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2011.08.29

日本画どうぶつえん (山種美術館夏休み企画)

Nihonnga

この展覧会は、9月11日まで開催されています(前・後期で展示替えがありました)
最近、美術館で学生の団体、親子連れをよく見かけます、良いことですよね。
子供の夏休みも、残りわずかになってきました、宿題に追われて大変ですかね?
息抜きに親子でというのも良いかもしれませんね。

何れの作品も一度ならずとも拝見した作品ですが、こういう括りで企画されると此れも楽しいものです。
動物の愛おしさ、自然の優しさを感じながら涼しい館内で.....我が家にいる(我が家にいた)ねこ、犬、鳥、金魚熱帯魚を思い出したり、自然にどっぷり漬かりたいと思ったり。

展示構成は以下の通りです。
第1章 動物園 ~愛しきものたち~
第2章 鳥類園 ~翼をもつものたち~
第3章 水族園 ~水の中のいきものたち~
第4章 昆虫園 ~小さきものたち~

Nihonnga_0001madara
竹内栖鳳 斑猫
この作品は、前期のみの展示でした。

Nihonnga_0002kokeineko
小林古径 猫
古径は、最も好きな日本画家の一人ですが、この作品にも絵に対する古径の真摯な姿勢が...

Nihonnga_0003ayu
福田平八郎 鮎

Nihonnga_0004honou
速水御舟 炎舞
「もう一度描けと言われても、二度と描けない色」と御舟は述べています。

Nihonnga_0005fukurou
山口華楊 木精

 

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2011.08.25

レオ・ルビンファイン 傷ついた街

Rubinnfain
この展覧会は、東京国立近代美術館ギャラリー4で10月23日まで開催されています。
常設展入場で見られます。

9.11アメリカ同時多発テロ事件が起こった、数日前に世界貿易センタービルからわずか2ブロックしか離れていない新居に引っ越したばかりのl写真家レオ・ルビンファインは、この事件を間近で体験しました。渦中にいた彼はニューヨークの一連の事態そのものにはカメラを向けなかったが、9.11テロ事件の与えた心理的な傷を世界各地の都市で街をいきかうひとの顔を撮るをとることで見つめようとしました。

リーフレットにある写真集「傷ついた街」からの引用をを以下に

「しかしどの顔も、一心に見つめれば、何かに属した存在などではない。世界に一人しか存在しない「彼」か「彼女」なのだ。そして、彼または彼女ならではの重さの悲しみも、美も、醜さも、知恵も持っているはずだ。もしそれが見えれば、本当に見えれば、限りなく小さいけれども、けっして消えることのない大切な真実、宝石のよいな真実を得ることが出来るかもしれない・・・・・・」

ストリートスナップがただ吊り下げれれているだけの写真展です、直接的に何かを訴えてはきません、多分。
写し撮られた世界各地の都市で行きかう人々の表情に何を思うかは鑑賞者夫々の経験、今現在の立ち位置によるのかもしれません。東京サリン事件、3.11大震災、さらに遡って....我々は私は何を学んで、何を忘れてしまったのか?少しの時間立ち止まって考えてみよう、そんな思いにさせてくれる展覧会です。

以下の画像はリーフレットからです。
Rubinnfain1
マドリッド 2004年、ベラスケス通り スペイン

Rubinnfain2
イスタンブール 2004年、タクシム広場 トルコ 

Rubinnfain3
モスクワ 2003年、アホートヌイ・リャト ロシア

Rubinnfain4
ニューヨーク、2004年、エンパイアステートビル アメリカ

続きを読む "レオ・ルビンファイン 傷ついた街"

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2011.08.23

鬼海弘雄写真展 東京ポートレイト

Tokyoport

この展覧会は東京都写真美美術館で10月2日まで開催されています。

兎に角楽しいです。理屈抜きに楽しめる写真展は久しぶりです。
「この人たちの人生に、何があったのだろう」と思ってしまう作品も多数あって、何かとても人情たっぷり。

強烈な存在感と詩情をあわせもつ浅草の人々を撮り続けた『PERSONA』、人の営みの匂いを写し出す町のポートレイト『東京迷路』『東京夢譚』ライフワークであるこの2本のシリーズから精選したモノクロ作品約200点を一堂に展示。
私の様な素人の鑑賞者にとって、写真展でよく見られる小難しい解説は不要です。
この展覧会の写真を見ていると、人それぞれの来し方を想像して、思わずにこり....

