生誕130年 橋口五葉展
美術史家岩切信一郎氏監修により、油彩、水彩、素描、版画、絵葉書、装丁本、ポスターなどを400点展示した、まさに橋口五葉の全貌を時系列で見せてくれます。
千葉市美術館で、7月31日まで開催。
チラシに使われている作品が黄薔薇。
「幻の黄薔薇あらわる」と書いてありますが、ご覧になった皆さんの感想は如何でしょうか?
いろいろな意味で興味ありですね。
この展覧会は、第二会場から観て、第一会場に戻り、更にもう一度第二会場というのも良いかもしれませんよ。
私家版木版による作品が展示されているコーナーのその作品には惚れ惚れですね。
五葉が描く女性の目元が良いですね。これらの作品を観るだけでも行く価値ありですよね。
髪梳ける女
化粧の女
夏衣の女
以下、展覧会の構成に沿って。
I章 鹿児島から東京へ
橋口五葉(1881-1921)は鹿児島市の生まれ。1899年に上京してはじめ白馬会絵画研究所に所属。橋本雅邦に日本画も学びますが、まもなく洋画に転じて東京美術学校へ進みました。
1. 素描・水彩・パステル―イメージの集積
2. 油彩画―白馬会の頃
II章 物語の時代
洋画、日本画に拘ることなく、五葉なりの絵画世界を持っていて、物語内容の作品を描いたり、一点物のタブローよりも本の装丁、挿絵ポスターなどの生活に身近なところで楽しめるもの、あるいは版画などの多くの人が手に取りやすいものに本領を発揮いしている。また、ラファエル前派の影響が考えられる作品も登場する。
1.日本画
2. 浪漫主義
《孔雀と印度女》
III章 吾輩ハ五葉デアル
近代日本のグラフィックデザインは橋口五葉に始まる。夏目漱石にとって「坊っちゃん」はデビュー作であり、25歳の五葉においても装丁のデビュー作。更に、三越呉服店主宰懸賞コンテストで応募した「西洋画図案此美人」が一等賞になり五葉の名を高めることになる。
1. 『ホトトギス』の周辺
2. 装幀本とその画稿
装丁《虞美人草》(夏目漱石著)
3. 雑誌やポスターの仕事
Ⅳ章 耶馬渓を描く―新たな主題の発見
「此美人」で多額の賞金を得た五葉はそれを軍資金に、大分に滞在し、耶馬渓の表情豊かな奇岩群や別府の温泉場、そして浴女たちを丹念に、数多くスケッチした。それらのスケッチは、画業後半のメイン・モティーフとなっていく。
1. 耶馬渓・別府の風景
2. 温泉場の女たち
3. ポスター《此美人》と无声会の活動
《此美人》
V章 素描―裸婦たち
《女の顔》
Ⅵ章 新たなる浮世絵を求めて
あまたな仕事を手掛けてきた五葉が最後にたどりついたのは、浮世絵版画だった。大正7年から大正9年にかけて私家版木版11点を完成させた。翌年病で41歳の若さで亡くなります。
1. 《浴場の女》まで
2.浮世絵研究
3. 私家版木版の精華
4. 没後の動き
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