パウル・クレー おわらないアトリエ
東京国立近代美術館で7月31日まで開催
展覧会の構成です。
・現在/進行形 アトリエの中の作品たち
・プロセス1 写して/塗って/写して 油彩転写の作品
・プロセス2 切って/回して/貼って 切断・再構成の作品
・プロセス3 切って/分けて/貼って 切断・分離の作品
・プロセス4 おもて/うら/おもて 両面の作品
・過去/進行形 ”特別クラス”の作品たち
パウル・クレーの企画展はよく開かれてきましたが、この展示構成はチョット特徴的ですよね。
会場レイアウトも幕張あたりで開かれる製品展示会場みたい?
この企画展のコンセプトをしっかり認識して観に行かないと、物理的にも、思考的にも迷路の中に.....
という事で、展覧会の趣旨を、HPから引用させて頂きます。
スイス生まれの画家パウル・クレー(Paul Klee, 1879-1940)は、長らく日本の人々に愛され、これまでにも数多くの展覧会が開催されてきました。それらの展覧会では作品の物語性や制作上の理念が詩情豊かに詠われ、多くの人々にクレーの芸術の魅力を伝える役割をはたしました。国立近代美術館で初となる今回のクレー展では、今までの展覧会成果を踏まえた上で、これまでクローズアップされてこなかった「クレーの作品は物理的にどのように作られたのか」という点にさまざまな角度から迫ります。この観点から作品を見てみるならば、視覚的な魅力を体感できるのみならず、その魅力がいかなる技術に支えられているのか、ということまでもが明らかになるでしょう。
クレーは1911年から終生、制作した作品の詳細なリストを作り続けます。1883年、画家4歳のときの作品を手始めに、約9600点もの作品からなるこのリストには、作品のタイトルのみならず、制作年と作品番号、そして使用した材料や技法などがこと細かに記されています。「何を使い、どのように作ったのか」ということは、この画家にとってきわめて重要な関心事だったのです。
その「制作プロセス」を、クレーは、アトリエ写真というかたちで記録に留めたり、自ら「特別クラス(Sonderklasse)」と分類した作品を模範作として手元に置いたりしながら、生涯にわたって検証し続けました。 具体的な「技法」と、その技法が探究される場である「アトリエ」に焦点を絞り、クレーの芸術の創造的な制作過程を明らかにしようする本展において、鑑賞者は、ちょうど画家の肩越しに制作を垣間見るような、生々しい創造の現場に立ち会うことになるでしょう。スイスのパウル・クレー・センターが所蔵する作品を中心に、ヨーロッパ・アメリカ・国内所蔵の日本初公開作品を数多く含む約170点で構成されます。
まあ、素人からすると、何故クレーはこのような技法の変遷を辿って、何を得て、何処に到達したのか?
なっとく、なっとくというわけには、なかなか.....ですが、ただ単に作品から伝わるユーモアとか、色彩の妙味、線描のの面白さを感じるだけでも楽しいですし、さらに加えて、技術的な裏付けがチョットでも「あーなるほど」と思えればそれで十分かと。
バウハウス・青騎士(特に、カンデンスキー、マルク)という背景を考え併せる事も良いかもしれませんね。
以下はクレーの日記からです。
「私にくらべればマルクははるかに人間味に溢れていた。むしろ人間くさい、といったらいいであろうか。彼の愛は、私の愛よりあたたかだった。ひたむきな愛であった。動物をも、人間と同じように愛した。動物を人間の位置にまで高め、人間に対するものと同じような愛をそそぐのだった。マルクによれば、万物を包む宇宙よりも、この地上ーーーーこの世のものがはるかにに大切だったのだ。しかし、このクレーは、神の許にのみ、己の住家を求める.....」
サルトルはクレーのことを「この世の驚異を再製造する天使」と規定したそうですが、さて皆さんはこの展覧会でどんな発見をするでしょうか、私も少しづつ頭の中を整理してみます。
(高階費秀爾著 近代絵画史(下)を参考にしました。)
思索する芸術家1919,71
北の森の神1922,32
蛾の踊り1923.124
上昇1925,90
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