以下の画像は、チラシからの引用です。
Tokyoport0001daiku
大工の棟梁 1985

Tokyoport0001isyou
たくさんの衣装を持ったお姐さん 2001

Tokyoport0001seinen
遠くから歩いてきたという青年 1999

Tokyoport0001ssetagaya
世田谷区瀬田 1985

Tokyoport0001tosima
豊島区池袋 1989

Tokyoport0002kamera
ヴィンテージカメラを持ったカップル 1973

Tokyoport0002taka
「高そうなカメラだね」と言う男 1986

Tokyoportkawa
皮装束の男 1985


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2011.08.22

江成常夫写真展 昭和史のかたち

Enari

この展覧会は東京都写真美術館で9月25日まで開催されています。

今年は満州事変から70年、太平洋戦争開始から70年そして終戦66年にあたります。
40年近くにわたり、昭和の戦争とその負の遺産を写真で表現してきた江成常夫の集大成となる展覧会です。
「見えないものを的確な被写体を通して心の中を託す、その表現として写真を....」と仰っています。
15年に及んだ「アジア太平洋戦争」のもとで、死と涙を強いられてきた内外の、声を持たない人たちの声を写真で代弁することで、戦後日本人の現代史に対する精神性の問うています。(チラシの解説文を参考にしました)

鬼哭の島
江成常夫は悪性腫瘍の手術後、病から来る鬱状態を克服し4年後太平洋戦争の戦跡15地域を撮影し巡ります。
ハワイ、ガダルカナル、ソロモン、ラバウル、パプアニューギニア、インドネシア、パラオ、サイパン、レイテ島、テニアン島、硫黄島、小笠原、沖縄.....写真を見、解説を読みながら当時の苛烈な戦場を.....なんとも切ない。指揮官の自死による責任の放棄、軍指導部の無謀.....飢えに苦しみ病に斃れた兵士の無念を思うとなんとも言えない気持ちになります。

Enari0001hawai
アリゾナ号から浮かび上がる油の波紋 オアフ島、ハワイ 2005年5月

Enari0002zero
海中に墜落したままの日本軍のゼロ戦 コロール島、パラオ 2004年10月

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米軍戦闘機グラマンコルセアの残骸 ガダルカナル島、ソロモン諸島 2007年1月


偽満州国
関東軍の独走による禍根を思いながら展示作品を見ました。
Enari0001fugi
満州事変の布告文 吉林省歴史博物館 長春 1989年


シャオハイの満州
シャオハイとは、「こどもたち」という意味だそうです。
旧満州国に取り残された孤児たちのその肖像画が並びます。
その表情に、生きてきた憂愁がにじみ出ています。

Enari0001syao
殷 淑清 
母と妹と3人で他の家族と一緒に馬車で非難した。途中、東安省の密山県で宝清県の道に置き去りにされ、そこで養父に拾われた。
黒竜江省 勃利県 1984年

Enari0001mansyu
満州刻時代の日本人開拓村 黒竜江省樺南県 1991年


ヒロシマ
尊敬する土門拳のリアリズムを前にヒロシマを撮ることに躊躇があったようですが、「目に見えないもの、魂をとる事、写真で表象する」事で.....

解説に書かれた証言が、なんとも辛い。
3人の方の言葉です。
3歳だった弟は「姉ちゃん水...」そう言って息を引き取った。
自殺を何度も考えたが「苦しみを背負う心の中に楽土はある」そう言い聞かせ、思いとどまった。
婚約者も戦死し自死と隣り合わせの日々をすごすが、再生したアオギリに生き抜く事を教えられる。


Enari0001
寺前妙子(当時15歳) 爆心地から約550m、市内、中町の広島電話局で学徒動員中被爆。2009年5月

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焼け焦げた戦時石鹸 広島原爆資料館所蔵 2010年4月


ナガサキ

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吉田勝二(当時13歳)爆心地から約850m、市内、江里町で被爆 2008年7月

