芸術写真の精華 日本のピクトリアリズム 珠玉の名品展
震災前に行ってきた展覧会です。
東京写真美術館で5月8日迄開催されています。
行かれる方は、事前に必ず開館しているか否かを確認をしてくださいね。
写美はよく行きますので、ピクトリアリズム作品は度々拝見してきました。でも、このような特集で見させて頂くとありがたいですね。好き嫌いはあると思いますが、時代背景と当時の写真家が取り組んだ意気込みは伝わってきますよね。
写真が如何に芸術として昇華していくか?させていくか?日本写真史の一時代をゆっくり鑑賞するのも良いかもしれませんよ。写真の技術的側面、その表現に与える緻密さも関心を持ちたいですね。
以下の画像はチラシからです。
梅阪鶯里 「芍薬」1931年
野島耕三 「髪を梳く女」1914年
福原信三「西湖風景」1931年
チラシ
さて、お勉強です。
本展に出品されている作品は、我々に馴染み深いゼラチン・シルバー・プリント、あるいはデジタルプリントとは違い、ほとんどの作品が下記の印画法によって作られています。
そこまでは....ですよね。でも作品を観ていると気になりますよ.....頭の片隅に入れておくと役立つと思います。HPから引用させて頂きました。
<古典的なピグメント印画法とは?> 本展に出品される作品の多くは、写真の技法のひとつである「ピグメント印画法」によって制作されています。ピグメント印画法とは、その名の通り「顔料」を使い画像を作る方法です。よく知られている銀の化合物によって画像が作られる写真(ゼラチン・シルバー・プリントなど)と違い、ピクトリアリズムの特徴である、独特のやわらかさと美しさを作り出すことができます。この技法を使い、日本人の写真家たちは、日本人ならではの繊細な表現を生み出していきました。主な古典的なピグメント印画法をご紹介します。■カーボン印画 Carbon print
この技法が多く使用された時期:1870年代~1920年代
アルフォンス・ポワトヴァン(仏)が、1855年にゼラチンやアラビアゴムなどが重クロム酸カリウムなどの薬品と混ぜると光に感じる性質(感光したところが硬くなる)をもつという原理を発見し、カーボン印画法、ゴム印画法、オイル印画法などのピグメント印画法のもとになりました。カーボン印画法は、ジョセフ・W.スワン(英)が、1864年に考案しました。顔料をゼラチン溶液に混ぜ、それを紙に厚く塗ります。乾かした後、重クロム酸カリウムの溶液で感光性を与え、ネガを密着させて、太陽の光で焼き付け、温湯で現像します。
■ゴム印画 Gum-bichromate print
この技法が多く使用された時期:1860年代~1920年代
ポワトヴァンが発見した原理にもとづき、19世紀末にアルフレッド・マスケル(英)やロベール・ドマシー(仏)らによって改良され、ピクトリアリズムの芸術写真の代表的な印画法として広く使われました。アラビアゴムと顔料と重クロム酸カリを混ぜた溶液を水彩用紙などに薄く塗り、乾かします。ネガを密着して太陽の光で焼き付けた後、冷水で現像します。この過程を何度も繰り返して、画像をコントロールして求める調子を作りだしてゆきます。
■ブロムオイル印画 Bromoil print
この技法が多く使用された時期:1910年代~1930年代
E.J.ウォール(英)が1907年に原理を発見し、C.W.パイパー(英)が同年に完成しました。普通に引き伸ばしたゼラチン・シルバー・プリントは金属銀で画像ができています。それを、銀のある部分のゼラチンは硬く、そうでない部分は水を含むようにする薬品をつかって脱銀漂白をします。そこに油性インク(油絵具など)を刷毛をつかって叩きつけると、水と油の反発作用によって画像が現れてきます。日本のピクトリアリズムの芸術写真家たちは盛んにこの技法を使って作品を制作しています。
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