城山三郎著 部長の大晩年より
この小説の主人公の俳人永田耕衣さんは、神戸震災で、被災しました。
以下は、俳句同人の方が語った、 その時の耕衣の様子を綴った部分です。
ショベル・カーが耕衣の家に食い込んで行くときには、 「私達は耕衣にかわって掌を合わせ一つの葬送をしました」 妻ユキエの死から九年。九十五歳の耕衣にとって、今度こそ、まぎれもない孤独。耕衣は二度とたちあがれないのではないか、と誰もが心配した。 だが、その心配はまもなく消しとんだ。耕衣の句が高らかに答えてくれたからである。 「白梅や天没地没虚空没」 「太陽に埋もれて(もれて)やぬくき孤独かな」 そして、 「枯草や住居なくんば命熱」 それらは、朗々と同人たちの胸に響き、奮起させられたのは、むしろ同人たちであった。
ここまで達観はできないとしても、被災された方々には、希望を繋ぎ続けて頂きたいですね。
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