疾走(小説、映画DVD)
たまには日本映画も観てみようかと......
というより、この小説をどの様に映画化したのか?と思って.....
小説は、これでもか、これでもかと執拗に少年シュウジに過酷な運命を背負わせていきます。
自慢の息子シュウイチ、その弟シュウジ、家族はシュウイチを中心に動いていきます。気の優しいシュウジは兄が大好きです。
しかし、進学校(高校)に入ったシュウイチは成績も目立たない存在に.....そして孤立。
やがて成績急上昇、家族は喜ぶが、不正行為がばれて....
結局、シュウイチは気に変調を、その後の連続放火犯として収監されてしまう。
シュウジ(中学生)の環境は一変してしまう。
学校での烈しいいじめ、父親の出奔、行方知れず、母の酒びたり、競輪、競艇狂いの果ての破産。
”つながり”に飢えたシュウジ、子供のころ知り合った、惨殺された、やくざ鬼ケンの愛人アカネとの再会、アカネの妊娠(シュウジの子)。
耐えられなくなったシュウジは故郷を逃げ出す、今は会社社長新田(やくざ)の妻に収まったアカネを頼って大阪へ、その晩の変態やくざ新田の酒と性的暴力、共にいた少女の誘いで、やくざの首を絞めてしまう。
アカネは自分を犯人に仕立て、シュウジを逃がす。
一人逃げて東京へ、食べる為に逃げ込んだ新聞販売店での、あり得ない待遇、やっともらった数万円の賃金も、優しかった、同僚のおじさんに、盗まれてしまう。
全てを喪失したシュウジは、”つながり”を求めて中学で知り合った、女の子エリに電話をする。
エリは、一家心中の生き残り。
引き取られた、叔父夫婦と同居、再開発による立ち退きで故郷を離れ東京郊外に住む。
その叔父に性的関係を.....
結局、シュウジが”つながり”を、最後に求めたのはエリだった。
エリは、エリで誰か自分を殺してくれる人を探している。
エリは、叔父をホテルに誘う、そしてシュウジに電話。
シュウジは、エリから私を殺してと渡されたナイフでエリの叔父を刺してしまう。
逃走、シュウジとエリは故郷を目指す......
という内容を、殺人犯の弟を持つ神父に語らせる...
これでもか、これでもかと登場人物に過酷な運命を背負わせる。
まあ救いようのない内容。
重松清著 角川文庫
さて、映画(DVD)を観た印象は、
ある意味上手くかわして、ヘドロ部分を描かず。
川の表層の流れを映している印象。
チョット映画研究会の学生が撮ったような感じ。(これいい意味で言ってるのですよ)
これもありかなと......
アカネ役の中谷美紀の演技が際立つ。
勿論、筋書きの大きな流れという意味では踏襲しているのですが...
この映画、小説とは別物、と思った方が良いかもしれません。
製作年 2005年
製作国 日本
配給 角川映画、エンジェル・シネマ
上映時間 125分
監督 SABU
出演
手越祐也 (シュウジ(福原秀次))
韓英恵 (エリ(南波恵利))
中谷美紀 (アカネ)
豊川悦司 (神父(宮原雄一))
大杉漣 (新田)
上映時間 125分
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