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2011.05.01

五百羅漢 増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師狩野一信」展

3月15日開催予定が大震災で4月29開催に変更になりました。
待ちに待った展覧会、30日に行ってきました。
常設展は5月1日からです。
13時前から16時頃まで会場内にいましたが、結構空いていてゆっくり見る事が出来ました。

100幅の作品を丹念に観ていくと、矢張り3時間程度は必要になります。
羅漢の、表情の違いを丹念に観ていくととても面白いですよ。
説教する時の羅漢、議論、六道を巡る羅漢、天道往き帰りの表情、神通力を発する表情等々、行かれる方は比較してじっくり観てきてください。
着物も彩色豊かに丹念に描かれていて見事、羅漢さんて顔に似合わずオシャレ.....
背景も同様に見事に描かれていますです。

10年の歳月を経て完成して訳ですから、徐々に画法の緻密さ等に変化が見て取れます。
病を得てからの作品、そして96幅まで描いたところで一信は亡くなります。
その後4幅は、一信の下絵を元に妻と弟子で仕上げたとされています。
流石に、平面的で顔の表情に動きがなく、描く力量の差は如何ともし難い印象です。

作品は基本的に2幅一対で全体が構成されています。
大きな括りで1幅から20幅では、羅漢の日常生活が描かれています。
名相(みょうそう)、浴室、受戒、布施、論議、剃度、伏外道、というわけです。
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第10幅 浴室


21幅から40福までが六道です。
地獄、鬼趣、畜生、修羅、人(にん)、天
このあたりが、ドラマチックでとても面白いですよね。
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第38幅 六道 天
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天女と羅漢ツーショット、何かにやけたようで......


41幅から50幅が十二頭陀
羅漢の最も重要な十二の修業が描かれたいます。
羅漢の生き生きとした表情がとても良いですよ。
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第48幅 十二頭陀 但三衣


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仕事の喜び?いい顔してます。


51幅から60幅が神通。
これはもう奇想天外、ビームをバンバン飛ばして、悪鬼をやっつけ、苦しむ民衆を救います。
500rakann_jinntuu
第51幅 神通
頭頂から、噴水が!!

61幅から70幅は禽獣、解説には、さながら動物園と書かれています。
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第68幅 禽獣

71幅から74幅は龍供(りゅうぐ)
竜宮への行程が描かれています。
500rakann_ryuguu
第74幅 龍供


75幅は、洗仏等
76幅は、洗舎利
文字通りです。
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第76幅 洗舎利


77幅から80幅は堂伽藍。
こちらも文字通り、寺院建立の為の設計から、建設までの諸作業が描かれています。
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第80幅 堂伽藍

81幅から90幅が、七難
地震、台風、羅刹(ここでも羅刹を追い払うビームを羅漢が照射)悪鬼、刀杖、賊、枷鎖、盗。
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第84幅 七難 風(ふう)


91幅から100幅が四州、所謂、須弥山を中心とする仏教の東西南北の四州(四つの島)のあり様が描かれています。
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第100幅 四州 北


その他、増上寺以外の作品として、東博の羅漢図、成田山新勝寺の十六羅漢図(双幅)、逸見家伝来資料の興味深い資料展示もあります。
その中には、安政の大地震に対する記述もあります。


500rakanntirasi
ちらし

この展覧会は、江戸東京博物館で7月3日まで開催されています。

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