Enari0001maria
被爆したマリアの木像 爆心地から約500m、倒壊した浦上天主堂跡で奇跡的に見つかった。 2004年7月

画像はチラシからの引用です。


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2011.08.21

「大穴牟知命」と石橋エイタロウ

画家の後裔(講談社文庫)
放浪三代 石橋エイタローから

母は毎年衣替えの頃になると、着物と一緒にその絵を虫干しした。 怖い絵だったとにかく怖い絵だった。 祖父がたえず気にかけながら、九州に帰っていくため父のもとに遺された作品「大穴牟知命」がこれである。だが、子供心には恐ろしいとしか感じなかった。 (中略) 夜中など頭のところに絵が頭のところに立てかけてあるので 頭からかぶった布団の中から覗くと(中略)小さな暗い電球の先に鈍く反射して、ますます背筋がぞくっとして、明るくなるまで、小ようにも行けなかった。 「眠れないからむこうに向けて」 と、母にせがんだり、新聞紙を覆せてもらって寝たのを思い出す。 この「大穴牟知命」との対面こそが、祖父と私のはじめての出逢いといえよう。

Aokionamuti


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2011.08.20

アフリカの魂 リンクするアフリカルチャー

Arukarutama
この展覧会は多摩美術大学美術館で9月19日まで開催されています。
場所がらか?とても空いていて....その割に良い企画展が多いのでよく見に行きます。
夏休みで、お父さんと女の子(中学生?)が楽しそうに話しながら観ていました、とても良い光景でした。
親子で楽しめるし、あらゆる意味で奥の深い企画展だと思いました。

この展覧会は、アフリカ文化研究家で、貴重な作品・資料を蒐集した故白石顕二氏(1946-2005)により蒐集されたアフリカ文化に関する貴重な作品、資料群である「フリーダ・コレクション」から、約200点余の作品を紹介するものです。最近、アフリカルチャーは盛んに取り上げられて企画展も多く開催されています。また西洋近代美術家の作品にもその反映が指摘されてきました。祭祀や儀礼を行う目的で主に作られてきた彫刻、工芸がグローバリゼーションのなかで、外国文化とアフリカの伝統文化の接触融合により新しい美術表現が生まれ発展してきました。
しかしグロバリゼーションによる政治、経済、社会情勢の大きな変化そして混乱も続いています。人類の起源と言われるアフリカの魂の叫び、そのパワーは今の、この日本に生きる私に、生きる根源にあるものは....と、問いかけます。関連イベントのアフリカ映画も更に、感慨を深めてくれました。

以下の画像はチラシからです。
Arukarutama0001rinnga
ジョージ・リリンガ/統一は力なり 1993年/エナメル・銅箔キャンバス

Arukarutama0001datyou
E・ティンガティンガ/「ダチョウ」1970年 エナメル・板

Arukarutama0001ibe
イベ人形(子安貝の衣付き)/ナイジェリア/ヨルバ族/20C 


Arukarutama0001tetu
鉄仮面/マリ/ドゴン族/15C頃(ジェンネ時代)

Arukarutama0001mari
立像/マリ/ドゴン族/13~16C

Arukarutama0001ai
藍絞り染布/カメルーン/グラスランドムブーン族/綿

Arukarutama0001tibeto
チベット像嵌め琥珀ネックレス/マリ/琥珀・銀・陶

Arukarutama0001kennte
ケンテクロス/ガーナ/アシャンティー族/絹

Arukarutama0001pairu
カット・パイル刺繍布/コンゴ/クバ王国、ショワ族/ラフィア


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2011.08.19

リンクするアフリカルチャー アフリカの魂 関連企画 アフリカン・シネマ特集

Arukaru

最近も、頻繁にソマリアの飢餓被害の様子がTVで放映されています。
数十万、数百万の子供たちが瀕死の状況に置かれています。
干ばつで食べるものが無く、終わりの見えない内戦で援助物資が難民に届かない状態が続いています。
内戦が始まって、およそ20年。
しかし、その前から、この国にはあらゆる不条理がが押し寄せていました。

