみてください。
右に1、2月の二幅、正面に3~10月、左に11、12月の二幅です。抱一は2幅1対で構図の工夫等をしています、そのあたりを意識しての展示構成です。可愛い鳥、昆虫を見つけるのも良いし、どの作品が好き・・・なんて思いながら。
書き出すときりがないほど、良い作品が展示されて困ってしまうのですが、もう一つ仏画のコーナーがとても良かったと思います。
最上の絵の具と金泥をぜいたくに使って描かれた作品、そしてファンも多いと思いますが白蓮図、死と新たな生命を思わせる作品に出家した抱一をあらためて認識させてくれます、ここにも金泥が、さーどこでしょう?
お馴染み、風神雷神図屏風、夏秋草図屏風の展示もあります。展示期間が短い作品も多数ありますので、くれぐれも、HP等で展示替えスケジュールを確認してからお出かけくださいね。
光琳と抱一の八橋図の描法の違いを考えてみるなんていうのも楽しいかも・・・・

展覧会の構成は以下の通りです。
一章 姫路酒井家と抱一
二章 浮世絵制作と狂歌
三章 琳派画風への傾倒
四章 江戸琳派の確立
五章 工芸意匠の展開
六章 江戸文化の中の抱一
七章 雨華庵抱一の仏画制作
八章 鈴木其一とその周辺
九章 江戸琳派の水脈

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酒井抱一 「松風村雨図」

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酒井抱一 「桜に小禽図」

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酒井抱一下絵 原羊遊斎作 「四季草花螺鈿蒔絵茶箱」


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酒井抱一 「十二ヶ月花鳥図」
十月の柿の絵が好き

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酒井抱一 「十二ヶ月花鳥図」
九月(右)、十月(左)  

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酒井抱一 「青面金剛図」

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酒井抱一 「白蓮図」

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鈴木基一「夏秋渓流図屏風」

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2011.11.01

現代アートの国際展 ヨコハマトリエンナーレ2011

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8月6日から11月6日まで開催されたいます。
会期終了まで数日という事で・・・・

企画主旨の抜粋です。

今回のタイトルは「世界をどこまで知ることが出来るか?」の問のもと、世界や日常の不思議、魔法のような力、更には超自然現象や神話などに言及し、国内外で活躍する現代美術家の作品をはじめ、横浜美術館の所蔵品なども織り込んだダイナミックな企画を展開します。

各種開催されのイベントには参加しなかったので何とも言えないのですが、今回は作品全体が随分大人しめの感じがしました。横浜美術館会場は雑然とした感じで、何時もの館内イメージからしてどうも落ち着かない。日本郵船海岸倉庫会場は、何時もの感じ。いつものことですが、膨大な作品が展示されていて一日で見切ることはできません。更に今年は開館時間が11時から18時ですからなおさらです。以前には何日か通ってみてきましたが、今年は一日だけでもいいかも・・・ざっくりと観てきましたが興味のある方は会場で撮ってきた写真でもご覧ください。(撮りたい作品のなかでも多くは撮影禁止でしたので、残念ですが)

ヨコトリ2011横浜美術館会場写真
ヨコトリ2011日本郵船海岸通倉庫会場写真

展覧順序順不同です(むしろ逆順)
映像作品が多数ありますので会場の雰囲気は、うまく伝わらないかもしれませんが。

おまけ

日本郵船海岸通倉庫裏から

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