多摩美術大学美術館で9月19日まで開催されている「アフリカの魂 リンクするアフリカるチャー」関連企画でお行われた「アフリカン・シネマ特集」を見てきました。短編2本と長編一本です(この企画(シネマ特集)は既に終了しています。パルテノン多摩の小ホールで上映されました。)


「生命の木」
ソマリア 1987年 上映時間25分
監督・脚本 アブドルガディール・アールド・サイド
制作 ソマリア・フィルム・エージェンシー

村のなかを歩いて、林の中に分け入った樵は「生命の木」を切り倒してしまう。
切り倒した後、樵は疲れて休息している間に寝てしまう。
画面は夢のなかへ...。...
男は、見渡す限り何も存在しない、不毛の地に投げ出される、そこには緑豊かな村のその賑わいも、豊富な草原も破壊されていた。
その不毛の地で、男は木の芽を見つける。そう命を育む木の芽を......
自然・環境破壊へのメッセージが直球で伝わってきます。
Arukaru0001seimei


「シーシェル」
ソマリア 1991年 上映時間 30分
監督・脚本 アブドルガディール・アールド・サイド
制作 バッファロー・フィルム

この作品はソマリア内戦の直前にソマリアで撮影されています。
女性画家が、海岸を散策しています。
彼女は美しい貝殻を見つけると、耳にあてて聞こえてくる潮騒に耳を傾けていると、少女の声が聞こえてきます。
現代過去の映像が流れる中、その少女の短い生涯が描かれていきます、豊かだった漁村の生活は海洋汚染によって破壊されてしまったのだ。その平和だった漁村は核廃棄物の汚染によって破壊されてしまったのだ。
ラストは子供たちが遊んでいる輪に画家が誘われる「一緒に踊りましょう」と......Arukaru0001si

「テスタメント」
ガーナ 1988年 上映時間 80分
監督・脚本 ジョン・アコムフラー
音楽 トレヴォ・ムティソン
主演 タニア・ロジャース
制作 ブラック・オーディオ・フィルム・コレクティブ

1960年代の事。アベナはエンマルク政権崩壊後の軍事軍事クーデターで逮捕される。そしてガーナを離れ二度と戻らない覚悟でイギリスに渡る。
後に、彼女は映画「コブラ・ヴェルデ」の特集番組を制作するためにガーナに戻ることになる。
コブラ・ヴェルデとは、アフリカ西海岸にいた謎のラテンアメリカ人盗賊の最期を物語る叙事詩。映画のロケ地はガーナ海岸、そこは「新世界」へのアフリカ人の旅の出発点だったのだ。
ガーナ海岸から内陸へと、さまよい歩くアベナは居場所のない、そんな自分を凝視することになる....
Arukaru0001


TUTAYAで探しても、アフリカを扱った(政変、環境破壊を扱った)映画は沢山あります。
結構観ているつもりですが、メジャーに乗らない、このような作品もとても良いですよ。
教えられます。、

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2011.08.08

究極の身体、完全なる美 大英博物館 古代ギリシャ展

Girisya
上野の国立西洋美術館で9月25日まで開催。

このような作品の前に立つと、人間の歴史って何だろう。
何が進歩して、何が後退したのか.....つくづく考えてしまいます。

トーハクの「空海と密教美術展」も、この展覧会も、科学博物館の「恐竜博」も(恐竜博は、未だ観に行っていませんが、午前中の入場の列で...)多分動物園も混んでます。それだけ、この時期の上野は人気企画でいっぱいです。藝大美術館の「今美術の力で、被災地美術館所蔵作品から」もこの時期、ある意味必見です。
そして、これらの展覧会を観ることによってある種根底を流れる何かを感じる事が出来るかもしれません。

さて、古代ギリシャ展、ショーケースに収めれた作品を見るには、列に加わって流れに従って鑑賞することになります。一人だけ立ち止まってじっくり、はできません。

大きな作品は、ゆっくり見られますが、休日には、すし詰め状態でしょうね、可能であれば平日出動ですね。
夏休みの時期を外す.....これも一案ですね。

この展覧会の目玉展示の一つディスコボロス(円盤投げ)の展示会場は暗幕がサークルを作っていて、360°ぐるっと回って見る事が出来ます。
其れこそ、この一点だけでも観に行く価値ありだと私は思いました。
この展覧会のタイトルにある様に「究極の身体、完全なる美」まさにその通り。
今にも動き出しそうなフォルムと筋肉の美しい表現、頭のてっぺんからつま先まで完璧に表現されています。血管までも.......。
Girisyaenbzn1


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展覧会の構成は以下の通りです。
Ⅰ 神々、英雄、別世界の者たち
Ⅰ-1 ギリシャの神々
Girisyazeusu_2
ゼウス小像 後1-2世紀 ローマ制作/伝ハンガリー出土

Ⅰ-2 英雄ヘラクレス
Ⅰ-3 別世界の者たち
Girisyasufinkusu
スフィンクス(おそらくテーブルの脚部) 後120-140頃 ローマで製作/イタリア、モンテ・カニョーロ出土

Ⅱ 人のかたち
Ⅱ-1 男性の身体美
Girisyayuusyou
優勝選手の像 後1世紀 前430年頃のギリシャのオリジナル(現存せず)に基ずくコピー

Ⅱ-2 女性の身体美
Girisyaafuro
アフロディテ ローマ時代 前4世紀のギリシャのオリジナルの基づくバリアント)

Ⅱ-3 人の顔
Girisyakigeki
喜劇役者の像 後1-2世紀 ローマ、カエリウス丘出土

Ⅲ オリンピアとアスリート
Ⅳ 人々の暮らし
Ⅳ-1 誕生、結婚、死
Girisyatubo
赤像式アンフォラ 前510-500年 ギリシャ・アテネで制作/イタリア・ヴレチ出土
(家を後にする兵士を表わしている)

Ⅳ-2 性と欲望
Ⅳ-3 個性とリアリズム

大英博物館が誇るギリシャ・ローマコレクションから約130点が展示されています。
2000年を遡るまさに美の源流を目の当たりにして溜息が洩れます。
その粋となる身体表現に焦点を当てています。

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2011.08.05

日本橋架橋100年記念特別展 日本美術にみる橋ものがたり-天橋立から日本橋まで-

Hasi
三井記念美術館で9月4日まで開催。
例によって大幅な展示替えがありますので、HPで確認してから出かけた方が良いですよ。
「国宝 天橋立図 雪舟筆」を観るため、展示期間ぎりぎりに行ってきた展覧会です。(7月)
平成18年に開館した三井記念美術館の開館記念展Ⅱとして「日本橋絵巻」展が開催されましたが、今回は美術品に描かれ、デザインされた橋に視点を広げて古来より抱いてきた橋に対しての思いや文化的な意味を考察しての展覧会です。

橋に対する思いって(思い出って)夫々持っていますよね。
この展覧会、そんな事を思いながら観てきました。記紀に始まり、あらゆる物語、和歌、謡曲、現代でも橋のタイトルを付けた映画、小説、歌は多いですよね。
橋を渡ると言うイメージから、また、橋をかけると言う意味からいろいろな発想が生まれ作品に表現されてきたんですね。工芸品、屏風、版画、浮世絵、水墨画、巻物、軸物、拓本、そして擬宝珠も展示されています。あらためて、橋に思いを馳せる、そんな時間があっても良いかもしれんせんよ。


展示構成は以下の通りです。
展示室1、2 「工芸に見る 橋の意匠」
展示室3(如庵ケース) 「橋にちなんだ茶道具取り合わせ」
展示室4 「神仏の橋、名所・文学の橋」
〈神仏の橋−天界・浄土とこの世の架け橋−〉
〈神仏の橋−聖俗境界の橋−〉
〈名所・文学の橋〉
展示室5 「諸国の橋」
展示室6 「橋の番付 日本大橋尽くし」
展示室7 「京の橋・江戸の橋」
〈京の橋〉
〈江戸の橋〉

Hasi0001utuwa
志野茶碗 銘 橋姫 桃山時代 東京国立博物館蔵

Hasi0001suzuri
八橋蒔絵硯箱 桃山時代 サントリー美術館蔵

Hasi0002
国宝 天橋立図 雪舟筆 室町時代 京都国立博物館蔵(7月21日までの展示

Hasi0001nikou
重要文化財 東照社縁起絵巻第三巻(部分) 狩野探幽筆 江戸時代 日光東照宮蔵(8月7日までの展示

Hasi0001raku
洛中洛外図屏風(部分) 江戸時代 国立歴史民族博物館蔵(8月7日まで展示

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2011.08.03

藤島武二・岡田三郎助展~女性美の競演~

Okafuji
横浜そご美術館で9月4日まで開催。
前期(8月16日まで)と後期(8月17日から9月4日まで)で多少の展示替えがあるようです。
会場内に掲示がありました。


この展覧会の解説です(HPから引用)
 

日本の近代洋画の基礎を築いた藤島武二(1867-1943)と岡田三郎助(1869-1939)。
 鹿児島県に生まれた藤島と、その2年後に佐賀県に生まれた岡田は、それぞれ曾山幸彦の画塾で洋画を学び、時期を異にしてヨーロッパへ留学したのち、東京美術学校の教授として活躍。1912年には本郷洋画研究所を設立し後進の指導に努めるなど、明治末から昭和戦前期にかけて、同世代の洋画家としてともに切磋琢磨し、日本洋画の発展に大きく貢献しました。
 両者とも卓越した技法と優れた色彩感覚により、人物画、風景画などで多くの傑作を創作しますが、なかでも女性美を追求した優雅な婦人像には定評があります。静謐でロマンティシズム漂う独特の女性像を描く藤島。装飾的でありながらも女性の官能美を表現豊かに描写する岡田。彼らの作品は世代を超えて見る者を魅了してやみません。
 本展では藤島、岡田の代表作を含む約100点を展示して、共通点の多い2人の経歴や画業を振り返りながら、それぞれの作品の魅力に迫ります。さらには、デザイン感覚に優れた藤島による美しい装幀本や、染織品をはじめ古美術のコレクターとして著名であった岡田の収集品なども併せて展覧いたします。二大巨匠による美の競演をお楽しみください。


展示構成は以下の三章に分けて、です。
第一章 初期の作品
Okafuji0001musou
藤島武二 《夢想》 1904年 
ラファエル前派、アールヌーボーの影響を受けていた時代でもあるようです。 

Okafuji0001seiyoufujin
藤島武二 《西洋婦人像》 1908~09年

Okafuji0001mdon
岡田三郎助《ムードンの夕暮れ》1899年
この地が好きでたびたび訪れては描いていたとのこと。
オーギュスト・ロダンが住んでいた地でもある。 

Okafuji0001seoyoufu_2
岡田三郎助《西洋婦人像》 1900年
ラファエル・コランに師事していた時代で、コランの外光表現を受け継いでいると....


第二章 中期の作品

Okafuji00010nnayoko
藤島武二 《女の横顔》 1926~27年
中国服を着せた日本人をルネッサンス風プロフィールとして描き、東洋的典型美を創ることを意図した作品。


Okafuji0001sina
岡田三郎助《支那絹の前》 1920年
岡田が留学時代に関心を持った時代裂を背景に八千代夫人をモデルに描いた作品。
着ている着物、紅縮緬地松竹梅に匂袋模様小袖が裂と共にショーケースに展示されている。

Okafujiayame
岡田三郎助《あやめの衣》 1927年
この作品を目当てに見に行かれる方も多いのでは...
カンバスに紙を貼り付けて油彩で描かれています。
金地の背景に藍の着物、八つ橋の赤、あやめの白、さらに肌の色、なんとも艶やかではありませんか....琳派の反映も。
展示前の椅子に座ってじっくり鑑賞です。
この作品に使用した着物、納戸縮緬地八橋に杜若模様小袖も展示されています。

第三章 円熟期の作品

Okafuji0001daiou
藤島武二 《大王岬の日の出》 1931年


Okafuji0001nogiku
岡田三郎助《野菊と薔薇》 制作年不詳
1924年に完成した摂政官(後の昭和天皇)御乗用第12御用車内御座所に飾られた作品。
現在鉄道博物館所蔵。

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2011.08.02

特別陳列 運慶とその周辺の仏像(東博 本館 14室)

7、,8月のトーハクは(も)もりだくさん。
一日では見切れませんね。
二日かけて、見て回ってきました、まだ未練が残りましたが....。
空海と密教美術展は混んでいて大変ですが、こちらは空いていて楽しめますので、ついでに是非。
金沢文庫の運慶展に行った人も行けなかった人も点数は少な目ですが......10月2日(日)まで特別陳列されています。

以下はHPの解説を引用しながらです。
ここで展示する2体の大日如来坐像は、作風、構造、像内に納入された品々(X線撮影によってわかります)の種類と納入方法などに共通するところが多く、しかも大変優れた出来ばえを示すものであるため、鎌倉時代初頭の巨匠、仏師運慶の作と推測されています。光得寺像の台座(獅子4頭を含む)、光背、厨子とその内部に付された三十七体の雲に乗る小さな仏の群像も同時期のものです。真如苑の像はそれらを失っていますが、同様の荘厳(しょうごん)がされていたのでしょう。両像ともに小さな像ですが、正面、側面、背面のどの角度から見ても頭髪、姿勢、からだの肉付き、衣の襞の写実的な表現がみごとです。
Unkeisinnnyos
重文 大日如来坐像 平安~鎌倉時代・12世紀 東京・真如苑蔵

Unkeisinnyox


Unkeikoutokus
重文 大日如来坐像 平安~鎌倉時代・12世紀 栃木・光得寺蔵
厨子も勿論展示されています。

Unkeikoutokux

Dsc00416
阿弥陀如来坐像 鎌倉時代・12~13世紀 静岡・願生寺蔵
鎌倉時代初頭の東国で活躍した運慶周辺の仏師の作とみられる


運慶が率いた慶派(仏師集団のひとつ。名前に「慶」の字のつく仏師が多いので慶派と呼ぶ)は、鎌倉時代に写実的で迫力のある作風を創造し、造仏界をリードしました。神奈川・曹源寺と当館の十二神将像は後者の方が繊細、華麗ですが、力強さ、動きの表現に注目すると相通ずるものです。曹源寺の子神、当館の申神の滑稽味のある表現が、運慶の孫康円の四天王南方天眷属像に受け継がれているのも見逃せません。

Dsc00441
重文 四天王眷属立像 2躯 康円作 鎌倉時代・文永4年(1267)

Dsc00430

Dsc00418

写真はヴィデオカメラの写真機能を使いました、上手く写っていませんが悪しからず。
大日如来坐像 の画像(Ⅹ線画像も)は金沢文庫の運慶展図録からです。

展示作品リスト 15件
重文 四天王眷属立像 2躯 康円作 鎌倉時代・文永4年(1267) C-1834
阿弥陀如来坐像 1躯 鎌倉時代・12~13世紀 静岡・願生寺蔵
重文 大日如来坐像 1躯 平安~鎌倉時代・12世紀 東京・真如苑蔵
十二神将立像 子神 1躯 鎌倉時代・12~13世紀 神奈川・曹源寺蔵
十二神将立像 丑神 1躯 鎌倉時代・12~13世紀 神奈川・曹源寺蔵
十二神将立像 寅神 1躯 鎌倉時代・12~13世紀 神奈川・曹源寺蔵
十二神将立像 巳神 1躯 鎌倉時代・12~13世紀 神奈川・曹源寺蔵
十二神将立像 午神 1躯 鎌倉時代・12~13世紀 神奈川・曹源寺蔵
十二神将立像 未神 1躯 鎌倉時代・12~13世紀 神奈川・曹源寺蔵
重文 十二神将立像 辰神 1躯 伝浄瑠璃寺伝来 鎌倉時代・13世紀 C-15
重文 十二神将立像 巳神 1躯 伝浄瑠璃寺伝来 鎌倉時代・13世紀 C-1852
重文 十二神将立像 未神 1躯 伝浄瑠璃寺伝来 鎌倉時代・13世紀 C-16
重文 十二神将立像 申神 1躯 伝浄瑠璃寺伝来 鎌倉時代・13世紀 C-1878
重文 十二神将立像 戌神 1躯 伝浄瑠璃寺伝来 鎌倉時代・13世紀 C-1853
重文 大日如来坐像 1躯 平安~鎌倉時代・12世紀 栃木・光得寺蔵

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